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シネマ歌舞伎 女殺油地獄

11月に入ると『新版オグリ』以外のお楽しみがある。シネマ歌舞伎『女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)』だ。昨日8日が初日で約一ヶ月近く上映してるのでお時間がある方は覗いて欲しい。歌舞伎公演を観ることを思えば格安。ムビチケなら1800円で見られる。
とは言うものの私個人はシネマ歌舞伎はあまり好きではない。
自分が観た舞台と全く異なる芝居がそこに登場するからだ。
今回は油地獄の場面は多分無観客の舞台で映像用に別撮りされたらしい。幸四郎与兵衛、猿之助お吉それぞれの表情の変化が読み取れる。徐々に緊迫していく二人の関係性も明確だ。アップで捉える幸四郎与兵衛の狂気、死にとうないと命乞いする猿之助お吉の切羽詰まる危機感。
とても良く撮られた映像だが、舞台と違う。シネマ歌舞伎ならではの特別な映像と割り切れば、殺し殺される男と女の残酷な美学に魅入ってしまうのだがやはり違和感。
何度も足を運んで観た松竹座の『女殺油地獄』と違うのだ。特別映像と観客の入った舞台で撮った映像をミックス出来なかったのだろうか。二人を同じ画面の中に収めながらあの日観た熱を映像に閉じこめる事は出来なかったのだろうか。
シネマ歌舞伎のカメラの目と観客席の目線が違う。
今までシネマ歌舞伎で感動したのは自分が生の舞台を観てない物ばかり。舞台を観てるのはシネマ歌舞伎に記憶が上書きされてもしまうのでちょっと残念。

舞台が記録として映像に残る事はとても嬉しい事なのだが記憶と記録の違いがどこまでもまとわりつく。
シネマ歌舞伎の難しいところだな。

ムビチケがまだ2枚残ってる。猿之助さんのシネマ歌舞伎は意外と少ない。
襲名興行の『ヤマトタケル』『スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース』そして今回の『女殺油地獄』の三作品。法界坊や空ヲ刻ム者、黒塚、四ノ切は映像としてはあるのだが、シネマ歌舞伎で残して欲しい。弁天小僧も大きなスクリーンで観たいなぁ。
#シネマ歌舞伎 #女殺油地獄 #市川猿之助 #市幸四郎

#シネマ歌舞伎 #女殺

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