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企業系検査技師のグローバルな給与事情

ごきげんいかがですか、ふたこ研です。
とても久しぶりのアップです。
今回は気になる(!)給与事情です。優秀な人財の海外流出や大手への移動を避けるために給与ベースアップが続々実施されている中で、コメディカル業界の給与については・・・ 変わらないですね・・・

はじめに

今回は臨床検査技師の実際の給与事情ってどうなのかnoteしたいと思います。日本の臨床検査技師の平均給与については多くの職業系サイトで厚生労働省のデータを用いてオープンになっている通りですので基本的なところはそちらのサイトたちを参考にしてください。残念ながら決して給料は高いとは言えないです。
日本は美徳の文化であり医療においてもそれで良しとしてきているところがあります。もちろん雇用制度、保険制度、国の成長率なども関係してきますので給料が高いことがよい、とは一概に言えないのですが、一生懸命養成機関で勉強してもこのような給料なのか…と私も働き始めは衝撃を受けた覚えがあります。訴訟も医師以外の臨床検査の従事者が対象となる件も増えているようですので「こんな給与体系では割に合わない」、と判断して進路を変える、悩んでいている若手技師も少なくないのではないでしょうか。 

日本の臨床検査技師給与平均

賃金構造基本統計調査の女性臨床検査技師の22歳から59歳までの生涯年収を算出すると、20-24歳 336万円から始まり、50-54歳 571万円が生涯最高年収とのことです。20代→50代で約1.7倍にしか上がっていないんですね…
男性臨床検査技・・・50-54歳 740万円が生涯最高年収で20代→50代で約2.2倍に上がっていました。この増加率を私は低いと取りますが皆さんはどう思いますか?
平均年収は約496万円であり全国平均443万円よりはわずかに高いです。平均値というのは高い金額に引っ張られてしまうので現実的には中央値をみたほうがよいかと思いますが、中央値は約350万円になります。
厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査

日本とアメリカの臨床検査技師給与平均推移比較

アメリカの最近の臨床検査技師年収中央値は約706万円($=129円換算, $54,377)です。ただし、アメリカは教育レベル、certificationレベル、認定資格などによって幅が広いため年収の幅も$56,858-$117,196といったようにとても広いレンジになります(参照)。どのような教育機関を経たのか、どの認定資格を取っているのか、が大きく反映されることになりますので自身の専門性を上げる、認定資格をとる、といった行動が給与に直結する、ということになります。これはGenaralistの多い日本とは全くといって異なる体系であり、国柄でもあるのではないかな~と個人的には考えます。
日本とアメリカのここ10年の平均年収の推移をプロットしてみると日本はほぼ横ばい、アメリカは緩やかですが上昇しているのが分かります。

厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査MEDICAL LABORATORY SCIENTIST SALARYより作成

また、10年前の平均年収からの伸び率を計算してみると日本は約8%。アメリカは約13%の伸びとなっています。
これは世界的に日本が賃金上昇率が低いこととも関係しているのだと思いますが、臨床検査技師の給与についても同様なんですね・・・。

厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査MEDICAL LABORATORY SCIENTIST SALARYより作成

アメリカの地域ごとの検査技師給与平均

ちなみに、日本においても地方と都市部で給与が違うようにアメリカでも地域ごとに給与の高低はあります。州ごとに技師の資格制度が異なっていたり、検査機関の特徴や数も違いますので、一概に日本の地域差との比較はできなそうですが。

The darker areas on the map show where medical laboratory scientists earn the highest salaries across all 50 states.
MEDICAL LABORATORY SCIENTIST SALARYより引用

参考:ふたこ研

参考までに私の給与推移です。
大学院卒業して1年目の検査ラボの給料(手取り額)をベースに考えると
@診断薬企業 1年目×1.5倍
@新規ヘルスケア参入の大手企業 1年目×2倍
@製薬企業 1年目×3倍  
資格取得してから15年くらいで給料3倍になっています。企業は何よりも稼ぎがボーナスに直結しますので、年収として計算すると5倍くらいになっています。

もちろん、企業と臨床の違いが大きくありますし、お金への価値観、臨床への寄与度などの違いもあると思います。そしてこれは臨床検査技師から企業系検査技師になることで5倍になるよ、という軽々しいものでもありませんので誤解なきよう。。。

おわりに

今回は臨床検査技師の給与比較 vs アメリカについて書いてみました。
臨床検査技師に関わらず日本のコメディカルの給与は低いです(地位も低いし声も小さい…)。何を目的に人生を過ごすのか、将来の自分のモチベーションを考えた時に何を選ぶのかはひとそれぞれですが、給与の観点で企業検査技師も選択肢となる参考になると幸いです。

では、また。ごきげんよう。

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