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何やってるのかよく分からないけど、市役所への就職を考える方に
私は35歳の年に市役所へ転職しました。
そもそも市役所って何をしているか皆さん知っていますか?
私は正直あまり仕事のイメージをあまり持ってない中、市役所に転職してもうすぐ1年。イメージと違った点や驚いた点、こんな感じで動いてるのかなと言った話を今後市役所に志望している人向けて解説できたらと思います。
●仕事の対象は誰か?
市の住民です。まず住民かどうかを判定する、登録したり外したりする仕事があります。
住民とはその自治体に住所を持っている人で住民登録をした人になります。
引越して住民票を動かさなかったら住民税の請求が以前住んでいた市町村から届いた、なんて経験ある方もいるのではないでしょうか。
住民の登録事務がまず一つ市役所の仕事です。
●仕事の原資は何か?
住民税になります。細かい話をすると色々ありますが、ひとまず住民から集めた税金で市の運営を回していると理解すると良いかと思います。
基本的には世の会社が給与から一人一人の住民税を天引きし、会社が市町村ごとにその人の分を代わりに納めることをベースとしています。(ちなみにこっちが多数派ですが、特別徴収と呼ばれます。)
ちゃんと徴収できたか、できてないなら請求を出したり、連絡したり、転職した人や退職した人の徴収方法の切り替えの手続きをしたり、と言った仕事があります。(退職時会社で切り替えの手続きをしないと請求が来ちゃいます)
ちなみに、市民税を払わないでいると段々封筒の色が変わります。
●仕事の方向性を決めるのは誰か?
市民です。形式上は市民で、市民が投票で選んだ市長が案を出し、これまた市民が選んだ議員が議会で質問したり、承認したりします。
自治体によって違うかも知れないですが、実感として市役所は市長がかなり強い印象です。市長は一言発する鶴。市長がこれをやると言ったらやる。
ただ細かいところは市役所民が作ります。議会の時間は限られているため、細かいところまでは委員会で話したりはしますが、さらに細かいところはそもそも市役所民が日々住民とやりとりする中で見えてきた課題について案を作ったりします。住民と直接やりとりしたり、課題を吸い上げたり、案をまとめたりすることも仕事の一つだなと思います。
たまに議員よりこれこれについて調べて欲しいと言った依頼が来たり、他市町村から視察が来てそれに対応したりと言った仕事もあります。
●基本的に何にお金を使っているか?
議会で話し合われたことを行うと言っても基本的に市役所が行う仕事の型(どの市町村でも行うこと)はあります。
ここにある図に、国や県、市の行うことの役割分担がまとめられています。
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県と市の役割分担は政令指定都市だなんだで分担が変わったりしますが、市の役割は大体下記になります。
・もしもの時の備え系
消防、救急、国民年金、保険の事務、防災・・・
民間が稼げないことや、民間が独占したら価格が釣り上がる性質を持ったことを行います。その一つにもしものことがあった時の備えを日々行います。個人で見ると人生に一度のことも、何万、何十万人とか抱える市町村は毎日何かが起こります。
まずイメージしやすいこととして、火事の時には火を消し、急患者が出た時は病院に運ぶ仕事があります。
病気や老齢になっても暮らしていけるよう保険も取り扱います。会社勤めの人は基本厚生年金、社会保険に入っていると思いますが、それ以外の人に向けた国民年金、健康保険の事務となります。保険料徴収やら支払いやらも仕事の一つです。
また、災害があったら避難場所を用意し、避難場所の運営を行います。さらに、大きい災害があれば、市を越えてその地域に動員されることもあるようです。
・そもそも、もしもが起こらないために
保健、衛生、水道、下水・・・
市役所の中の人になって驚いたことの一つとして、獣医師、薬剤師の免許を持った人が多いことがあります。特に、家畜を育てず、ペットを飼わない人間として獣医師は縁のない職業だったのですが、「ここにいたのか!」と驚きました。動物と衛生は切っても切り離せないと言うことなんですね。確かに鳥インフルとかが出ると家畜の殺処分など県や市といった自治体が行います。
また、コロナの時、自治体の対応が顕著に出たかと思いますが、平穏を求める市役所としては、ウイルス感染を防ぐことは使命になります。ワクチンを打つ時、書類が届き、体育館に行き、誘導された経験などあるかも知れませんが、あの運営をやっていたりします。
当時零細企業企業に勤めていた時は、こんな規制(自制?)を厳しくしたら小さい企業は潰れちゃうよと思っていました。自治体にもよるかも知れませんが経済振興系の部署より保健衛生系の部署の方が力が強い印象です。
また、当たり前すぎて忘れがちですが日々の衛生に重要なモノとして「水」があります。上水道、下水道の整備や水質管理なども市が統括しています。
・次世代を育てる
教育、保育・・・
小中学校の先生の採用、給与の支払いは県が行っているところが多いと思います(政令指定都市などは市が行う)。学校施設の建て替えや学校給食の食材調達、調理なども市の仕事としてあります。
また、子供のいる人は保育園の申請で「保育課」「子ども課」みたいなところにお世話になっているかと思います。市立の保育園の保育士さんの採用なども行なっています。
・土地の使い方の調整、整備
都市計画、建築審査、道路・・・
同じ地域に人がいっぱいいると争いの元になるのが土地。
倒れそうなバカ高いビルがもし都市の中にあると近くに住む人は不安になると思います。排ガスが多い工場の近くには住みたくない一方で働く場所は欲しい。地区内の土地の棲み分けを行ったり、建築の基準に当てはまっているか審査したりもします。
また市道や農道、水路などの管理もします。
・内部調整
人事、財務、情報・・・
組織に人が集まり、取り扱うお金が多くなるとそれらを調整する部署も必要になります。給与の計算、経費の精算、役所内のシステム環境の整備。これらの部門は大きい会社とやることは近いのではないかと思います。
・住民コミュニケーション
広報、窓口、公民館・・・
市で行うこと、新しく決まったことも住民に知られなければ意味がありません。広報〇〇市を作り配下したり。そもそも窓口に来て話をしたり、公務員がワラワラ色んな現地に出向いたりすることで、市内の情報が役所に集まり、市の方向性に生かされてきます。発信だけでなく情報収集も市の仕事となります。
●どこに配属されるかは神のみぞ知る
他にも農業やら、観光やら、市役所の仕事は多種多様です。部署関わらず選挙になると最優先で選挙事務に動員されたりもします。
専門職でなく、一般事務職だとコロコロ部署を異動するので、異動のことを「転職」なんて言う人もいます。
確かに生活保護受給者に訪問するケースワーカーの仕事から市内の情報化を促進する仕事に移るなんてこともあるらしいので転職感はあるなと。
カッチリ処理することが決まっている、覚えることが多い部署だったり、地主に頭を下げて土地を取得する仕事だったり、配属される部や課や班によって働き方が変わります。そして、3年に一度ほど異動があります。(5年くらいいたり、逆に1年くらいで動く人も稀にいるようです)
市役所で、一般行政職として就職しようと考える方は、希望するジャンルにつかなくても、コロコロやることが変わることをある程度楽しめる(順応できる)特性がある人が向いてるのかなと思います。
ジャンルに対しての専門性は身につかないかと思いますが、色んな視点から市民や土地に関わるので、その地域についてはかなり詳しくなるかと思います。(長くいる人ほど美味しい飲食店にやたら詳しい、、)
自分の住んでいる地域のことを、総合的な観点から深く知っていける仕事はかなり面白いのでは、と今段階では感じています。
ぜひ就職の選択肢の1つにしてみて下さい!