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日記 【住宅ローンの払い過ぎは人生を壊す】

こんばんは。一昨日勝間和代さんがYouTubeで『住宅ローンの払い過ぎは人生を壊します』というタイトルの動画をアップされていて、全くその通りだと共感した。彼女の言い分と、私自身の実例を使って何故かを説明したい。

勝間さんの体験とアドバイス

この動画を見て知ったのだが、彼女は20代の時に一度マイホームを住宅ローンで購入した経験があるそうだ。既に結婚されてお子さんも居たが、4000万円くらいの物件を頭金もきちんと入れて購入、しかし住み始めて3〜4年でさっさと売却されてしまった。そして、その後はずっと賃貸で住まわれているそうだ。因みに、彼女は私と同い年である。

彼女がマイホームをさっさと手放した理由は、賃貸と比べて毎月のコストが高過ぎる事と、マイホームの支払いが大き過ぎる場合転職や離婚等の人生のチャンスを逃してしまうからだと言う。

銀行の住宅ローン融資担当は、低金利も有って年収600万円のサラリーマンにも4000万から5000万円くらい貸し付けてくれるそうだ。そうなると、変動金利0.5~0.8%で35年なら月12~14万円くらいだろうか。フラット35の固定金利1.44%なら15万円と少しだ。

年収600万円で会社毎の控除額を含まない税金と社会保険料を引いた手取り額は約458万円で、それを12で割ると約38万円。月12万円の支払いだとしても、12分の38、収入の約31.6%を住宅ローンに支払う事になる。勿論マイホームローン減税等利用出来て負担がそれより軽くなる場合もあると思うが、不動産は所有すると固定資産税だって別に掛かる。マンションなら管理費や修繕費積立金も掛かる。

勝間さんはマイホーム所有自体が悪いと言っているのでは無く、頭金も入れずに銀行や不動産販売員に言われるまま非現実的な身の丈に合わない借金を背負ってしまう事が悪いと仰っている。彼女は、購入するのなら現金、又は半分くらいの頭金を入れたローンで、最高でも手取りの25%まで、出来れば20%くらいまでの支払いをおすすめしている。30%以上は払い過ぎで、その場合はマイホームを持つと幸せになるという幻想を使った国、建築会社、住宅会社と銀行を儲けさせる詐欺に合っていると思った方が良いとまで仰っている。

私の体験

この動画を見て、彼女の言っていた意味が良〜く分かる。私はローン返済は手取りの2割以下だったが、何しろ35年でリフォーム代から手数料迄含めたオーバーローンで借りた。そして、その事によって私も人生のあるチャンスを諦めた。

私が中古マンションを購入したのは2007年前半だ。世界金融危機は既に世界の裏側で始まっていたのだが、その事を知る人はそれに関わるほんの一部の人だけだったろう。そして、2007年のイギリスポンドは約240〜250円、その年イギリスで行われた会社の同僚の結婚式に出席した時に旅行代金が高く、お金の節約の為に滞在の数日お宅に泊めて頂いたのを覚えている。

ところが2007年後半になって、サブプライム問題がニュースで取り上げられる事が増えてくる。しかし、問題が報じられたのはスイスやドイツ、フランス等の一部の金融機関のある特定のファンドや子会社のみで、これが後で世界中の大きな問題になると考えていた人はほぼ居なかった。予想していた一握りの人達は、映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』でも知られる通りその後この金融危機によって膨大な利益を得る事になる。

ところが、2008年3月、世界金融の中心地であるウォール・ストリート名門中の名門のベアスターンズが破綻危機に直面してJPモルガンにやむなく買収される事になった。その半年後の2008年9月、今度は大手保険会社のAIGが公的資金で救済される事となった。そしてその1年後の2009年の9月15日、ついに誰もが知っているあのリーマン・ブラザーズの破綻が起きた。同日、メリル・リンチも破綻寸前だったがバンク・オブ・アメリカが買収に合意したと報道された。

しかし、まだその時点では金融業界の中ではサブプライムの問題は過大なリスクを取っていたこれらの金融機関のみの問題で、それ以外の金融機関には無関係だと思っていた。そんな中、何も知らない私はロンドンに仲の良い友達が居たこととイギリスの音楽カルチャーに憧れて自分が属するグローバルなチームのロンドン拠点に移動したいと希望を出していた。ダメ元で希望を出していたのだが、2009年に新しく就任したアジア地区のマネージャーが良い人で、私の希望に対してちゃんとフォローをしてくれていた。なので、2010年から私の移動の話は進み始めていた。

サブプライム問題が徐々に姿を現す中ポンドは下がり続け、2009年1月には一時118.822円を付けた。月次終値は130.755円。240円から見ると46%近く日本円に対して通貨の価値が下がった事になる。その後2009年7月に一旦160円近くまで戻してから、ポンドは再度下に向かい、2011年の9月に歴史上最低の月次終値120.139円を付けた。

私が所属していた会社では、社内で別の国に転勤する場合、船便で家具を送る引越し代やペットの送迎代、飛行機代、弁護士代等、100万円以上のお金が特別手当として支払われていた。なので、ポンドは当初より随分下がってしまったが特別手当があるので移動について安心していた部分があった。

2011年、移動についてのロンドンの人事との細かい最終交渉が進む中、私の会社にもサブプライム問題の影響が社内に広がり会社の財務体質を蝕み続けていた。コスト削減に続くコスト削減、積極的な設備投資も新しいプロジェクトもしなくなっていた。そんな時、アジア地区のマネジャーに、会社はもうこの転勤に対して特別手当は払う事は出来ないと告げられた。だが、それでもロンドンのチームに移動したいなら彼は手続きを進めるし、応援するけれどどうしたいかと聞かれた。

この時、私は住宅ローンの事を真っ先に考えた。2009年までは、私のチーム内では東京よりロンドンのお給料の方が高かった。しかし、ポンドが40%以上下がってしまって東京とロンドンの立場は逆転した。マンションは人に貸せば良いけれど、人が入居する時に時間が掛かったり、退去して次に人が入るまで時間がかかる場合、暴落し続けているポンドで払われるお給料ではイギリスで借りるアパートと日本の住宅ローンどちらも払う事は無理だ。その上、マンションの建替えの話が出ていたので、建替えになったら賃貸も出来ずに何年もの間住宅ローンとアパートのお金をダブルで払う事になる。その上100万円以上掛かる引越し費用も全て自分で賄わなくてはいけないとは。私にはリスクが大き過ぎる様に思えた。

この時、住宅ローンを抱えていなかったら、又は住宅ローンの額がその半分くらいで毎月の支払額が全然少なかったら、私はロンドンに行ったと思う。今が幸せなので後悔はしていないけれど、ロンドンに行ったら又違った面白い経験をしていたのかとも想像する。ただ、その後も続いた世界金融危機の影響で世界中でリストラの嵐があったので、ロンドンに移っていたらロンドンチームで一番新米で英語もネイティブで無い私が切られていた可能性も大有りだ。

最後に、繰り返しになるが勝間さんの住宅ローンの払い過ぎは人生を壊すという考えに私も同意見だ。人生の岐路に立たされた時に、大き過ぎる住宅ローンは判断の足枷になる。私も勝間さんと同じ様に今は大き過ぎた住宅ローンで買ったマイホームを売却して、その束縛から解放された。何かを決める時に住宅ローンを心配せずに良いのは自由だ。

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