【好きなもの】宇宙よりも遠い場所 STAGE1「青春しゃくまんえん」

 こんにちは。幼い頃には地球環境に興味を持っていましたが、私の進学した高校には地学の授業が無くいつの間にかその興味も失っていました。長いこと忘れていたその事実を思い出させてくれたのが「宇宙よりも遠い場所」(以下「よりもい」)という作品です。

 今回話す STAGE1「青春しゃくまんえん」は今でもニコニコで無料で見れます。全話見るならHuluやアマゾンプライムですかねー。もちろん円盤を買っても良いと思います。損はしません。ネタバレを気にするならまずこれを見てから読み進めてくださいな。

――宇宙よりも遠い場所
「よりもい」は私のアニメ史上最高のアニメの一つです。まずなにより全体のテーマ・物語がとても面白く、作画・演出も素晴らしいものが溢れていて、作中の楽曲やBGMも秀逸なものばかりです。

 全体を語ると、ものすごく長くなります。序盤から最終話まで……今、終盤の神回ラッシュがどこから始まっていたか記憶を遡ってみたんですが、STAGE5辺りからだったので中盤以降全部神回です。そして今回話すSTAGE1が全体の中でも屈指の神回だと思っているので最初から最後まで大体神回です。神アニメです。間違いない。

――STAGE1
 この「青春しゃくまんえん」は今まで見てきた全てのアニメの中で「最高の第一話」だと思っています。アニメの第一話に必要な要素が凡そ全て詰まっています。
・世界観を端的に示し、
・主人公の在り方を示し、
・ヤマを作り、
・主人公の在り方をクライマックスに繋げ、
・次回への伏線を残し、
・期待感を高める終わり方をする。
 この全てが詰まった最高に面白い「第一話」です。物語の導入としてこれ以上無いものだと思います。では始めます。一度見た後に、再度見ながら進めていただけると、より美味しく楽しめます。

――世界観(00:00~OP)
 現実ですよ。現実の女子高生ですよ。ってところなんですけどOPめっちゃ良くないですか。知らない美少女がたくさんいますけどみんなかわいいんで楽しみにしといてくださいね。南極にいきますよ。のメッセージが詰まったOPです。曲、良しかー? 神曲さっそく使っちゃって大丈夫かー? 大丈夫なんだなーこれが。
 開幕のドラムでキマリが世界をぐるっと回すとこ好きすぎる。というかOP全部好きなんだけど、全部「好きすぎる」で解説してしまうのも趣が無いのでこの辺で。

――主人公の在り方(03:50~)
 めぐっちゃん! かわいい!
 キマリは「なにかがやりたい」「なんとなくはよくない」と常々考えています。高校になったら何かしなければ、時間は限られているのに。では実行しようという段になり、当てのない旅に出るという目的でまずは東京を目指します。いい曲がかかってますねー。

――(ポン)なんでここにいる?(06:54~)
 めぐっちゃん! かわいい! そのまま!
 キマリは実行寸前になって「怖くなって」引き返してしまいます。幼い頃から、
「やったことないことはじめて、上手くいかなかったらどうしよう」
「失敗したら嫌だなぁ。後悔するだろうな」
と考えてしまう女の子でした。友人のめぐみは「それは悪いことじゃない」と言いますが、「何もできないでいる自分のことが大嫌い」なのです。
 めぐみはそんなキマリに今のままでもいいのだと「今度どっか遊び行く?」と声を掛けます。笑顔で答えるキマリ。それを見てめぐっちゃんもスマイル。ここなー。ほんまなー。

――登場5秒でポンコツを晒す女(08:37~)
 こと、小淵沢報瀬が登場します。報瀬がここで落とした「ひゃくまんえん」をキマリが拾うことにより物語が動き出します。ということはここのポンコツは必要なポンコツだったわけだ。ナイスポンコツ。

――『宇宙よりも遠い場所』(12:38~)
 百万円の持ち主である報瀬を探し出して、返却するキマリ。その時に報瀬は行方不明になった母の遺品を、母の死を受け止めるための何かを見つけるために南極を目指していることを明かします。そしてそのために友達も作らず放課後ずーっとバイトして百万円を貯めたことも。
「私は行く。絶対に行って、無理だって言った全員にざまーみろって言ってやる」
 その言葉と、報瀬の母の著作『宇宙よりも遠い場所』を読んで、キマリは報瀬に興味を持ちます。
 ここを見返すと、STAGE9が見たくなります。

