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〜運動量。いつ、どう走るか〜 21/11/21 《プレミアリーグ2021-22 第12節》 トッテナム vs リーズ レビュー

こんにちは。えつしです。


今回は、プレミアリーグ21-22第12節、トッテナムリーズの試合をレビュー。
代表ウィーク明け最初の試合となる一戦で、曲者リーズを相手にスパーズコンテ指揮下での2週間のトレーニングの成果を発揮することができたのか?!


1. スタメン

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・スパーズ
ロリス
タンガンガ-ダイアー-デイビス
エメルソン-ホイビュア-ウィンクス-レギロン
モウラ-ソン
ケイン

68’ タンガンガ⇄サンチェス
79’ レギロン⇄セセニョン
88’ モウラ⇄デレ・アリ

スパーズは、直近のエヴァートン戦からロメロスキップに代えてタンガンガウィンクスを起用した〔3-4-2-1〕

ロメロロ・チェルソが怪我で欠場。スキップが累積での出場停止で欠場。


・リーズ
メリエ
ジョレンテ-フィリップス-クーパー
ダラス-フォーショー-ストライク
ジェイムズ-クリヒ-ハリソン
ゲルハート

リーズは、直近のレスター戦からハフィーニャロドリゴに代えてクリヒゲルハートを起用した〔3-3-3-1〕


2. 1st half

2-1. 人をみるリーズのプレスとスパーズの突破口

まずはリーズお得意のマンマークでのプレス分析から。スパーズ〔3-4-2-1〕でのビルドアップに対し、リーズは相変わらずマンマークで人への意識マシマシでのプレスでした。

ジェイムズがデイビスフォーショーがホイビュアクリヒがウィンクスをマーク。ハリソンとダラスが高い位置を取るWBについていき、ストライクがモウラジョレンテがソンをマークして、DFラインはクーパーかフィリップスのどちらか1枚を余らせてゲルハートがタンガンガを切りながらボールホルダーのダイアーに寄せていきます。


リーズのこの守備に対してスパーズは、ホイビュアとウィンクスが開いて、マンマークでついてくるフォーショーとクリヒをどかしてのダイアーからケインへの縦パスや、ゲルハートのプレスから逃げるダイアーの運びで応戦。

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そういった形で前線の3枚にボールが入ることは度々ありましたが、受け手のケインソンについて来るのがクーパーではなくフィリップスだと、イングランド代表スタメンのさすがの守備力で簡単には前を向かせてもらえません。


ハリソンダラスエメルソンレギロンを離さずしっかりついて来るので、個人での打開ができる選手ではないスパーズのWBが高い位置で中央から展開するボールを受けてもなかなか期待感のある状況にはならず。
ここは前線の3枚の誰が降りて、誰が裏、WBのサポートにいくのかをはっきりさせたかったところ。


デイビスが攻撃に厚みをつけようと上がっていくもそこもしっかりジェイムズが一緒に下がって対応してきましたし、無い物ねだりですが、唯一フリーだったタンガンガのところがロメロであったらもう少し攻撃が活性化したかなとは思ってしまいました。


さらに、リーズを間延びさせるためにも、もっとDFライン裏へのボールやエメルソン、レギロンを縦に走らせるボールも使ってよかったかなと。


リーズはある程度運べて配球もできるダイアーじゃなくて、タンガンガにボールを持たせた方がいいのでは?と思いましたが、結果的にスパーズが突破口であったダイアーから前線への縦パスをうまく活かせず、前半は枠内シュート0本となりました。


2-2. 流れるダラス。どう捕まえるか

リーズは、スパーズ〔5-4-1〕に対してジョレンテ右SBストライク左SBフォーショーアンカーの位置に入って〔4-1-4-1〕のような形でビルドアップ。
SBの位置に入った2人はどちらも高い位置を取らず、低い位置でスパーズSHを釣り出します。

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ジェイムズハリソン大外の高い位置を取ることでスパーズのDFラインをピン留めし、ジョレンテ開き過ぎない&低い位置でボールを受けることでウィンクスとソンの間のパスコースにパスを通しやすく、ソンを深くまで引きつけることができるのでライン間にスペースが生まれます。
右サイドに流れて受けるダラスレギロンが出ていけば、デイビスがスライドしてジェイムズのところをカバーしなければならず、ライン間で待つクリヒゲルハートにアプローチすることができなくなります。
右サイドはこういった感じで、流れて受けたダラスやライン間のゲルハート、クリヒに入ったところからの崩しやサイドチェンジで得点を目指すリーズ。


一方左サイドは、クリヒが右サイドに流れていって攻撃に絡むことが多かったため、ライン間で受ける役割の選手がおらず、ストライクハリソンに預けてインナーラップしての単純なワンツーでの打開や、狭いスペースでのハリソンの個人突破に頼る場面が目立ちました。


しかし、実際43分40秒ジェイムズのゴールはストライクからハリソンにボールが入り、股抜きでエメルソンが抜かれて入れられたクロスからのものでした。
散々逆サイドからの素早いサイドチェンジやCBからのフィードハリソンと相対する状況を作られていたエメルソンは、ここで少し集中力を欠いてしまったのか、ボールの移動中にハリソンに寄せ切れず中途半端に足を出したところを股抜きされてしまいました。


