マレーシアにも実は地震があります
マレーシア気象局は12月19日、サバ州で今後強い地震が発生する可能性があると発表しました。
マレーシア最高峰のキナバル山がある同州ラナウ郡で今月16日午後3時ごろ、マグニチュード2.8の地震が発生。また、翌日には同3.1の地震が起こりました。後者の震源地はラナウの西14キロ、深さ10キロということで、引き続き注視していく同局は先に発表していました。
同州には活断層があって、2015年6月5日に同郡でマグニチュード6.0の地震が発生し、このときはキナバル山に登っていた外国人も含めた18人が巻き込まれて死亡したのです。道路なども大きく被害を受け、登山も2年ほどはできないほどでした。
実はキナバル山麓には温泉も湧き出ています。温泉は、地下に染み込んだ水が大地の熱で温められて地表に湧いたもの。地下ではマグマの熱源によって水の対流が起こり、高温の温泉水は断層などの割れ目を通って地上に湧出します。このため、温泉があるということは、地震も避けられないということなのでしょう。
マレーシアはあまり地震がないイメージなのですが、実は結構頻繁に起こっています。
専門家によると、マレー半島では1922年から2020年の間に59回の地震が記録されています。このうち40回が2007年から2020年。ボルネオ島のサバ州では1900年から2019年までに67回の地震が報告されているとのこと。
マレーシアでは特に隣のインドネシア・スマトラ島での地震の影響が大きい。マレー半島の下には活断層はないのですが、スマトラ島で大きな地震があるとそのあおりを受けます。同島西海岸ではこれまで何度も大きな地震が起きていますが、最も記憶に残っているのは2004年のスマトラ島大地震。マグニチュード9.1という巨大な地震で、スマトラ島先端のアチェ州沖が震源でしたが、このときもマレー半島西海岸では揺れを観測しています。
このときは揺れのほか、あまり知られていませんが、ペナン島やランカウィ島、西海岸沿いに津波が押し寄せました。3メートルほどの津波が押し寄せ、ジョージタウンも浸水。死者は68人（うちペナンの死者は50人以上）、負傷者は299人、行方不明者は6人でした。ちなみに、タイのプーケットも被害を受け、タイ全体では主に津波の被害で8000人以上が亡くなっています。
スマトラ島ではその後も2005年から2016年の間に大きな地震が発生していますが、発生から1週間ほどはマレー半島でも余震がありました。同島のインド洋側は活断層がたくさんあり、島全体がマレー半島の堤防のような役割をしていますが、それでもマレー半島にも影響は出るのです。
今後もおそらく地震を避けて通ることはできないでしょう。専門家は特にラナウ郡での建物の耐震強化を訴えていますが、日本と違って頻繁に襲ってくるわけではないので、人々はあまり真剣に取り組んでいません。
マレー半島でよく見る、あの割り箸のような柱の高速道路を見ると、地震があったらまず真っ先に倒れるだろうなあと思うのは僕だけではないと思います。マレーシアでは建物の耐震はほとんど考慮に入れられていません。ただ、今後もスマトラ島で大きな地震が起こらないとは全く言えず、気候が変化している昨今にどこが震源地になってマレー半島に襲ってくるかもわかりません。
そのためには耐震は必須だとは思いますが、これだけすでに耐震のない建物が乱立してしまっていると大きな地震が来たら崩れるしかないのでしょう。
ちなみに、2009年9月30日発生したスマトラ島パダン沖震源の地震で、僕の友人のお姉さんが亡くなっています。突然地震が来たため、外に飛び出してしまい、コンクリートの壁が倒れて下敷きになってしまっためでした。発生から2週間ほどして現地に行きましたが、パダンの街は壊滅状態。大きな建物が斜めになったり、建物の1階部分がぺちゃんこになったりした光景を目の当たりにしました。ああいった状況を間近に見ると、地震の恐ろしさを改めて感じます。マレー半島ではああいった事態にならなければいいですが、気候変動が著しい近年、もしかすると地震が頻発してくるかもしれません。
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