日本に生きる難民人材を支援するNPO法人WELgeeが「グローバル・ユース・アントレプレナー・サミット」ファイナリストに選出〜なぜETIC.は日本の起業家をグローバルに推薦するのか〜
この度、ETIC.(エティック)の推薦により、プログラム卒業生であるNPO法人WELgee(ウェルジー)の渡部カンコロンゴ清花さんが、「グローバル・ユース・アントレプレナー・サミット」のファイナリストとして選出されました。
NPO法人WELgeeは、日本にやってきた難民の方々の才能や特技に着目し、日本の企業や様々なアクターとの連携を生み出すことで、これまでにない社会価値創造を目指す団体です。
本サミットの優勝者は、オンライン投票及びパネル審査により決定し、10月にオランダで開催されるサミットで発表されます。日本、そして世界の難民問題に対して、社会構造・マインドセットなど問題の根本的変化に取り組むWELgeeの渡部(わたなべ)さんを、ぜひオンライン投票で応援ください!
渡部さんへのオンライン投票方法を紹介(投票締切:10月1日(土)日本時間で朝6:59まで)
渡部さんのオンライン投票ページ↓
日本の難民問題を、社会の構造・マインドセットから本質的に解決する
NPO法人WELgeeは、日本にやってきた難民の方々を対象に、「支援の対象者」から「ともに社会をつくる仲間」として彼らの力や可能性に光を当てながら、誰もが活躍できる社会を目指し活動している団体です。
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代表の渡部さんとETIC.の関係は、WELgeeが立ち上がったばかりの2016年に遡ります。
MAKERS UNIVERSITY(事務局:ETIC.)の一期生である渡部さんは、当初、難民の方々の就労移行と社会参画としてのホームステイ事業を行なっていました。しかし、難民の多くが下請けの下請けや、危険な仕事にしか就けない現状がある中で、彼らが生まれ持った才能や母国で培ってきた特技、将来の夢など、彼らが持つ力を日本社会に繋げる形で仕事を創り出していきたいと思うようになりました。
2018年には、創業期の社会起業家を支援する社会起業塾イニシアティブ(運営:ETIC.)に参加。事業のフェーズも進んできた中で、問題の調査や検証の時期は既に過ぎていて、本質的なインパクトや象徴的な成果を生み出すことへ舵取りを始めました。
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日本における難民問題を構造から変えていくアプローチはなんなのか、知恵を絞り繰り返し考えた続けた結果生まれたのが、難民人材の育成と就労事業「JobCopass」(ジョブコーパス)です。
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JobCopassでは、母国での紛争や迫害等から日本に逃れてきたアフリカ・中東・アジア出身の人材に対して、「育成・採用・定着」の一貫した伴走支援を提供すると同時に、難民人材の強みを活かして企業のダイバーシティ・グローバル化を推進しています。既に、20社への難民人材の正規雇用と活躍、5人の在留資格変更が成功するなどの成果を上げている他、社会の固定観念を変える発信を通じて、応援者の数は着実に増えています。
国際社会や難民問題について、信念を絶やさずに取り組み続けた渡部さんのアントレプレナーシップは、世界にインスピレーションを与える存在です。さらには、「難民」と「受入側」という既存の支援の関係性を脱し、相互の強みを掛け算することで社会の新しい価値を創造していくというWELgeeのアプローチは、世界の難民支援において新たな見方とムーブメントを提供すると信じています。
今回のファイナリスト選出について、WELgee渡部さんのコメント
『故郷で安全に暮らせなくなることは自分のせいでしょうか?いったん難民になったら人生は諦めでしょうか?辿り着いた先の国で難民認定されなかったら未来はないのでしょうか?
未来を担うはずだった若者たちが、命を繋いだ先で立ち行かなくなる日本の現状には、世界から見ても改善の余地が多くあります。一旦は国家という所属を失ったとしても、何度でも活躍の土台を作るため、WELgeeは共に挑戦する難民の仲間たち「インターナショナルズ」と活動してきました。
難民人材の社会活躍の促進は、WELgeeの力だけでは及びません。国連でも「難民に関するグローバルコンパクト」が提唱され、国を追われた人たちの安心した暮らしや人生の再建を社会全体で支えようというのが主流になってきています。
今回のように世界で取り組む若者たちと繋がる機会をいただいたことに感謝しています。この機会を最大限に活かしたいと思います。』
WELgee渡部さんもファイナリストに選出された「グローバル・ユース・アントレプレナーシップ・サミット」とは?
