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22/2/9 《プレミアリーグ21-22 第24節》 トッテナム vs サウサンプトン レビュー

こんにちは。えつしです。


今回は、プレミアリーグ21-22第24節、トッテナムサウサンプトンの試合をレビュー。


前回対戦時にはセインツのハイプレスに苦しめられ、数的有利の状況になってからも〔4-4-1〕のブロックを崩すことができなかったスパーズでしたが、今季2回目となるこの対戦では果たしてリベンジを果たすことができたのか?!


1. スタメン

スタメン

・スパーズ
ロリス
サンチェス-ロメロ-デイビス
エメルソン-ウィンクス-ホイビュア-レギロン
モウラ-ソン
ケイン

69’ ホイビュア⇄ベンタンクール
76’ モウラ⇄クルゼフスキ
83’ レギロン⇄ベルフワイン

直近のブライトン戦からスタメン、ベンチ共に変更はなしの〔3-4-2-1〕

ブライトン戦に引き続き、ダイアースキップタンガンガの3人が怪我で欠場。


・セインツ
フォースター
ウォーカー=ピータース-べドナレク-サリス-ペロー
S・アームストロング-ウォード=プラウズ-ロメウ-エルユヌシ
ブロヤ-アダムズ

88’ アダムズ⇄ロング
90’ ブロヤ⇄ウォルコット
90’+7 エルユヌシ⇄ディアロ

直近のコベントリー戦からカバジェロヴァレリリャンコスティーヴンズリヴラメントディアロスモールウォルコットロングA・アームストロングに代えてフォースターウォーカー=ピータースべドナレクサリスペローS・アームストロングロメウエルユヌシブロヤアダムズを起用した〔4-4-2〕

セインツは、延長戦を戦ったこともあってか、直近の試合からスタメンを10人入れ替え。ウォード=プラウズ以外はある程度フレッシュなメンバーがスタメンに名を連ねました。


2. 1st half

2-1. セインツのプレッシングとスパーズのビルドアップの停滞

まずはセインツが行ったプレッシングとそれに対するスパーズのビルドアップについてみていきます。


セインツのプレッシングは、2トップ+ボールサイドのSHの3枚スパーズのバックラインに対して枚数を揃え、ボールサイドのスパーズのWBにはSBが縦スライドで出ていき、ボランチに対してはボランチが同じく縦スライドで捕まえにいくというもの。

セインツのプレッシング

このセインツのプレッシングに対しての解をスパーズは試合を通して見つけられなかったように思います。
左右のCBからシャドーへのパスは精度が伴わなかったり、相手のラインを越えるためにスピードの速いパスをシャドーがうまくトラップできなかったり。CBからWBにボールが入った際も、セインツのSBが出た裏のスペースにシャドーが走り込む動きがほとんどないため、よほどセインツのSBの寄せが遅かったり縦切りしてこない限りWBの2人はパスの出しどころに困ります。


セインツのボランチのスライドが甘く、CB→シャドー、WB→ボランチのパスで前進することができたときもありましたがそういったセインツ側のミス以外ではなかなかプレス回避できず、ロリスも相手陣地にロングキックを蹴り込むことが多くなります。


2-2. スパーズのお粗末な守備

〔3-4-3〕ケインがCB間を切ってサイドに誘導し、セインツのSBにはシャドーが内から寄せ、ハーフスペースのセインツSHには左右のCBが出て対応するミドルプレスを敢行したスパーズ
しかし、シャドーのSBへの寄せが遅いためセインツの前線の選手には動き出す時間が与えられ、ブロヤがサイドに流れてフィジカルで勝るスパーズのWBを背負って起点を作られたり、そもそもセインツのボランチをフリーにし過ぎていてケインがCB間を切ってプレスをかけてもボランチ経由で簡単に逆のCBにボールを持っていってやり直されたり。


結果ズルズルと下がって〔5-4-1〕のような陣形になり、押し込まれる時間がかなりありました。
さらに押し込まれている状態でもケインセインツのボランチまでプレスバックしてくるわけでもなく、ボールサイドのCBへのバックパスを切るわけでもなく、セインツのCBとボランチの間でふわふわと浮いているだけなのでスパーズは自分たちの中盤の前のスペースを好きなだけ使われ、セインツはいくらでも左右に揺さぶり放題。



2-3. 1st halfまとめ

攻守に渡ってセインツスパーズを上回ったと言える前半。
しかし先制点はスパーズ
デイビスエメルソンへのサイドチェンジの流れからモウラが中へのドリブルでマーカーのペローに加えてウォード=プラウズを引きつけ、大きく空いた左SBのペローと左CBのサリスの間のスペースにホイビュアがランニング。モウラのスルーパスからホイビュアのクロスがニアに走り込んだソンのマークについていたべドナレクのオウンゴールを誘い、17分22秒に先制します。


しかし、その約5分後。試合の主導権を握るセインツ2-2.に書いた通りブロヤのサイドに流れる動きで起点を作り、上がっていくペローモウラがついていかなかったことからコンビネーションでPA手前まで前進。エルユヌシのボールをサンチェスが後ろから突きますが、そこで溢れたボールをデイビスがPA内でスリップしてクリアミス。そしてアダムズクロス→サンチェスクリア→サンチェスのクリアを拾ったペローが再びクロスという流れで最後はブロヤがゴール。22分32秒に早くも追いつきます。


