馬欧比較 高速長距離鉄道ユーロスター
今回、初めてユーロスターに乗りました。ユーロスターは1994年11月14日に開通して、今年で30周年記念を迎えたそうです。僕が初めてヨーロッパに行ったころですが、当時はそんなに急ぐ旅でもなく、そんな情報もなかったと思うので、当時は乗らなかったのです。
当初はロンドンとパリ、ブリュッセルをつないだ便のみで、現在はオランダやドイツなど5か国を結んでいます。30年間で3億8000万人が利用し、2023年のみで1860万人が乗りました。2030年までには年間あたり3000万人が利用するようにしたいとか。新しい電車も2030年には導入するようです。
今回僕はロンドン~ブリュッセル、アントワープ~アムステルダムの2区間でユーロスターを利用しました。
ロンドンはキングス・クロス駅隣りにあるセント・パンクラス・インターナショナル駅から乗ります。ここからブリュッセル南駅までは2時間ほど。
セント・パンクラス駅はさまざまな店が立ち並びますが、その中にユーロスター用の改札があります。ここで荷物検査と出国審査を受けるのですが、かなり人が多く、ゴッタ返していました。出国審査は簡単なものでさっさと中に入れました。
電車のプラットフォーム番号は直前まで発表されず、人々は1階のロビーで待たされます。しかし、ここが狭い。なぜあんなに狭いのかと不思議でなりません。ここにはサンドイッチ屋があったので、久しぶりにイギリスのサンドイッチを楽しみました。
さて、午前10時すぎに電車に乗ることになりましたが、出発20分ぐらいまでにならないとプラットフォームはわかりません。確か2番線だったと思いますが、表示がされてからすぐにエスカレーターで上へ。ブリュッセル行きも結構人が多かった。
車内もまた狭い。椅子もそれほど大きくなく、欧米人は体が大きいので、あんなに小さいと窮屈な思いをするでしょう。日本の新幹線のほうがよほどゆったりとできる。カフェの車両もあるのですが、アメリカーノが3.7ユーロ(約600円)と高い。
今回一番気にしていたのは荷物。置き場所は各車両の端にあります。そこに大きいスーツケースを置くことはできますが、僕は盗難が気になって、席からも見えるように置きました。ただ、車内は警備員や職員が見回っていたりするので、それほど気にしなくてもよかったかもしれません。
電車は定刻通りに出発し、30分も経つとドーバー海峡下のトンネルに入りました。別に何も見えないのですが、昔この海峡を船で渡ったことを思い出しました。トンネルの中はどのくらいの時間か忘れましたが、しばらくするとヨーロッパ大陸に。フランスに入って古い街のリールに停車。ここはベルギーの国境に近いところ。このあたりはフランスのいい雰囲気がある街で、次回は来たいなあと思いました。
ブリュッセルにはアッという間に着きました。入国審査があるかと思っていたのですが、それはなく、ただ人の流れに任せてついていくと駅の外に出てしまいました。
もう一つはベルギーのアントワープからアムステルダムに乗ったユーロスター。1時間ほどの所要時間なのですが、正直鈍行に乗っても2時間で着くので、ここでユーロスターに乗る必要はなかったかなと思いました。
この便は赤い車両ですが、やはり車内は狭い。ユーロスターは一部の席は対面になっていて、見知らぬ人と対面しないといけません。日本の新幹線だとどの椅子も回転させることができますが、ユーロスターではできない。このあたりがなんだか不親切だなあと思うのですが。
ユーロスターは普通席と、日本でいえばグリーン席の2つがあります。グリーン席は当然値段は高いのですが、コーヒーがついているようです。まあ、初めて乗ったので、普通席でいいかと思ったのですが、あの狭さを考えるとグリーン席のほうがよかったかもしれない。車内もほぼ満席で、ゆったり感はありませんでした。
さて、このシリーズはマレーシアと欧州の比較をすることなので、マレーシアのことを少し書きます。ユーロスターのような長距離の高速鉄道はマレーシアにはまだありません。
クアラルンプール~シンガポール高速鉄道計画は2010年に当時のナジブ首相(国庫泥棒の容疑が確定して現在は収監中)が発表しました。全長350キロ、所要時間は90分ほどを計画。
しかし、不透明な資金や建設費が膨れ上がったこともあって、政権交代した後のマハティール政権が2021年に中止を発表。日本や中国が車両を導入させようとせっせこ働きましたが、実りませんでした。マレーシア側はシンガポールに契約違約金を払って、この計画は完全になくなったのです。
ところが、与党政権の構成が変わると、2023年に計画の復活が発表されました。すでに入札を終え、最終候補として残った3社からどれにするかをそろそろ発表されるようです。
そもそも元来の計画では2026年に稼働させる予定でした。10年ほどかかるプロジェクトで、仮に来年から始めるとしてもおそらくできるのは2035年あたりではないでしょうか。開通したとしてもそれまでに本当に必要である鉄道なのかは誰にもわかりません。
KL~シンガポールは飛行機で1時間ほどで行ける距離ですし、便利になるのはいいですが、途中で電車が何らかの事情で止まれば、それ以上の時間がかかる。現在でも国内の電車は問題が多く、結構止まることが頻発しているので果たして高速鉄道はいつも無事にいけるのかどうか。
イギリスと大陸間のように、やはりどうしてもマレー半島と島のシンガポールは陸路でつなげたいのかもしれません。