高麗屋三代襲名 巡業東コース
6月30日江戸川から始まって綾瀬、そして7月2日は東京都北区の北とぴあさくらホールでの巡業。
口上に引き続き双蝶々曲輪日記の中から「引窓」「色彩間苅豆」かさねで打ち出し。
錦吾さん先代白鸚のお弟子で現白鸚さんと同い年。大谷 廣太郎君は新婚さん、我らが市川猿之助さん、市川 高麗蔵さん
中央下手は幸四郎さん、中央は白鸚さんだ。
どうやら猿之助さん口上は日々変化をしているようで昼は高麗屋とおもだか屋の付き合いの長さや深さの話から幸四郎の兄とは半年以上一緒に居ると家族以上の付き合いだと披露した。ウワサによると夜の部ではTV番組で変態ブラザーズといわれたのをもじってジジイになるまで変態ブラザーズとしてアンタの方がジジイだ!いやアンタがジジイと言い合いながら末永くやっていきたいとかほんとにファミリー感溢れる口上を述べていたそう。
さて本日の「引窓」女房お早は三谷かぶきで染五郎君の初恋の人アグリッピーナを演じた高麗蔵さん、この方は年々お若くなる。歌舞伎俳優の凄い所だ。傾城反魂香で「土佐将監閑居の場」通称吃又で前髪姿の修理之助を演じられた時の後ろ姿は正に前髪に相応しい若々しさ。三谷かぶきのアグリッピーナはそれなりにお姉さんでコミカルな役どころだったがロシア語だけで客席を沸かした。
お早は遊女あがりの女房と言うお役。遊女時代の言葉遣いが抜けきれず時々姑お幸(幸雀さん)に注意されながらも和気あいあいと暮らしている。そこへ恩ある人の為とは言え4人も人を殺した人気相撲取り濡髪長五郎がたすねてくる。幼い時に別れた実母お幸に一目あってから縄にかかろうとやって来たのだ。お幸の現在の息子与兵衛は義理の仲ではあるがお幸を大切にしてくれている。折しもその義理の息子南与兵衛は亡父の後を継ぎ代官に取り立てられ南方十次兵衛の名を許されて喜びいさんで帰ってくる。犯罪者の実の息子と代官の義理の息子の間で揺れ動く実母お幸の気持ち。実母を苦しめ義理の兄弟にた迷惑かけたと自首を決心する長五郎、義理の母の気持ちをおもんばかる与兵衛の葛藤が描かれる涙無しでは観られないしばらくはなのだが、松嶋屋や播磨屋で何度も観た芝居。
白鸚濡髪長五郎は大きく感情もダイレクトに伝わる。白鸚さんの情のこもったお芝居には引きこまれる。高麗蔵さんも思い他の若々しいお早が愛らしい。申し訳無いが幸雀さんのお幸は初見。今まで観てきたお幸からするとちょっとあっさりしたお芝居。上方の引窓を見過ぎてるせいかな?
幸四郎与兵衛もそう。ためが少ない。前半はコミカルに演じているが笑いが起きるほどコミカルな必要は無い様に思える。幸四郎さんのサービス精神がそうさせるのか。次回びわ湖ホールの「引窓」までどう変化するのか楽しみにしよう。
最後は「色彩間苅豆」かさねだ。
SNSでは絶賛の猿之助かさね。以前に観たような観てない様な曖昧な記憶だ。恋する人に裏切られて殺されて怨念の塊が人ならざる者になって恋する人に取り憑くお役が多すぎて記憶が本当に曖昧。所謂連理引きが見せ所だが後ろ姿で自身を殺した与右衛門を怨念で引き寄せる。かさねの連理引きは後ろ姿だったかなぁ。やっぱり前を向いて連理引きして欲しいと思うのは私の身勝手な欲望だろうか。演じられたかさねの左指先がこれほど自在に美しく動いているのは芝居とは別の意味で感涙ものだ。元気になってくれてありがとう。
かさねについては色々思う所があるのだけれど、やはりびわ湖ホールでじっくり観てから感想を。
今回は備忘録として巡業東コース三日目を記しておこう。
#高麗蔵襲名松竹大歌舞伎 #東京北とぴあさくらホール #満員御礼 #市川猿之助