【経営チーム能力】ベンチャー企業にこそ優秀なCOOが必要?
時価総額100〜300億円のベンチャー企業で
「経営チーム診断してほしい(現在・未来)」
と社長からの相談。
で、経営陣と1:1などしてみると、CXOを職種切りしすぎ問題が発覚。そう、投資銀行にいたからCFO、事業開発やってたからCOO…てやつです。
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■経営チームに必要な能力(ケイパビリティ)
この規模、ましてやもっとアーリーステージであれば尚更、経営メンバー全体で以下の組織能力(ケイパビリティ)を保有したい。5種類あるが必ずしも1:1対応でないので5人が必要ではない。その意味で( )書きのCXOの所にはCOO?などと記載しています。
➀歩く理念体現者(CEO)
同社が実現したい世界観、同社の創出付加価値実現方法を、発信し続ける人。未来仮説、顧客の痛み、業界の歪み等がありありと見えていて常人が無理と思うことこそにチャンスがあると信じる人
②事業戦略開発者(CSO?)
ビジョンを実現するため、同社の強み(技術力、営業力、顧客基盤、ブランド等)を駆使した経営戦略を構築し、ビジネスモデルを構築する人。中期経営計画、予算策定者。
③組織戦略開発者(COO?)
事業戦略を実現するために必要な組織能力を規定し、最適な7Sを設計し、不足分の組織開発する人。事業戦略の実装環境を整備し、各部署のKPIを決定し、支援、モニタリングし、P/L責任を持つ人
④経営資源調達者(ヒト)(CHRO?)
組織戦略実装に必要な人材を内部外部調達する人
⑤経営資源調達者(カネ)(CFO?)
事業戦略、組織戦略実装に必要な資金を調達する人。主に資本市場と対話し、株主、株主候補の期待感・納得感を醸成する人。上記をモニタリングして、ステイクホルダーに説明責任を果たす人
必要な経営資源を調達し優先順位を決め時期と配分を意思決定するためには、まずは経営陣にはこの5つのケイパビリティ担保が必要かと。
もちろん、その会社のコアコンピタンス次第でCTO、CMO、CCOなど必要だとは思います。しかし極論すれば、これらは取締役ではなく執行役員で良いケースも多いかと思うのです。(従業員身分の執行役員制度については、導入時期など留意点様々あるのでこれは別の機会にnoteします)
■ベンチャーあるある
よくあるのは③(COO)と④(CHRO)は同じ人がやっている。これありです。
また、社長が「外交官」のような人でステイクホルダーを巻き込むのが非常に上手だったりすると①(CEO)と④(CHRO)(特に金融出身者だったりすると)and/or ⑤(CFO)を一人でやっている。これもある時期まではありだと思います。
最近、最も難しいなと思っているのが、①(CEO)で、②(CSO)や③(COO)の戦略構築能力が必ずしも高くない、あるいはリアルになりすぎてビジョナリーとしての個性を失ってしまうという問題。①(CEO)と②(CSO)はセットに思えるのですが、実は実装し結果を出そうとすると、②(CSO)と③(COO)こそアンバンドルしにくいのではないかと思うのです。
また、経営トップがwillもskillも圧倒的に秀でていて、①から⑤までを実質1人で担っている。社長の経営資源(時間)が成長のボトルネック、というケースも散見されます。
事業ステージにもよるのですが、経営のPDCAがうまく回る状態にある会社には、経営陣の圧倒的相互信頼感が醸成された上で、経営者の補完関係が成り立ち、経営チーム能力が担保されているように思います。
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経営者の役割分担、ついつい今までの経歴を前提とした「職種」や「スキル」から考えがちではあるのですが、事業ステージによっては経営者の「スタイル」や「性格」も実は非常に重要です。経営合宿などで、このあたり、一度棚卸ししてみること、おすすめです。
経営力を上げてもっと良い未来をみんなで。
では、また〜