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〜4-3-3に囚われたリーグ戦〜 21/8/29 《プレミアリーグ2021-22 第3節》 トッテナム vs ワトフォード レビュー
こんにちは。えつしです。
今回は、勝てば3連勝。単独首位で代表ウィークに突入という状況で迎える第3節、ワトフォード戦です。
スパーズがボールを持つ時間が多くなることが予想されるこの試合、果たして直近のECLでの戦い方を活かして試合を支配することができたのか。
それではレビュー、やっていきます!
1. スタメン
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/60324158/picture_pc_75236eb0c56c53cd7bcba8dd8a007fb9.png?width=1200)
スパーズは、直近のパソス・デ・フェレイラ戦からゴッリーニ、ドハーティ、ロメロ、デイビス、ロ・チェルソ、ウィンクス、ヒル、ルーカス・モウラ、セセニョンに代え、ロリス、タンガンガ、サンチェス、レギロン、ホイビュア、スキップ、デレ・アリ、ソン、ベルフワインを起用した4-3-3。
ケインはリーグ戦初先発となり、ルーカス・モウラがベンチに回る形になりました。
ワトフォードは、直近のリーグカップクリスタルパレス戦からGKのフォスター、エンガキア、ローズ、ルーザ、セマ、フッレッチャー、クチョ・エルナンデスに代え、バッハマン、キャスカート、マシナ、シソコ、クツカ、イスマイラ・サール、デニスを起用した4-1-4-1。
直前にスパーズからワトフォードへ移籍したシソコは、いきなりのスタメンで早速の古巣凱旋となりました。
2. 1st half
2-1. スパーズのボール保持時
ワトフォードは4-5-1で構えてカウンターを狙い、試合は予想通りスパーズがボールを握る展開に。試合後の記者会見でもヌーノ監督が言っていた様に、ワトフォードはかなりラインを低く設定し、DFラインと5枚のブロックの間がないくらいコンパクトにします。
それに対し、スパーズは、バックラインやホイビュアからの大きなサイドチェンジをうまく使い、相手を揺さぶっていきます。ロングボールでのサイドチェンジから一気にベルフワインの仕掛け。もちろんボールの質が大事ですが、デレ・アリが下図の立ち位置を取ることでサイドチェンジが通りやすい構造を作ることができていました。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/60326950/picture_pc_b3a55ea950ba4f8ea49f2a46bd59c8ea.png?width=1200)
しかし、グラウンダーのボールで繋いでいくことに関しては、やはりなかなかうまくいきません。
ホイビュアとスキップのダブルボランチのようになってビルドアップを行っていましたが、下図のように2人ともキングとMFのラインの間のスペースで受けようとしないので、後ろに重たく、縦パスを指すことができません。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/60327275/picture_pc_d2832b79f64d33424f0651de3c2e2937.png?width=1200)
2-2. スパーズのボール非保持時の守備
スパーズがボールを保持する時間は長かったものの、ワトフォードもスパーズのシティ戦ほど明確にボールを捨てていたわけではなく、ゴールキックからボールを繋ごうとするシーンも見られました。
それに対し、スパーズはいつも通りの4-3-3で3トップは中締めの立ち位置。
スパーズは基本的に今までと同じやり方ではあるものの、プレシーズンやシティ戦の時ほど3トップが中締めだけを意識するのではなく、WGがSBに寄せたり、CBにもプレスにいくようになっています。そしてワトフォードもビルドアップに長けているチームではないので、うまくボールを前進させることができません。
そんな中でもうまく前進に成功していたのは、下図のように左SBマシナにボールが入り、そこにホイビュアが出て行った時にIHのクツカがサイドに流れて受ける形でした。
21分53秒にはこの形から左サイドをクツカとデニスのユニットで崩し、PAの角辺りでFKを獲得しています。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/60328257/picture_pc_bbd15394476a80a93f18007ae3d8da79.gif?width=1200)
右サイドでは、キャスカートの開きが足りなくて、上図のタッチラインに沿うようなパスを出せなかったり、デレ・アリがキャスカートにプレスにいく前からシソコがサイドに開いていて、デレ・アリもしそこに付いていて、ボールが出てこなかったりと、同じような展開を作れてはいませんでした。
