サドルの気持ち
軽い自慢だけど、都会で生まれました。
首都高速「一の橋ジャンクション」の真下あたりで、東京タワーをゴジラが倒したら、確実に我が家もつぶれそうな場所でした。
交通量も多くて、小学時代は ほとんどだれも自転車を持っていませんでした。(危険だからという学校のお達しがあったと記憶)
転校生の男子が2~3人持っていたけど、自転車で遊びに行くなんて「不良っぽい」感じでした。
でもね、一応乗れないと困るっていう理由?で、交通公園なるものが徒歩圏内にあって、無料で自転車が借りれました。
子供達はその公園の敷地の中でだけ自転車を乗ってもよかったの。横断歩道や信号機や坂道や標識などがたくさんありました。
だから、持ってはいなかったけど、一応は乗れてたんですよ!小学時代は。
さて、マイ自転車を持つこともなく、中学・高校と徒歩通学で、短大とOL時代はバス移動でした。
その年ごろには公園で自転車に乗るなんてこともなく。。。月日は流れ。
22歳で結婚して住んだ場所は山の上だったんで、ここでも自転車が欲しいなんて思わなかった。
転勤で次に名古屋に住んだときは年子の子供を育てていたので、移動はもっぱらベビーカーを押しながら、行動範囲は徒歩15分圏内ばかりなんでやっぱり自転車は持ってなかった。
その後姫路に転勤したとき、周りの住民がどこへ行くにも足代わりに自転車を乗り回しているのを見て
「ここは中国か?」という軽いカルチャーショックを受けました!
この場所で暮らす以上はいよいよ自分も自転車を買わなければ!!!
・・・ってことで、生まれて初めて自分の自転車を買いました。
1年ほどは乗ることもなく駐車場に放置してました。
ある時、上の子が幼稚園に行ってる間に
下の子供(3歳ぐらい)を連れて近所の人と「姫路城」まで自転車で遊びに行くことになりました(お城はチャリで15分ぐらいにあるのです)
子供を後ろの補助椅子に乗せて生まれて初めて自分の自転車に乗るわけです。
スタートからよろめいちゃって、これは相当気を引きしなければ!って思いながら、一生懸命乗りました。
倒れたら、子供が危ないですからね。
よろめきながらもこぎ出したらなんとかまっすぐ進みます。
昔取った杵柄?
でも、ものすごく重たい!!
子供を乗せるって大変なのね。
道行く子連れ主婦たちは、いとも簡単そうにすいすい乗っています。
私はひと漕ぎひと漕ぎ真剣に進みます。
母はつよしだわ! がんばれ自分!!
近所の友達のお宅について自転車を停めて「ピンポーン」おまたせ~~~♪
さてこれから一緒に出発しようとまた自転車に乗ろうとしたら。。。
「あれ?マミちゃんの自転車、空気抜けてない??」
子供を乗せたままだったんですが、前輪がペッチャンコだったみたい!
そのお宅で早速空気入れをお借りして「シュコシュコ」
実際、自転車を買ってから1年程ずっと乗ってなかったんで、空気が抜けちゃってたんですね。
乗り出したら随分と運転が楽になりました。
空気の入ってない自転車ってあんなに大変だったのね。
でも、自分では今度はスイスイ走ってるつもりなのに、友達はどんどんスピードを上げます。
その差がどんどん開くんでこっちも必死で漕ぎます。
もう、太ももが痛くなってきました。
自分の運動不足を呪います。
信号とかで友達に追い付き ハァハァ。。。
「大丈夫?もっとゆっくり走ろうか~?」と気遣ってもらったりして。
「ううん~みんなすごいね~子供を乗せて自転車に乗るって、相当足を使うのね。でも、もうちょっとだから頑張るからね~♪」
しばらく行くと工事中の場所を通りかかりました。
工事のおじさんが交通整理をしています。
おじさんは私に向かって「グーパーグーパー」してきます。
なんだろう?と思いながらそのおじさんの横を通り過ぎる時に、おじさんが私を呼びとめます。
「おねーさん!おねーさん!」
あら、やだ。。。私、こう見えても二人の子持ちなの。
後ろに乗せてる子供が見えないのかしら?
おじさん、こんなところでナンパ?
まだ27歳ぐらいだったから妙にドキドキしちゃいました。
が、シカトして、通り過ぎようとしたら
「おねーさん、自転車の電気がつけっぱなしだよーーー」
????電気?
なにそれ?止まって、前を見たけど、何も付いてないですよ??
意味分からない~~~~
前を走ってた友達が何事かと戻ってきてくれました。
「なんか、工事してるおじさんに、電気がつけっぱなしとか言われたんだけど~ついてないよね~?」
「はぁ~???(ライトのスイッチ確認)あ~ライトのスイッチが入ってるから、こぐと電気がつくのよ~このまま走ってたら重たかったんじゃないの??」
知らないってことはすごいね。。。
スイッチを切ったら、どんだけ楽チンだったか。。。
ここまでの道のり、道理で重たかったはずだよ。
そこからお城まで自転車で5分ぐらい。軽かった~~~
お城でたっぷり遊んで、さあ帰ろうとしたとき、今度は自信満々で私が前を走りだしました。
スイスイ~~~
行きの辛さは一体なんだったんでしょう。
スイスイ〜〜〜
後ろから友達が声をかけてきました。
「マミちゃーーーん!!ちょっと止まって~~~~~~」
なんだか、私の乗ってる恰好がおかしいって言うの。。。
サドルが一番下のままだった。。。
身長162cmのわたしが、24インチのママチャリを一番低くしたまま乗っていた模様。
その時サドルの声が聞こえたような気がしました。
「気づくのおせーーよ!!!(◎_◎;)」