その後は先述の通りスパーズが押し込まれる時間が長く続き、前半終了となりました。


3. 2nd half

・スパーズのハイプレスとベンタンクール投入によるポゼッションの安定

後半開始直後、スパーズはハーフタイムにコンテの叱責を受けたのか、シャドーがCB、WBがSB、ボランチにはボランチが出ていくプレッシング。勇気を出して前線からプレスをかけにいきました。

後半開始直後、スパーズのプレッシング

このハイプレスで高い位置でボールを奪い、47分台にはショートカウンターで得点のチャンスも作ります。しかしそれを数字に結びつけることができず、後半開始から10分程度でプレッシングもなくなり、前半と同じように〔5-4-1〕で引いてしまうように。


そこでスパーズは60分にホイビュアに代えてベンタンクールを投入。プレッシングよりもボール保持の色を強める交代。


確かにビルドアップ局面でベンタンクールがこまめに動き直して左右のCB、WBから積極的にボールを引き出し、無理をせずに確実に繋ぐプレーをすることによってポゼッションが安定。


そしてややファール臭い競り方でエメルソンブロヤに競り勝ち、ウィンクスサンチェスの浮き球でのワンツーからライン間のケインに渡り、ケインのスルーパスに抜け出したモウラのクロスにソンがうまく面を作って左足で合わせて69分43秒スパーズ2点目。再びリードを取り返します。


・セインツの立て続けの2ゴール

守備での運動量が期待できるクルゼフスキを入れて試合をクローズさせたいスパーズでしたが、内容では決して負けているわけではなかったセインツが黙っていませんでした。


ベンタンクール投入後も相変わらず守備面は押し込まれることが多かったスパーズ
そんな中、78分台に味方が準備できていないにも関わらずセインツの右から左へのCBを経由したサイドチェンジの際にケインがCB間を切りながらプレス。当然そうなるとセインツのボランチが空いてくるのでウィンクスがそこを気にしてポジションを上げます。そうやって広がったライン間のエルユヌシペローからボールが入ります。
ここでクルゼフスキがもう少しライン間へのパスを消す角度でペローにプレスをかけられていれば、とも思いましたがやはり問題はケインが気まぐれにプレスのスイッチを入れてしまったことでしょう。
エルユヌシウォード=プラウズウォーカー=ピータースと再びボールはセインツの右サイドへ。この時点でソンは4枚のブロックに戻れておらず、ウォーカー=ピータースにはレギロンが出てそのカバーの位置にベンタンクールがいる状態。そうなるともうウォーカー=ピータースのバックパスを待つウォード=プラウズには誰も寄せられず、ダイレクトで上げられたクロスに飛び込んだエルユヌシにフリーでヘディングを叩き込まれて追いつかれてしまいました。
この失点のマークの整理についてですが、デイビスが右のハーフスペースのS・アームストロングに釣られていますがここはウィンクスがいくべきで、遅れてDFラインに戻ってきたロメロは自らサンチェスとコミュニケーションを取ってまずは自分が誰を捕まえるのかはっきりさせたかったですし、サンチェス背後を確認して遅れて入ってくるエルユヌシを認識してロメロブロヤのマークにつかせたかったです。


その直後のセインツの勝ち越し弾もウォード=プラウズのダイレクトクロスから。
ケインはプレスバックしないので、中盤の前のスペースを使われまくって左右に揺さぶられるスパーズのブロック。そして上げられたペローのクロスをデイビスがクリア。それを大外でウォーカー=ピータースが回収し、みている僕たちがデジャブを感じたウォード=プラウズへのバックパスからのダイレクトクロスでアダムズがヘディングゴール。81分18秒セインツが1点をリードする状況に。


83分レギロンに代えてベルフワインを投入し、苦し紛れの〔4-2-3-1〕を繰り出したスパーズでしたが、残りの時間でネットを揺らすことはできず。2-3セインツがアウェーでスパーズを破ることとなりました。


4. 感想、総括

スパーズとしては、1試合を通して苦しんだゲームでした。自分たちの時間を作れたのは後半開始から数分の間と、ベンタンクール投入後に自分たちでボールを保持できていた10分程度でしょう。


試合後のコンテの記者会見での発言から、前半ボール保持時のミスから勇気を失ってしまいプレスにいけなくなってしまったのは誤算だったのだと思います。そしてハーフタイムの闘魂注入によってできたハイプレスもものの数分しか見られませんでした。
試合中の声を聞いていても、監督のコンテプレッシングに出ろと言っているものの選手がそれについてこれていない感があります。
コンテは、「私は最大限のコミットメントを見た」ととりあえずメディアには言っているので大丈夫だとは思いますが、プレスにいこうというプランなのにそれを実行できていないとしたらまあまあな問題ではあるかなと。


ただプレッシングを行うにしてもここまでボール保持が安定しないと、出ずっぱりな選手もいて体力的にもキツいだろうと。
WBにボールが入ったときにボランチがサポートしてCBからやり直すことができていなかったり、モウラエメルソンのパスの判断だったり、ウィンクスの首振りがないことによるボールロストだったり。


76分5秒、1点リードして守り切れば勝ちという状況でのウィンクスのパススピードの遅さからロメロがクリアせざるを得なくなった場面もFKの始め方をもっと丁寧にやるべきだったのではないかと思いますし、終始あまりにも簡単にポゼッションを失い過ぎているのではないでしょうか。
前線の高齢化もありプレスにいきづらくなっているのなら尚更、もう少し賢い試合運びをしてほしいものです。


5. おわりに

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

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えつしの"football analysis" 〜欧州で指導者になることを目指して〜
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