演劇界 6,7月合併号
歌舞伎と言う演劇がこの世界で演じられなくなって3ヶ月を越えた。代わりに海老蔵さん、獅童さん、壱太郎君、俳優協会の「歌舞伎ましょう」松竹さんの「歌舞伎夜話」ならぬ「歌舞伎家話」そして6月13日には「紀尾井町家話」が生配信される。
彦三郎さんの毎日の読み聞かせライブや清元斎寿さんのインスタライブ、歌舞伎俳優さんのコラボライブなど被りまくって全部見られない程活溌に舞台以外の活動をしてくれ寂しさも少し癒やされる。
先日手に入れた歌舞伎専門誌「演劇界」何と増刷するほどの人気ぶりだそうだ。本来なら團十郎白猿を襲名するはずだった海老蔵さんのインタビューが巻頭を飾り、残りは歌舞伎俳優が各々選んだ「この一役」の写真とともにコメントが載せられている。
それぞれの俳優さんの気持ちも伝わるし、この俳優はこの写真を選んだのがと意外に思う物もあって1ページ1ページをめくるのが楽しい。まるで写真集の様な仕上がり。未曾有の出来事だからこその企画だろうが歌舞伎ファンならずとも手に入れる価値がある一冊だ。
さて、東京は東京アラームが6月3日に発令?された。単なる警告みたいだがやはり感染者が増えているのは世の中に不安が広がる。ソーシャルディスタンスで映画館や大阪では大衆演劇も開演しているが、中村屋舞踊公演の中止の発表あがって歌舞伎公演を開催出来るのはまだまた先のようだ。
人気歌舞伎俳優が色んな発信をしてくれているが、猿之助さんは猿之助チャンネルでリモート「歓喜の舞」を発表以来何も動きがない。どうしているんだろう。演劇界で猿之助さんが選んだ写真とコメントは歌舞伎の未来を見据えたもの。
そういえば2016年6月2日に初日の幕を開けた歌舞伎座は義経千本桜の通し公演で猿之助さんが歌舞伎座で初めて狐となって宙を舞った日。
歌舞伎座で宙を翔ぶ姿も感慨深かったが、私は白鸚さんの権太をお相手にお里ちゃんを演じてくれた事が何よりも嬉しかった。猿之助さんが女方でしかも可愛い系の娘役をするのは久しぶり。恋に強引なお役は猿之助さんにぴったりで愛らしい。
17日18日の1泊2日の遠征で私自身も興奮気味だったが、歌舞伎座は猿之助さんが初宙乗りとあって客席は得も言われぬ熱が渦巻いていた。沸き立つ様なあの感覚が懐かしい。
大怪我から3年、そして思いもかけない歌舞伎
公演の休止、猿之助さんが再び狐忠信となって歌舞伎の空を翔ぶ日を夢見て、歓喜の舞を舞いながら演劇界を最初から読み直そう。
冬来たりなば春遠からじ、歌舞伎の春もきっとすぐ傍までやって来てるに違いない。