別れ
1997年に会社がなくなった。
広い社宅も出ていかなければならない。
リビングのソファーセットや6人掛けの大きなテーブルも処分しなければ。
これが置けるほどの賃貸マンションに引っ越す余裕はない。
2人の子供の学区を変えないために、なるべく近くて安いマンションを探した。
いくばくかの退職金で借金返済をして残ったお金で思い出に何か良いものを一つ買おう。
毎日見るもの。
毎日使うもの。
長持ちするもの。
何がいいだろう?
狭いリビングで使うテーブルを見に行った。
近所の家具屋で大理石のちゃぶ台に出会った。
一目で気に入った。
これにしよう!
半端なく高いがこれなら一生もんだ。
あれから18年半。
昨日いきなり大理石に亀裂が入った。
お姑さんが座ってる場所。
毎日「よっこいしょ」と両手をついて立ち上がる場所。
少しずつ負荷がかかり、ヒビが入ったのかもしれない。
誰も怪我しなくて良かった。
御歳80歳。
ちゃぶ台で食事の後に立ち上がるのはきっと大変だったことだろう。
もっと早く気がついてあげればよかった。
椅子とテーブルに変えよう。
18年半、ちゃぶ台お疲れ様でした!
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