⑥ユスフパシャのガザ🇵🇸とハドラマウト🇾🇪
この町では、イラクとシリア以外の2つの国からやってきたアラブ人たちにも出会いました。パレスチナとイエメンからのアラブ人です。どちらの国も長年に渡って他国による空爆などを受け、今も酷い迫害を受け続けている国です。しかし、そんなネガティブな雰囲気を見せずに、彼らはアラブ人特有のホスピテリティと明るさを武器に、ここイスタンブールで素敵な店を経営していました。
こちらは、ユスフパシャの駅からすぐのところにあるGazze Falafelというファラフェル屋の店員さんです。店の名前の通り、ガザのファラフェル屋さんという意味のようです。駅周辺には、アラブ人が多いことを見越してか、いくつかの軽食ファラフェル店を目にしました。その中でも、ここは人気店のようです。
アラブの店?パレスチナのガザ?とか、色々片言英語でコミュニケーションをして撮影していたら、こんな感じに食ってけ!とファラフェルを1個づつ、ご馳走になりました。パレスチナのホスピタリティです。
外はカリカリで、中身はホクホクで、綺麗に揚げあがっていました。かなりクオリティの高い味のファラフェルです。どんな風に作っているのか見せてもらうと…
なんと自動でポンポン揚げ上がるシステム!日本にもこんなものがあれば、安くて美味しいファラフェルが食べられるのに〜!この店は、朝からやっていて、昼頃に行くといつもお客がひっきりなしにやってきていました。
こちらは、ユスフパシャの繁華街から少し離れた所にあるパレスチナ人のファラフェル屋さん。こちらは、昔ながらの手作業で揚げています。話を聞くと、なんと米国籍のパレスチナ人なのだそうです。そういえば、Tシャツがプエルトリコ!英語はペラペラでした。
どうしてこんな場所でやってるの?と聞いたら、旅行でやってきたイスタンブールを奥さんが気に入ったからだそうです。自由で暮らしやすいし、イスラムの国だからアザーンも聞けて良いとのこと。一念発起して、こちらに住むようになったのだそうです。
味付けは、駅近くのものよりもシンプルでしたが、なんと値段が18リラ!150円くらいですかね。これは、物価が安いだけでなく、この店のオーナーが最低限の利益でお金のない若者向けやってるからのようです。こういう所がアラブ人の素敵なところ。夕方に行くと、ソマリアやアラブ各国からの若者がファラフェルを頬張っていました。
日本では、残念ながらパレスチナ人が少ししか住んでいないので、美味しいファラフェルの店は、ちょっとしかありません。自動ファラフェル機を輸入して、安くて美味しい本場の味が日本に流通する日が来るのはいつの日か…
さて、パレスチナと言えば、クナーフェやバクラヴァなどのスイーツも有名です。こちらも、駅近にあるパレスチナ人の店。
バクラヴァは、最近では日本にも浸透していますが、クナーフェ(クナーファ)は、まだあまり知られていません。私自身も、本場のパレスチナで美味しい!と思ったくらいなので、詳しくは知りません。
このように、各国で作りかたが違うことから、この店のものもパレスチナ風で、イスタンブールの観光地で販売しているトルコ風とは違うバージョンかと思われます。(今回は食べる時間がありませんでした!)
今回は、バクラヴァに集中していたので、ここでもバクラヴァだけは試食させてもらいました。これは、どこの国のスタイルのバクラヴァ?と聞くと「アラブ」のだと答えました。シリアの人たちが「シリア」と答えたのとは、対照的です。トルコのバクラヴァに対して答えているわけですが、両者の国家観の違いが垣間見えた気がしました。
この店のパレスチナ人の人たちも、本当にほがらかで、ホスピタリティに溢れていて素敵な店でした。ここも、夕方行くと座る所がないくらい流行っています。
今回、もし一つ後悔していることがあるとしたら、ここのバクラヴァを購入してこなかったことです。ご存知のように前のエピソードにあるシリアの通りでバクラヴァを買いすぎてしまったため諦めてしまいました。
こちらは、アクサライ駅前にあるレストランが並ぶ通り。右側の店には、エルサレムの岩のドームの絵が装飾されています。Kudüs(クドス)とは、エルサレムのことを指すので、このような店名になっています。ということは、パレスチナ人の店の可能性がありますが、ネット情報を見るとシリア人の店も中にはあるみたいです。どうやら「美味しいファラフェル=パレスチナの店」という定評があるようです。
こちらは、駅近にあるイエメン料理の店「ハドラマウト イエメン レストラン」です。ハドラマウトとは、シバームと呼ばれる世界遺産の摩天楼があることで有名な地域。市内には、ユスフパシャに限らず、イエメン料理の店がいくつもあります。これは、この国の料理が美味しい料理だという定評があるからです。実際、湾岸諸国にも、イエメン料理店は必ずありますし、米国にも必ずあります。韓国にだってあります。
こちらは、韓国のイエメン料理店を取材した時の様子です。ここ以外にも、ソウルには、現在数軒のイエメン料理店があると聞いています。
これは、韓国ソウルで食べたイエメン料理「マンディ」です。もちろん激ウマです!そんな世界で評判の美味しいイエメン料理ですが、日本には一切ありません!イエメンの難民を受け入れていないですからね。トルコの難民情報などを見ると、あまりイエメン人の難民はいない感じです。それでも、何軒もあるわけですから、移民はそれなりにいるのでしょう。
ウクライナの避難民が増えて、東京にもいくつものウクライナ料理を提供する店が流行っているのを見ると「先にやるべきはイエメンじゃろ!」と心の中で叫びたくなってしまいます。
本当は、これらすべてのイエメン料理店に行きたかったのですが、胃が足りませんでした。写真だけ撮って我慢…
さて、話を私たちが訪れたイエメン料理店に戻します。冒頭の写真にもあった店の店内になります。場所は、先ほどから書いているユスフパシャ駅前の通りにあり一番の賑わいを見せている店!いつも大人気で、お客は移民の方が多かったです。店の奥は、地下1階から2階くらいの場所に降りて行く感じになり、ホールのような感じになっています。奥の装飾は、サナアの旧市街にあるバーバルヤマンを模しているものかと思います。
決してイエメン人が沢山くるという感じではありませんが、店内は人種の坩堝!軽く話しただけでも、イエメン、シリア、ソマリア、ジブチ、タンザニア、ウズベクの人たちに出会いました。東アフリカっぽい顔の人たちが多くいた気がします。ソマリアと料理が似ている部分もあるからでしょう。
座敷は、まとまってあるわけではなく、地下へのホールの段差などを利用して、オペラ座の桟敷席のようになってる場所もあり情緒たっぷり。
料理は、どれも間違いない美味しさ。サルタも焼き魚も現地イエメンで食べたものと遜色ありません。サービスや店の雰囲気を含めると、現地以上に素晴らしいお店でした。
これらパレスチナやイエメンの店は、イスタンブールのエピソード1で、先に書いたイラクとシリアの店もあわせて、ユスフパシャという括りで紹介する予定です。下記登録よろしくお願いします!10月アップ予定です。