2-3. 1st half まとめ
ベルフワインの仕掛けで得たFKからソンがインスイングの素晴らしいボールを蹴り、ワトフォードGKのバッハマンがそれに触ることができずに、41分35秒にスパーズが先制点を取って前半は終わりました。
スパーズは、ビルドアップはうまくいっておらず後ろに重たい状態ですが、前半の内にセットプレーで1点取ることができたので、相手が出てくるまではそれでも良いとも言えます。
果たしてどうなったのか、後半を振り返っていきましょう。
4. 2nd half
後半もワトフォードはカウンター狙いで、プレスをかけません。
そして、51分にキャスカートが負傷交代で右SBにエンガキアを投入。このエンガキアの対人守備が良く、ベルフワインのドリブルを封じ、さらにスパーズの弱点であるサイドのスペースにドリブルで運んできます。
53分過ぎ、ベルフワインがふらふらとCBに寄せてしまったところから、エンガキアにボールが入ります。すかさずフリーのエンガキアは前に運び、2-2.に書いたようにシソコがサイドに流れて空いたスペースに、サールが降りてボールを受けることに成功。そしてサールはついてきたレギロンを背負ったところから反転、左サイドのデニスに繋ぎます。デニスからサール、シソコと繋がってデレ・アリの少し不用意に思えるタックルをシソコがかわし、縦にドリブルして深い位置からのクロスがサールに繋がってシュート。サンチェスのブロックでなんとか防ぎましたが、サールがキングと被らず、より体勢が良さそうであったキングがシュートを打てていれば、どうなっていたかわからないシーンでした。
今回のように、相手がCB経由でサイドを変えてきた時にWGが相手のCBに食いついてしまうと、IHのスライドが間に合っていない状況で相手のSBにフリーでボールを運ばれてしまいます。
キャスカートは幅を取って運んでくるプレーをしてきませんでしたが、エンガキアの様に推進力のあるプレーヤーだと、やはりスパーズの泣きどころであるここは狙われるようになります。
なんとか追いつこうと、65分にキングに代えて、アストンビラ相手にカットインからのすばらしいゴラッソを決めたクチョ・エルナンデスを投入。カウンターの勢いを増すワトフォードに対し、スパーズもソンのプレスバックやタンガンガのインターセプトからのショートカウンターで対抗します。
68分にはスパーズがベルフワインに代えてルーカス・モウラ。73分、ワトフォードはシソコに代えてクレバリー。
その後、スパーズはルーカス・モウラの単騎突破やショートコーナーからのチャンスを作り、先程のサールの決定機ほどの危ないシーンはワトフォードに与えることなく、87分にはソンと交代でヒルのプレミアデビューもさせます。そして最後は珍しくコーナー付近でうまく時間稼ぎもして、1-0、スパーズの3試合連続ウノゼロ勝利で単独首位に躍り出ました。
5. 総括、感想
3連勝で首位に立てたのは良かったものの、サポーターの間でもどこか不安な雰囲気が流れる今のスパーズ。
リーグ戦はここまでクリーンシートできましたが、やはり僕には、今のやり方が続くとは思えません。MF陣に欠場が出た時に運動量が必要なあのやり方に適応できる他の選手はいるのでしょうか。3センターでのスライド守備をやっている以上、チームトップレベルの高給取りのエンドンベレも飼い殺しにすることになるでしょうし。
心配なのは、今回もあったようにSBが運んできたり、相手が3バックだった場合です。プレシーズンのチェルシー戦、2節のウルヴズ戦でもWBを相手にした時に、サイドの対応に困らされています。9月のチェルシー戦までになんとかここの解決策を見つけて欲しいところ。
ビルドアップに関しては、構造の問題以前に、選手の意識や技術の問題があると思いますが、今までポチェッティーノ、モウリーニョ両指揮官の元で、そういった指導をあまり受けていないであろうことを考えると、それもヌーノ監督がボールを保持するやり方にトライしないことには成長しないでしょう。
ただ、相手が半身になっていないことを見逃さず、相手のサイドの選手の内側を通すホイビュアのスルーパスや、バックラインや中盤からの積極的なサイドチェンジのロングキックが増えてきているのは選手の意識が変わっているのを感じます。
とにかく、ビルドアップのことを考えると、ロメロに怪我なく代表から帰ってきてもらい、早くリーグ戦のローテーションに加わっていただきたいです。
6. おわりに
とりあえず2週間弱は首位なので、それを楽しんで、代表ウィーク明けの試合に期待しましょう。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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