45分間通して、スパーズは降りるゲルハートやライン間をとるクリヒを潰しにいきたかったですが、なかなかにフィーリングが良さそうなハリソンや韋駄天ジェイムズが高い位置で張っていることによってDFラインを上げられず、下のツイートの通りリーズ60%のボール保持率を記録する前半となりました。



3. 2nd half

後半スパーズは守備のやり方を変更。
ケインがフィリップスモウラがクーパーストライクにはエメルソンが縦スラで出て、フォーショーにはホイビュアが出ていく形でプレッシング。

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この修正に加え、マンマークで嵌めようとしてくるリーズのプレスに対し、前半からのダイアーの縦パスがボディブローのようにリーズの選手に効いてきます。
ダイアーの縦パスを受ける前線の3枚にマンマークでついていっていたジョレンテクーパーストライクの運動量、強度が低下。
スパーズの2ボランチを抑えていたフォーショークリヒも同様。


さらに後半からスパーズは、ホイビュアがDFラインに降りてフォーショーを釣り出してからのダイアーの縦パスというようなビルドアップもみせるようになり、リーズの選手を混乱に陥れます。


前半から精力的にプレスをかけ、積極的にライン間に顔を出したりサイドに流れたりもしていたゲルハートは走れなくなり、プレスのスイッチ役がガス欠。


そして57分台、ロリスの素早いスローイングからエメルソンモウラケインソンウィンクスと繋ぎ、バイタルエリアで横パスを繋いで逆サイドのレギロンに展開。レギロンのクロスにケインはうまく合わせられなかったものの、こぼれをモウラが拾ってホイビュアが決め、57分25秒、同点。


ここでリーズは、59分クリヒフィルポに代え、まだやれそうなフィリップスフォーショーがやっていたホイビュアの監視役に組み込み、フォーショーウィンクスをみるように。
エメルソンが前に出てくる分余裕ができるハリソンのところにCBやGKのメリエからロブパスで届けての打開も図りますが、ここはさすがのコンテ68分タンガンガに代えてサンチェスを投入し、ボールが出たときのハリソンへのスライドの速さと浮き球に対する高さを担保。痺れる交代策でした。


そしてその交代の直後、スパーズの2点目が決まります。


それまでも自分のマークであるモウラを捕まえ切れず、試合に入り切れていない感があった途中投入のフィルポでしたが、ここでもセンターサークル辺りでのFKからウィンクスモウラにパスしたときにモウラに強くいけず、モウラソンとのワンツーでバイタルエリアに侵入されてしまいます。そしてPA前でクーパーモウラを引っ掛け、絶好の位置でスパーズにFKが与えられることに。そのFKをダイアーが蹴り、ディフレクトしたボールはポストに当たり、一人ダイアーのキックと同時にこぼれに走り込んでいたレギロンがそれを詰めて68分16秒スパーズの勝ち越し弾となりました。


その後72分フォーショーからロバーツ87分ゲルハートからマッキンストリーへの交代をし、前半のプレッシングを取り戻そうと様々な組み合わせでプレスを試すも、リーズは状況を変えることはできず。


セセニョンデレ・アリといった復活が望まれる選手にもプレー時間を与え、コンテの修正で後半に勝負をかけたスパーズ2-1で勝利する結果となりました。


4. 総括、感想

前半はスパーズを苦しめたリーズでしたが、後半自ら勢いを落としてしまったこともあり敗戦。プレスのスイッチ役のゲルハートが早い段階で走れなくなったにも関わらずそこの交代が遅かったのは、ベンチにCFができる選手が19歳のサム・グリーンウッドしかいなかったからなのか。
リーズのスタイルで怪我人が多発してしまうと、相手との1対1を自ら挑みに行くスタイルなため気軽に若い選手をスタメンで使うことはできないし、今回のように交代でチームをリフレッシュすることもできなくなるし、さらに勤続疲労で新たな負傷者が出るわでほんとに大変そうです。。。


スパーズは、依然として前線にボールが入った後の動きや連携の部分は課題。前半もダイアーからは縦パスが簡単に入る構造になっていたので、もう少し決定機が作れていてもよかったかなと。
ソン楔を受ける役割をしてるのはやっぱりもったいない気がするし、少しやりにくそうだなとも思います。


モウラに関しては、どうしてもネガトラやプレスに出るタイミングの部分で不安があるものの、縦パスを受けて自分で前を向いて打開する力は一級品ですし、特にリーズのようなマンマークで人に激しく来る相手に対してコンテが起用したくなるのもわかります。


後半、モウラをCBまで出してのプレスへの修正は見事でした。コンテリーズの僅かな希望であったハリソンへの浮き球からの個人打開サンチェス投入で断ち切ってしまったのは天晴れ。
リーズはビルドアップがうまくいかなくなったことでマンマークで守備に奔走する時間が多くなり、徐々に勢いが削がれる形になってしまいました。


お互いに、運動量や強度、またそれの出しどころや抑えどころの大事さを痛感するゲームでした。


5. おわりに

試合後のコンテのコメントをみると、前半に後半のようにチーム全体でプレスにいかなかったのは運動量管理のためもあり、まだまだ選手のフィットネスを上げている途中段階の様子。
ロメロも復帰には年明けまでかかるかも、という情報も出てきているし、これからの冬の過密日程では今まで以上に出場機会を得られていない選手の活用が大事になってきそうですが、どうなるでしょうか。。。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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えつしの"football analysis" 〜欧州で指導者になることを目指して〜
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