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社長の指示がないと電気を消せない?

 僕はあまり会社勤めが長くないのですが、何十年も会社に勤めると社長の指示がないと何もできない人たちになってしまう人が多いようです。

 うちの会社はとにかくあっちもこっちも電気がつけっぱなし。来客用の部屋や廊下もあるのですが、来客が帰った後は誰も消してくれないのです。何度も総務課などに文句を言っていますが取り合ってくれず、どうも日本の社長の指示がないからできないらしい。まさか「応接室の消灯指示書」なるものが日本の社長から発行されないと何もできない?

 その一方で、「経費節減を!」と日本の本社も含めて全社で呼びかけているのですが、これをどう解釈したらいいのか。電気を消すことは経費節減につながると思いますが、電気を消すことが経費削減になるのが分からないようです。

 社長の指示に徹底的に従うのであれば、そもそも電気は付けてはいけないはず。社長は「部屋を使うときに電気をつけろ」とは言っていないのですから、明白な指示違反になります。勝手に会社の電気を付けて消さない。厳密に言えば、これは会社の重大規律違反であって、懲戒を受けても仕方がないとは思います。

 最近思うのですが、僕は「使わない電気は消す」という常識がもしかして間違っているのではないかと。こちらの人たちは自分の家では使わない電気は消さないのでしょうか。

 「使わない電気は消しましょう」とマレーシアの電気代請求書には可愛い絵とともに記載されていますが、ああいう告知があるということは、そういう常識をもっている人がいないからなのでしょうか。

請求書裏の絵

 パンデミック時には外出ができなくなって自宅の滞在時間が長く、電気代がかなりかさみました。政府はいまだに補助金を出していますが、それでも電気代が高い人は高い。僕の電気代は月だいたい15リンギ(約500円)ですが、1人で住んでいても何百リンギも払う人がいる。つけっぱなしにするクーラーが電気代高騰の一番の理由ですが、それでも使わないクーラーをこまめに消していけばだいぶ抑えられる。つまりは、「使わない電気は消す」という「常識」があまり浸透していないから電気代が高いのではないか。

 いずれにしても、使わない電気一つも社員が自主的に消すことができない会社は前途多難と言わざるを得ません。こんな状況で「品質改善を」と言われても、説得力がない。

 社長の指示がないと電気が消せないという思考停止の人たちも前途多難でしょう。何から何まで社長の指示がないとできない奴隷のような存在なのですから。会社の中で自主的に動けない社員というのは、果たしてこんな時代に必要であるのか。社長がワンマンであれば、多少なりとも仕方ないのかもしれませんが、うちはそういう会社ではありません。こうなってしまうともはや会社勤めが彼らの人生にとって負の遺産になってしまったということなのかもしれません。いやはや。

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伊藤充臣
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