本サミットは、英国ロンドンを拠点にする起業家支援団体のグローバルネットワーク「ユース・ビジネス・インターナショナル(YBI)」が主催する国際会議で、2022年10月18日から20日に、オランダ・ハーグにて開催されます。
テーマ「Unleashing the Power of Youth Entrepreneurship as a Forces for Good(社会を変える若者起業家のパワー)」のもと、インスピレーション溢れる若者起業家に光を当てながら、彼らの事業がどのようにして貧困や気候変動の緩和、サステナブルビジネスの推進や社会格差の是正に貢献しているか紹介します。
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また、本サミットの主催であるユース・ビジネス・インターナショナル(YBI)とは、世界46カ国から52団体が参画する、若者起業家及びアントレプレナーシップ育成のためのグローバルネットワークです。
YBIでは、世界中の若者たちに対するビジネスの立ち上げ、拡大・持続の支援を行うことで、ディーセントワーク(働きがいある人間らしい仕事)やインクルーシブ経済の成長を促すとともに、地域社会の底上げや生活の向上を目指します。
なぜ私たちETIC.は、日本の起業家をグローバルに推薦するのか?
ETIC.では、2021年よりインターナショナルチームを立ち上げ、海外の起業家や支援団体との協働・共創を豊かにするための取り組み推進を始めました。今回のサミットは、ETIC.のメンバーとプログラムの卒業生がともに、世界の起業家エコシステムと繋がっていくという意味で初めての協働となります。
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ETIC.が20年前にアメリカ・シリコンバレー発の「ソーシャルアントレプレナーシップ」の概念を取り入れて以来、日本国内でも社会起業家の数が増え、彼らの存在は今や地域社会を支える根幹ともなりました。
その一方で、社会課題の多くは国内・地域特有の背景によるものが多く、起業家の中には助けたい人を目の前にしながら、課題解決のための新たな発想が得られず、苦しく、悔しい思いをする日々も少なくありません。
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こうした起業家たちにとって、海外の起業家との交流や、グローバルな舞台における機会は、日常の活動に新たな刺激と視点を与え、事業のブレイクスルーを生み出すきっかけとなる可能性があります。
社会問題の多くは国内問題であったとしても、世界には同じような問題に取り組む起業家が各地に存在し、彼らとの交流・知見の交換は、起業家という生き方を選択するうえでの団結とエンパワーメントにもつながります。
日本で既に活動している起業家の中には、世界にはまだ知られていないが、その発想と努力で世界に誇るアントレプレナーシップを持つ人たちもたくさんいます。彼らの存在が世界に知られていくことで、日本以外の国の社会課題・地域課題の解決に貢献するだけでなく、世界の各地で取り組む社会起業家たちの知恵、そして心の支えとなるに違いありません。
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日本の社会起業家たちが、自らのリーダーシップと事業をレベルアップする機会として、グローバルな舞台での活躍の場をともに開拓したい。そして日本の起業家たちと世界に発信をすることで、世界の起業家コミュニティに新たなリソースを提供したい──こうした思いのもと、私たちはこの度、ETIC.プログラムの卒業生である起業家たちとともに、世界の起業家エコシステムとつながる新たな挑戦を始めました。
おわりに
ETIC.インターナショナルでは今後、起業家のグローバル推薦だけではなく、実際に日本と海外の起業家同士が視察や交流を深められるようなプログラムも企画していく予定です。
世界のリソースを日本の起業家エコシステムに呼び込む最初の協働として、ぜひオンライン投票でWELgee渡部さんを応援ください!
渡部さんのオンライン投票ページ↓
最後までお読みくださりありがとうございます。
ETIC.インターナショナルチーム
<参考資料>
◆ETIC.インターナショナルチームについて
チーム立ち上げの背景などはこちらのnoteで詳しく紹介しています。