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三谷かぶき

初日と千穐楽を見て

三谷かぶき の #千穐楽
札止めの人気。初日以来だがこれだけ初日と演出が変わってしまった舞台も珍しい。三谷風味の笑いをまぶした「月光露針路日本」の初日は松也君の口上と言う解説からスタート。千穐楽は松也君随所に進行役とて登場。この人しか出せないミュージカルで鍛え上げた身のこなしと口跡の格好良さ。雪衣としても大活躍。驚いたのは猿之助さんが随所に見せる歌舞伎味。
飢えを死のぐ為に肉を無理やリ食べるシーンは義太夫三味線に乗っての長めの芝居。
足を痛める場面は、下座の荒法師達の音楽に乗るハスキーちゃん達。足を痛める庄蔵は怒る黒塚岩手の舞踊。六方のオマケ付。
全身全霊で歌舞伎味を体現してくれる猿之助さんにお客は拍手喝采。
別れの時、光太夫が庄蔵にロシア式のあいさつ(唇を合わせるキス)を強要して笑いを誘う。
その後、絶妙な間合いで心の底に押さえ込んでいた日本への思いが一気に吹き出す庄蔵。「どうしよう」と言う庄蔵に「でいじょうだ」と新蔵が返す台詞は二人のアドリブで誕生した科白と三谷さんは新聞のエッセイで書いていたが全く記憶にない駄目な観客。私の中ではこうだ。ロシア式の挨拶を光太夫にやり返し一瞬の笑いを誘うものの、次の瞬間「帰りてえよ~~俺も帰りてえよ~~」
渾身の嘆きが客席の笑いを抑え込み観る者全ての心を涙の渦に引きずり込む圧倒的な芝居。わかっているのに号泣してしまう。全ての時が止まり悲しみの静寂が劇場を包む。
笑いもいいけど、私が観たい猿之助がそこに居た。もうこの猿之助さんを観られたら私は満足。お客の心を全て鷲掴みにする猿之助の歌舞伎があったから。
この芝居を歌舞伎かどうかは別として話題を呼び後半は札止めが続いた。満席にする事が俳優の使命。猿之助さんはいつも言い切る。
徐々に力を入れて形も少しずつ変えてお客さんの気持ちを掴む手練手管は本当に凄いと思う。数分間の見せ場で心を全て猿之助さんに持って行かれた千穐楽。

カーテンコールは3回、ここでも松也君と八嶋さんが大活躍。最後まで三谷風味を楽しんで終わった 三谷かぶき の幕引き
カーテンコールがあるのは新作歌舞伎のお得だと思う。
また三谷かぶきはあるのだろうか?
次は猿之助シュヤクでお願いしたい
#猿之助さん #市川猿之助 #三谷かぶき

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