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片想い【ハピバレ2015】

小学校時代大好きだった大島君!
目がぱっちりで、まつげくるりん♪
かけっこが早くて
絵がうまかった!
成績ももちろん優秀だったので、中学は地元の有名私立に行ってしまった。

私はどんくさくてかけっこはいつもビリ。
図工は得意だったけど、眼鏡をかけてやせっぽちの読書が大好きな地味な女の子だった。

私立に行くなどという選択肢はわが家の場合全くなくて、当たり前のように公立中学に進学した。

離れ離れになっても大島君のことずっと好きだった。
卒業以来、街でばったり!とか、会うことは全く無かったけど、中学1年のバレンタインには絶対に大島君に渡したいと思っていた。

嬉し恥ずかし2月14日!
小学校が一緒ということで、もちろん家は近所だったので、当時流行っていた小さな箱に入ったチョコレートを、大島君の家まで届けた。
今思うとこの勇気は一体どこから湧いてきたエネルギーなのだろう?

卒業以来10ヶ月以上会っていなかったのでちょっと大人っぽくなった大島君は照れ臭そうに私のチョコレートを受け取ってくれた。

チョコレートを渡すと言う行為だけで、達成感を味わった私はそれっきりで、何のアクションを起こすこともなく。
もちろんホワイトデーにお返しをもらうなんて思っていなかった。

大島君は中高一貫校だったのでそのまま男子校のその高校に進学し、私は共学の都立へ進んだ。

高校ではすっかり青春を謳歌し、片想いの大島君のことを忘れままごとの様な恋を楽しんだ。

私は近所の短大へ進み、大島君は受験して新潟の国立大へ。
成人式でも会うこともなく、私は就職してすぐ結婚。旦那さんの仕事で転勤を重ね月日はものすごい勢いで流れて行った。

貴女の初恋は?と聞かれたら、迷わず大島君だけど、チョコレートを渡したっていう以上のものは何も無かった。

小学校を卒業して何度か同窓会があったが、大島君は新潟でそのまま就職?して結婚したらしく、1度も会うことはなく35年が過ぎた。

ある時、大学の教授になった大島君が学会で東京に来る日程に合わせて同窓会しようという話が持ち上がった。

へーー!教授になってたんだ!頭良かったもんな〜住む世界が違うな〜

私の初恋は実らなかったけど、相手が素敵に歳を重ねてることが何より嬉しかった!

私はすっかり老け込んでいないか?
せめて精一杯の笑顔で大島君に会いたい。何日も前からパックをしたり、新しい洋服を買ったり、ソワソワうきうき気分でその日を迎えた。

なのに遅刻した。

現地集合の店がわからず探し回ってて15分も遅れてしまった。
汗だくで化粧も崩れてハーハーいいながら店に着いたら、大島君がニコニコ座っていた。
「おーーやっと来た!ここ空いてるよ!乾杯まだだから飲み物頼みな」
大島君が自分の隣を指す。

みんな宴会スタートを待っててくれたらしく、そこから飲み物を各自で頼む。カラカラに乾いた喉に早くビールを流し込みたい。

隣に座れて嬉しい様な、ちょっぴり恥ずかしいようなw
「おひさしぶり〜ちっとも変わってないね」と、かつての初片思いの君を眩しく見ると、彼は変わらない笑顔でこう言った。
「あのさー昔、僕にバレンタインにチョコレートくれたよね?」

はぁぁぁぁ????

そこにいた誰もがびっくりして
「えーーー???!!!」と叫ぶ。
まだ乾杯もしていないこの全員どシラフのこの時になんですって??

私は座布団からのけぞって
「な!な!な!なに????」

女性陣はキャーキャーヒューヒュー大騒ぎ。
男性も「そんなことあったんかよー」とニヤニヤ。

お酒が運ばれて来る前に場が一気に盛り上がる。

絶対モテキャラだった大島君が、私なんかのチョコレートを覚えていてくれたっていうことに驚いたが、なんでまたこんなタイミングで!!

「僕さ、中学高校6年間男子校だったから、チョコレート貰ったのはあの1個だけだったから、ものすごく覚えてるんだよ。今日、君に会えるって思ったらまずお礼を言おうと思ってたんだ。あの時はちゃんと言えなかったけど、ありがとね。あのチョコは1つずつ大事に食べたんだけど、最後の一個食べたら箱の下に文字が書いてあったんだけど、覚えてる?」
「え?文字?チョコの中箱に私なんか書いてた??」
「うん。大好き!って書いてあった」

きゃーーーー!!!!
うぉーーーー!!!!
そこにいた全員が大絶叫

私は。。。。固まって、その後、畳に突っ伏した。

13歳のMA3よ!
どんだけ暑っ苦しいオンナだ?!

どんだけ自分の気持ちをぶつけまくってるんだ?!

当たって砕けろって気持ちだったのか?!

35年も経って顔から火がでたぞ!!!

そして、イイとしこいたMA3よ!
そんな大事なことを
忘れてるとは何事だ?!

いっぱい冷やかされたけど、それ以来同窓会に行くと「はいはい、貴女は大島君の隣ねw」って、みんなから公認になった。

隣に座るだけでもこっぱずかしいが、そのひと時は少女の気持ちを思い出す。

今年誰かに本気チョコをあげようと思ってるレディへ。
結果なんて考えなくってイイよ。
自分のまっすぐな気持ちを贈ってください。
その時ちゃんと頑張ると、片思いで終わっても、後でいい思い出になります。

そして、男子!

たとえ答えがNOでもとりあえず受け取って欲しい。

そして、思い出話はオープンな場所でw

その瞬間はなんでいま??って思ったけど、2人っきりとかでそんな会話されたら昼メロ臭い。

清らかな思い出は清らかなままがイイ。

おしまい(^◇^;)

#ハピバレ2015

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