笑う門には福来たる

藤山直美さんが4月東京で「おもろい女」舞台復帰。そして今月は大阪松竹座で「笑う門には福来たる」一昨年に続き2度目の公演。令和最初の観劇になった。
オープニングの映像は以前よりクリアで見やすい。懐かしい吉本芸人の若き姿が次々と。

藤山直美ちゃん以外のキャストもほぼ前回と同じかな。喜多村緑郎さんは林正之助、
与一様は初代春団治。ストーリーも展開も同じなのだが何故か今回は濃密。観る側の目のせいか。直美ちゃんの旦那様は田村亮さん、いつまでもお若い。旦那様の死後女興行師として破竹の勢いを支えてくれる心の恋人は松村雄基さんと男前で芸達者な人達が揃う。
田村亮さん演じる旦那様の愛人は鶴田さやかさん。往年の名優で銀幕のスター鶴田浩二の三女だ。尾上右近事けんけんの女形姿が少し重なるのが歌舞伎ファンとしては嬉しくもありくすぐったい感じだ。
吉本せいと言う人は子供運に恵まれない。3人も居たのに3人とも亡くなってしまう。長男役は西川忠志さん。少年から青年まで巧みな演技で成長のあとに惜しみない拍手。
笠置シヅ子との恋のエピソードは何度観ても新鮮。

ミヤコ蝶々さんへのリスペクト、蝶美蝶子ちゃんが幕前で蝶々さんの話を交えての漫才は笑いながら涙が滲む。来年は藤山寛美歿後30年と言うことで直美ちゃんが『はなのお六』他寛美さんの人気演目を演じてくれるそうだ。
病から復活で体調を心配したが、台詞でホロリと泣かせるくせにくるりと後ろを向いて歩く姿だけで笑わせる。若い頃のパワフルで破壊的な笑いではないが、お客の心を自在に掴んで離さない。どこで笑ってもどこで泣いても良いんだ。喜劇だよと大衆を癒してくれる笑いと芯のあるはらんばんな女の一生のどこかに自分の中の一部を投影したりする。唄も上手い、踊りも躍りも出来そうだ。この才能を喜劇の中に封じ込めるのはもったいない様な気もするが、溢れる才能が喜劇を支えている贅沢に感謝した一日だった。
#藤山寛美 #笑う門には福来たる #田村亮 #林与一 #松村雄基
　

田村亮

　

石倉三郎

　

仁支川峰子

　



　

大津嶺子

　

西川忠志

　

東千晃

　

鶴田さやか

　

いま寛大