春秋座花形舞踊公演
写真は赤い狐忠信、春秋座で猿之助舞踊公演の記念に京都芸術大学で教鞭をとる日本画家山本太郎さんの作品が飾られていた。
狐忠信に赤がとてもよく似合う。
2月19日20日の二日間3公演「市川猿之助 藤間勘十郎 春秋座 花形舞踊公演」が開催された。
演目は「乗合船恵方漫才」
女船頭 市川猿之助
太夫 市川段一郎
才蔵 中村蝶三郎
大工 中村翫政
白酒売 市川翔乃亮
芸者 市川笑猿
通人 藤間勘十郎
それぞれが見立ての舞踊を披露するのだが、床几に座って楽しげに微笑む女船頭猿之助さんは笑猿君と段一郎君が舞踊を披露している時の目が怖い。他所のお弟子の舞踊はニコニコしてるのにこの二人を観る時の目が…怖い。段一郎君は蝶三郎さんと漫才を披露するのだがいきなり謡いだして観てるこっちの心臓がドキドキした。たくさんお稽古してきたのがよく判る。頑張れ段一郎!って心の中で応援する。
10分の休憩を挟んで「小鍛冶」
童子実は稲荷明神 中村歌昇
三條小鍛冶宗近 中村種之助
勅使橘道成 中村壱太郎
2021年4月に中車さんが小鍛冶猿之助さんが童子を勤めたおもだか所縁の舞踊だ。これを歌種兄弟が演じるサプライズな演出。
種之助君は生真面目な小鍛冶。特筆すべきは歌昇君。
何年ぶりかにみる歌昇君は私が知ってる歌昇君とは別人だった。猿之助さんの無重力かよという軽やかに飛び跳ねる童子とは異なるものの、溌剌とした童子はみかん色より少し淡い色合いの衣を羽織り軽やかに小鍛冶の夢に現れると言う解釈で合っているのか。
童子は小鍛冶の悩みを全て知り悩みにサゼスチョンを与えた消えていく。
義太夫は葵太夫を中心に若手が浄瑠璃を語る。太棹の三味線を下から上にバチを緩やかになで上げるのは初めて知った技法。ふんわり豊かな音が心まで揺らす。
場面は変わり小鍛冶が刀を打ち稲荷明神が現れ相鎚を打つ。人で非ず神の打つ相鎚は空気を震わす跳躍で観客を惹きつけて離さない。
おもだか所縁所縁の激しい舞踊をものともせずやり遂げる歌昇君と若手竹本の気合いの入った浄瑠璃に幕が降りてもおしみない拍手が止まらない。
ふと、今月一世一代で松嶋屋が演じている「渡海屋大物浦」を歌昇君で観たいと思った。播磨屋の継承者は誰になるのかフアンに思っていたが、若き二枚目俳優の肉体と精神に芽吹きはじめている。貪欲さをむき出しにして芯の役者となって欲しい。
扇売高尾は次回に。
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