「書く力」で稼ぐということ
「書く力が生きる上でアドバンテージになる時代なのだと思います」というブログを読んだ。
要約すると、いまの時代「書く力」があれば
・ライターとしてお金を得る
・アフィリエイターとしてお金を得る
・ブロガーとしてお金を得る
ということが可能になり、会社に頼らずとも自分の力で自分の未来を切り開いていけるよ、と。
確かにそうだなぁと思う。私が駆け出しのテックライターだった頃(95年頃)に比べると、物書きになるハードルは格段に下がり、いまは誰もがその気になれば自己発信でお金を得ることができる。
しかも今はnoteのような素晴らしい小額決済プラットフォームもある。個人が個の力だけでも勝負していける、いい時代になったものだ。
それでも売文業は「茨の道」
ただ私自身は、過去に10年近くライター一本で食べていた経験から、単純な売文業(原稿料で稼ぐ仕事)だけで食っていくのは今後も引き続き楽ではないだろうと考えている。
その1番の理由は、単価と自分の稼働時間その両方に天井があるからだ。自分の身が1つしかない以上、どうしたって稼げる額には限りは出てくる(突き詰めると体力勝負になる)。
また印税のような不労所得が得られる仕事に的を絞るにしても、昨今は印税率や刷り部数が恐ろしく渋い。すでに書籍を出版されたことがある方はお気づきだろうが、これ「だけ」で食っていくことは到底無理な話だ。
ブロガーやアフィリエイターは記事ストックが貯まるほどに収入も増えていくので実入りが良いようにも思うが、競争もそれなりに激しくなっている。今後も副業としては裾野が広がっていくだろうが、長く本業でやっていける人はやはりごく一握りに限られるのではないだろうか(イケハヤさんみたいに、ブログをフックに別のビジネスを展開していく人は増えそうな気はするが)。
書く力で得られるのは「お金」だけではない
では、「書く力」なんかあってもあまり意味がないのかというと、決してそうではないと思う。書く力は間違いなく今後すべての人にとって武器になる。これは断言してもいい。
私自身、ライターをやめてからというもの、長らく紙媒体でもネットでも文章を書いてこなかったのだが、最近になって事業のPRのためにブログや寄稿を再開してこの「書く力」の威力を実感している。
最近の自分のブログでいうと、「私がスナップマートを通して実現したい世界について」と「40代のおばさんがスタートアップにチャレンジする極めて個人的な理由」というエントリーには、想像を絶する反響があった。
人前で話すのが苦手な私が、文章を書くという作業を通して、東京ドームが満員になるくらいの人たちに自分の「思い」を伝えることができだのだ。そして、この「思い」に共鳴してくれた人たちが、私自身やスナップマートに興味を持ってくれ、写真を投稿してくれたり、SNSで応援してくれたり、取材を申し込んでくれたり、一緒に働きたいと言って履歴書を送ってくれたりした。
これほどすごいことがあるだろうか。
それまで私は「文章なんか書けてもなぁ〜、いまのご時世食ってけないしなぁ〜」という感じで自分のスキルや経験を捉えていたのだけど、いまは人生の一時期に書く仕事を本腰入れてやっていて良かったと思っている。本当に、何が自分の身を助けてくれるかわからないものだ。
この経験を通じて、私は改めて「書く力」から得られるのは金銭的な報酬だけではないのだと実感した。書く力を持つことの最大の利点は、人の心や行動を変えられるというところにあるのだ。
素人こそ「書く力」を身につけよう
というわけで、「書く力」だけで食っていくのは長い目で見たらなかなか覚悟のいることだなと思うのだけど、文章のプロではない人が「書く力」を身につけることは今後極めて重要になってくると思っている。
といっても、高い文章力は必要ない。人々が求めているのは主に「その人にしかない固有の体験」であり、どこかのビジネス書で読んだような高尚な話ではない。誰にだって「面白い話」は書けるのだ。
「書く力で稼ぐ」というと、プロのライターやブロガーにしか関係のない話のように思われるが、「稼ぐ」というのはなにも「媒体から直接お金をもらう」ことに限らない。
むしろ、間接的な対価の方が大きいのではないかという気がしている。
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