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『GIファザーをお探しですか?』活動記録 case01-03(全文無料)
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2024年10月〜12月
大家さんがわかれば……
7月に老舗店2軒へ出した手紙には、返事が来なかった。
地図を見ながら次に考えたのが、Y子さんたちが住んでいた家の所有者を探すことだ。
『母をさがす———GIベビー、ベルさんの戦後』にも書いたが、ベルさんは40代のとき、お母さんがかつて住んでいたと思われる借家を訪ねた。そこにはもう誰もいなかったが、隣の家から大家さんが出てきて、「アメリカ人と日本人の家族がいたが、アメリカに行ってしまったよ」と話してくれたことで、お母さんがアメリカに渡ったことを知ったのだ。
Y子さんたちの住まいも借家だったと思われるので、家主が見つかれば糸口になるかもしれなかった。
土地や建物の所有者は、法務局で調べられることがわかった。電話で問い合わせると、登記簿謄本の証明書は本人や親族でなくとも申請できるとのこと。「地番」がわかればなおよいと言われ、その調べ方も教わって調べた。
法務局へ
10月のある日、九段下にある東京法務局へ出向いた。
申請書をカウンターに出すと、「ここで出せる登記簿謄本の証明書は、昭和62年以降の電子化されたものだけ」と言われてしまった。Y子さんたちがそこで暮らしていたのは1950年、昭和25年だ。
電子化前の証明書は、住所のある荒川区の管轄である法務局北出張所でしか出せないとのこと。迷ったが、せっかく来たし、当時から今まで所有者が変わっていない可能性もあると思い、電子化以降の書類を出してもらった。一件600円、地番が2つあるので両方出してもらい、合計1,200円也。
たくさんの人たちで埋まった待合スペースのソファでしばらく待った後、呼び出されて受け取った書類には、どちらの地番もはじめから現在まで、企業や不動産会社に何度か変わっていることが記されているばかりだった。つまり、空振りだった。
このままでは帰れぬと、その足で王子にある法務局北出張所へ向かった。
三姉妹
電子化前の登記簿は、当然手書きだった。戸籍謄本もそうだが、古い書類は旧漢字が使われていたり強い癖字があったりで、読むのに難儀する。そうでなくても、読み慣れない役所の書類だ。
それでも何度も読み返すうち、次第に飲み込めてきた。
最も古い記録は、大正8年だった。そのときその土地は、「小山アサ(仮名)」と「須藤トシ(仮名)」が共同所有していた。
次の記録は昭和2年、「小山アサ」の持ち分すべてが、「小山K子」「小山M子」「小山S子」の3人に遺産相続されている。おそらく小山アサさんの娘たちだろう。
その次の記録はかなり飛んで、昭和47年だ。
つまり、Y子さんたちが住んでいた1950年(昭和25年)に、この土地は「須藤トシ」さんと「小山三姉妹」が所有していたことになる。
そして昭和51年、土地はすべて株式会社Q銀行に売却されていた。
登記簿には、三姉妹それぞれの移転先住所も記載されていた。長女「小山K子」さんは同じ荒川区内、二女「M子」さんと三女「S子」さんは隣の足立区で、そう遠くない。
それぞれの住所をGoogleストリートビューで探してみると、いずれの場所にもアパートが建っていた。手放した土地で部屋を貸していたように、今もそれぞれがアパート経営をしているのか、あるいはそこももう別の所有者のものなのか。
悶々と考えていると、「小山K子」さんの住所に建つ建物の壁に『小山ビル』と書かれた表札を見つけた。これは「小山K子」さんの持ち物である可能性が高い。小さな希望が残った。
さて、次にどうしたらいいものか。手紙か……しかし老舗店からナシのつぶてだったしなぁ……きっと、新手の詐欺か何かと勘違いされたんだろう。だからといって、いきなり訪ねるのはもっと怖いよなぁ。だいたい、三姉妹とも年齢的に存命かどうかも際どい。何も知らない家族に尋ねることになるなら、なおさら慎重にしないと。うーむ……。
あれこれ考えあぐねているうちに、年が暮れてしまった。
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