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同級生が同級生の本を出した話。

ゆうべ飲み会に出席したので、今朝は早く目がさめました。同級生の出版記念の飲み会でした。

中学の同級生と会うなんて何十年ぶり?「変わらないねー!」お互い言いながら(この人、名前なんだっけ)必死で思い出そうとする静かなバトル。

出版記念って言うたらホテルの宴会場?「なにゅよんな!そんなん誰も行かんで!」相変わらず勇ましいタケポン。

大衆居酒屋の2階、座敷にずらりビール、ノンアルビール、一升瓶。ええなあ、こういうのがええわ。 集まった同級生に著者が1冊ずつ配っていく。

自費出版じゃなくISBN付いてる出版物を恵贈いただいた。

内容は同級生の伝記だった。

誰もが知らない人はいないくらいの凶悪な犯罪。 捕まって死刑が確定して早々に執行された。

あんな大それたことをするタイプの人間じゃない。そう思った同級生は少なくなかった。署名もしたけど、世間を騒がせた事件は見せしめのように関係者が次々と執行された。その1人が同級生だった。

彼と比較的親交があった同級生は、家に泊めたりする仲だったようで、捕まった後も面会に行ったり裁判を傍聴したりしていた。

それがまとまって今回の本になった。

人の財産や命を奪うなんて当然あってはならない。その点に関して言えば彼は死刑で当然だろう。ここは譲れない。私もそう思う。

ただ、生まれつきの悪人はいない。

彼がどこで道を誤ったか。なにがきっかけだったか。それを記して残すことは、なんとなく意味がありそうな気もする。

仮に中学や高校でぶいぶい言わせてたヤツならまだなんとなくわかる気もする。

おとなしい目立たない子で、高校も大学も立派なところに行って、将来キラキラしていた彼がなぜ教団に取り込まれていったのか。なぜ自ら教団の門を叩いたのか。

それらが実名で出てくる伝記。


帰宅後、酔った頭で読み始めた。事実を羅列する文体特有の読みにくさは思ったより少なく比較的すらすら読める。わたしはそんなに接点がなくて名前は出てこなかったけど、同級生の名前はたくさん出てきた。

わたしは少ない記憶の中から彼との思い出を探した。

わたしは幼、小、中、高と一緒だった数少ないひとり。私の中では彼はおとなしい、はにかみ屋のまま。

罪を犯した彼はもうこの世にいない。


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