――あなたのこと応援してる!(16:52~)
 ここのキマリ、美少女が過ぎる。ガンに効くタイプの美少女。
 信念を曲げない報瀬に感動したキマリは、自分とは違う在り方をした報瀬を応援すると決めます。本気で頑張れるのすごいと思う!
「言いたい人には言わせておけばいい。今に見てろって熱くなれるから。そっちの方がずっといい」
「何か手伝えることない? あったら言って!」

――じゃあ、一緒に行く?(17:43~)
 ここが、第一話最高のシーンです。誰が何と言おうと語彙が無いと言われようと私はここを最高だと言い続けます。このシーンでかかるのが「ハルカトオク」という曲なんですけどこれがまた神曲で。歌詞の内容といいタイミングといい完璧なんです。「ハルカトオク」は本編中他にも数回かかるんですがここと7話が最高です。最高点はたくさんあります。是非全部見ろください。
「怖くなったとか」のカットとか、報瀬のセリフも完璧だしそれに合わせたキマリの表情最高じゃないですか? 最高なんですよ。セリフと表情にそれぞれの想いがめちゃくちゃ詰まってて情報密度が凄いんです。こんなシーンがこの先幾つもあるんです。なんならこの前にも既に幾つもあってる。
 報瀬は、多くの人に無理だと批判されてきましたが、中にはキマリと同じように応援すると言ってくれた人もいました。そして、その人たちが様々な理由をつけてすぐにいなくなってしまうことに失望と諦めを感じていました。「あなたも、同じなんでしょう?」と言外に語る報瀬にキマリは怯んでしまいます。「学校行ってるんだし、友達もいるんだし」が地味に効いてくるセリフ。キマリ、止まるんじゃねぇぞ……。

――次の土曜ここにきて。そしたら本気だって信じる。(18:25~)
 冷徹なはなざーボイス。花澤香菜さんの演技力の高さはこのアニメの素晴らしポイントの一つですが、それを既に存分に発揮している第一話ですよ。
 報瀬が指定したのは、広島・呉に停留する砕氷艦「しらせ」の一般公開。群馬から遠く離れたその土地へ見学に行くことが、なにかをやる一歩を踏み出すことになる。その恐怖と戦うキマリの葛藤。さまざまな声が響く中、キマリは決意します。
 砕氷艦「しらせ」の名はここで初めて登場するんですけど、報瀬の名前の由来に気付いたキマリが何も思わないわけないんですよね。何も思わないわけないんだけど、作中で発するセリフは「砕氷艦しらせ、一般公開」だけなんですよ。それ以上のセリフは過剰なんです。

――ここから、ここから(19:34~)
 キマリのモノローグで、第一話で行われた様々なシーンを回想し、さまざまな伏線を回収し、一度引き返してしまった失敗を上書きするように「私は、旅に出る」のセリフでキマリは走り出します。
「怖いけど、やめちゃいたいけど、意味の無いことなのかもしれないけど、でも!」
 サビに入った瞬間の報瀬の顔見ました? 見ました? 私も同じ顔してます。このED曲。最強。覇権。名曲。文句なし。涙腺爆弾。曲がかかり、コミカルなシーンが無音声で流れるEDですが、ここにも伏線が用意されています。でもそれを見逃してもいいから歌詞を聞いてほしい。最高なんだよなぁ。

――知りたい?(23:08~)
 2話に繋げる素晴らしい引きをして、第一話が終わります。はぁ~。

 という感じで、STAGE1「青春しゃくまんえん」についてでした。しゃべりたい細かいことはまだまだあるけれど、それは全話見終えてからの話でもあるので今回は割愛!
 導入として世界観やキャラクターの目的など情報を過不足なく提供し、主題歌・劇中歌を全て効果的に使い、多くの伏線を張り巡らせ、次への期待感を煽る引きをしながら、なにより1話だけで面白い! 繰り返しになりますが、今まで見てきた全てのアニメの中で「最高の第一話」です。これを見るまでは「Angel Beats!」の「Departure」が最高でした。あれも良い第一話だ。
 これから後の話を見る人のために少し触れておきますと、全話見た後でこのSTAGE1をまた見てほしいんですけど、張り巡らされた伏線にメリハリがあるのが素晴らしいんですね。明らかに「これは伏線だ」と判るものと「そういえば何かおかしかったな」という伏線が用意されています。是非見ろ。本当に面白いアニメだよ!


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