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心淋し川。西條奈加。
玄侑宗久の「四雁川流景」を思い出した。
共通項は、
物語が、ある場所一帯で起こること。その場所が、何となく暗い感じが漂う場であること。そして、登場人物が庶民であること。
その人たちの、些細な日常の中で起こる悲喜交々。
など。
「四雁川流景」も好きな物語でした。
重たかったけど、読後、余韻がしばらく続きました。言葉では表せない小説ならではの、深い味わいがありました。
で、【心淋し川】です。
場所は、流れのない澱んだ川の周りの長屋に住む人々の話。
辛い話が多い。
人と人との間に起きる軋轢、親子、夫婦、遊郭の人々の悲哀、奉行所勤の武士の苦悩。
でも、なぜか読むことをやめられない。
ワクワクもドキドキもせず、淡々と読み進んでしまった。
多分、テンポが良いので読みやすかったのだと思う。
一編の話が終わるごとに、登場人物は変わっていく。しかし、場所は、心淋し川だ。
みな、この澱んだ場所から抜け出したい。その一心でもがいている。
微かに光が見える。
が、しかし、・・・
自分の人生がままならないのが、すごくせつない。
自分自身の人生経験とも絡まってきて、
読むのやめちゃおうかなぁ〜と思ったりもしました。
でも、あるページに、値千金の一文があり、読書を続行。
しかし、最後の章で、それがやや違ってくる。
いきなりサスペンス調になる。
そして、
まさかの展開が待っていた。
あっ、これってネタバレかな?(笑)
人それぞれ、いろんな人生を背負って生きてます。
みんな幸せになりたいんですよねー
読後、図書館返却日を一日越してしまったので、速攻で返しに行きました。
でも、また読み返したいので、買いに行こうと思います。