人間ドック奇譚。後編
前編後編の間がかなり空いてしまった。年も越えて。目の前に節分。
珍しくイベント続きだったことと、久しぶりに風邪もひいた。気を抜いてしまったか?打ち上げで飲み過ぎて近年稀に見る二日酔いからの胃腸不調とか、朝起きたら首が回らないとか、とか、とか。
健康に気を遣っているんだかなんだかである。とりあえず、気温や気圧の変化に影響受けるのか、人並みにちょこちょこあるけれど、ワタシは元気です。
さて、ドックのつづき。
大抵序盤には身長体重、視力、聴力、血液検査をさくさくと。
相変わらず身長にも体重にも納得いかず、視力にいたっては半分くらい勘だより。周囲からニカウさんの称号を与えられていた⒉0の裸眼など、全部スマホに持っていかれてしまった。
聴力も毎年のことだが、耳鳴りと検査の音の違いが迷いを生んで、首をかしげながらボタンを押している。
血液検査ではなるべく困らせないように腕を下げてこっそりグーパー。なんせ細血管のせいで何度ご迷惑をかけたか。とはいえ、たいていドックの看護師さんは一発でイチオシのポイントにブスリである。さすが。
ここからはスタッフの采配で順番はいろいろ。
肺レントゲンで息止めて。エコーで脇腹こしょばしくって我慢して。次はまあまあ苦手な肺機能検査。太めの管をくわえてスーハーするアレである。
あの「吐いて吐いて吐いてーーー」の指示がどうにもツボなのだ。初めてやったときなんて、「吸って吸って吸ってーーーー吐いて吐いて吐いて!ぶーーー」の熱烈な声に「ぶふふふー」と噴き出してしまいやり直しになった。どうしてもあの時のスタッフの方を思い出してしまうのだ。彼女は今も江戸川区の病院で「ぶーーー」とお元気だろうか。
そうして、ここまで来たらいよいよである。本日のメインイベント、バリウムタイム。人によってはカメラだろうけど、ワタシは鎮静下じゃないと異物を飲み込めないので、謎の白い液体をセレクトしている。
ここからは自分の可能性にかけるしかない。冒険の始まりだ。
発泡性の薬を粘度の高い液体で服用し、なおかつゲップをがまん。目を白黒させつつ、「はい飲んで飲んで」とバブル期の飲み会かと思うほどに「飲んで飲んで」と優しくコールされ続ける。途中であきらめちゃダメと自分を鼓舞しつつ、ねっとりとした白い液体を飲み切る。
ここまでクリアできたら上出来。あとはアスレチック気分でがんばるだけ。言われるがままにうつ伏せ仰向けクルクル回転。頭は下がり、腹にパンチをググッと。ときどき、これ、会社の偉い人も大女優もやるのかな?と意識が飛ぶ。
いや、飛んじゃダメ。指示に集中だ。
試合終了後。マシンを降り立つ勇者は、口の周りを白くして、勝利のゲップをもらすのだ。スタッフの方は褒めてくれ、褒美の小粒を手渡してくれる。
「下剤一錠で大丈夫ですか?今日はお水たっぷりのんでくださいね」
は、はい…。よれよれの勇者は朝以来やっと飲める水を手に、まだ胃の検査前の同胞をチラリ眺めるのだった。
この後、自宅で白いモノを出し切るまでが冒険です。
ひととおりミッションクリアすると、最後に医師の診察をうける。今までいろんな先生がいたな。ものすごく若く見える先生。やさしい老医師。大学の研究室か?と思うほど書類や飲み物で溢れ、研究で数日家に帰っていない雰囲気を出していた先生。今回は女性の方でじっくり丁寧に説明してくれる先生だった。安心して質問もできた。
たいていカードがきくのでマイルを貯めつつお支払い。デパートのお食事券をご褒美にもらう。病院によっては併設のレストランの健康定食だったこともある(おからのハンバーグみたいな)。
結果は忘れた頃に郵送される。おかげさまで大きな問題はなし。まあ、中年女性らしく、いくつかは再検査チェックはあるのだが、まあ例年通りこなしていくのだ。あとは婦人科と乳腺外科。毎年かかりつけでチェックしている。これもエピソードだらけなんだけど、また今度書きましょう。
そうそう、せっかくもらったお食事券。1月30日で期限切れてしまっていた。
なんとなくそうなる予感はしていたんだけどね。