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高麗屋ご襲名 松竹大歌舞伎

私の巡業千穐楽はびわ湖ホール。東コースで一番西に来てくれた。
口上は巡るご当地の話を織り交ぜて高麗屋ご襲名を寿ぐ。
ここは滋賀県、もちろん猿之助さんにとって大切なお山延暦寺さんがある。
口上は延暦寺の根本中堂に1200年消える事なく守られてきた法灯になぞらえて高麗屋の歴史と未来も栄えますようにとご当地の名所を織り交ぜて寿ぐ。
「双蝶々曲輪日記」~引窓~
白鸚さん濡髪長五郎は大きくて高麗蔵さんのお早が先月の三谷かぶきのアグリッピーナの様に愛らしい。今月松竹座でお元気な姿で「厳島招檜扇」で清盛を演じられてる我當さんの濡髪が初見だった記憶が。
白鸚さんの濡髪は若々しく情に厚い長五郎。
休憩を挟んでお目当ての「色彩間苅豆」いろもようちょっとかりまめと読むのだが歌舞伎のタイトルって当て字が多いから知らないとほぼ読めなかったりする。通称『かさね』は所作事。舞踊劇である。口上で白鸚さんが歌舞伎界で一二を争う程の踊り上手な二人のかさねを楽しんで欲しいとベタほめだが頷ける程二人は息がぴったり。
ストーリーは夏向けの少々怖いお話で

浪人の与右衛門は幸四郎さん、腰元のかさねは猿之助さん。与右衛門は以前にかさねちゃんの父すけを殺し母親と道ならぬ恋に落ちふ。時は流れて与右衛門は養女にもらわれたかさねと出逢い又々道ならぬ恋に落ちるが悪党の与右衛門は土壇場で逃亡。追ってきたかさねと木下川の堤で再会。川面に流れてきた髑髏に刺さった鎌を与右衛門が引き抜くと、美しいかさねの顔が、見るも恐ろしい形相に変化する。卒塔婆には与右衛門が殺した俗名すけと書かれているではないか。与右衛門が行った悪事の因果がかさねの顔を顔を醜くします。与右衛門は義父すけを殺した鎌でかさねを殺すのだが、今度はその怨念が与右衛門を襲う。
怨霊と化したかさねは連理引き(男に殺された女が怨霊となって、逃げようとする男を引き戻す)

かさねの怨霊が後ろ向きで左手を引き寄せると与右衛門が引き戻される。左手を回すと与右衛門はぐるぐる回される。猿之助さんの手と幸四郎さんの動きがピタリと合う所が見ものである。
幸四郎さんのご襲名公演なのでふだん猿之助さんが見せる怨霊感よりは猿之助さんの手に合わせて連理で引き寄せられる幸四郎さんを引き立ててる様な静かな動き。
殺される前に帯を引っ張られたり美しくえび反りになるかさねを見てよくぞここまで回復してくれたと感慨深いものを感じる。
猿之助さんは幸四郎さんの時だけは女方をするって二人のトークで話していた様な記事を読んだ記憶があるが、色悪の幸四郎さんに不幸な目に合う女方の猿之助さん。これほど似合うカップルはない。所作事だけではなく古典でぶつかり合う二人をいつか見たい。『女殺油地獄』の再演も願いたいところだ。松竹座の頃は猿之助さんのお吉はまだぎこちない動きだったので完治した猿之助さんと幸四郎さんで再演を望むところ。

猿之助さんはご当地、ご当地で名物や名所を織り交ぜ高麗屋を寿ぐ口上。巡業の楽しさを感じさせてくれるのも嬉しい。賢く優しい人柄が感じられる。
私の巡業はびわ湖ホールで終わったが今月末まで巡業は続き、それが終わると二人は八月納涼歌舞伎のYJKT「弥次喜多」のお稽古が待っている。
どこまでいっても仲良しの二人である。
弥次喜多が今年限りというのは残念だが、ぜひともシネマ歌舞伎として残して欲しい。

#市川猿之助 #高麗屋襲名 #巡業 #東コース
#びわ湖ホール #かさね





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