銀のしずくふるふる
登別駅から徒歩15分。「歩いてこられたんですか!」と言われるくらいの散歩コースで知里森舎の「銀のしずく記念館」へ。道内の女性建築士さんが設計したたてものはこぢんまりとしてあたたかい。知里幸恵さんを見たことはないけれど、彼女のふんいきに合っているように可愛らしい、すがすがしい場所だった。
資料を見ていてあらためて思ったのは「土人」ということば。土人法があったのもそうだが、金田一先生までハガキの中でその言葉を使っていたので、よほど当たり前に使われていたのだろうと感じた。
時間があまりとれなかったのが残念で。今度は2時間コースでじっくりと。「私たちのことばに価値があるの?」と戸惑っていた幸恵さんが金田一先生と話してアイヌ語の価値を再確認していくさまが書簡から伝わってきて、次回はもっとていねいに下調べをしてから見たいと思った。また違った感動になるのだろうな。
Kamuichikap Kamui yaieyukar, "Shirokanipe ranran pishkan"
ぎんのしずくふるふるまわりに きんのしずくふるふるまわりに で知られる、梟の神の自ら歌った謡「銀の滴降る降るまわりに」。知里幸恵がおばあさんたちから聞いてきたカムイユカラを文字にしてつづったアイヌ神謡集。もう少しで出版というときに彼女は19歳で早世してしまう。そのエピソードが先行してはかない少女の夢のような作品と思ってしまうが、本書の「序」を読むだけでもそこに描かれた"かつて"のアイヌの力強い姿に胸を打たれてしまう。自然の中で生きてきたエネルギーがふつふつ伝わってきた。
またぜひ行こう。館長のむつみさんがまたこの場所に似合って素敵だった。