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⑩ポーランド村のピエロギ
今回、紹介するのは、ポロネズキョイ(Polonezköy=トルコ語でポーランド村の意味)という村です。イスタンブールに住んでいるトルコ人でも、なぜこの村がポーランド村と呼ばれているか知らない人も多いのだとか。イスタンブールのベイコズ地区の山奥の方にあります。東京なら奥多摩みたいな感じの場所かもしれません。
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地図を見ても分かるように山の上にある森の中を切り拓いた村という感じです。地図の真ん中の交差点が村の中心地になります。
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かつて数百人から数千人のポーランド人とその子孫がいたそうですが、現在は50人くらいにまで減ってしまったそうです。村の交差点にあるポーランドの名のついたマーケットをのぞいても、店の中には、トルコのお酒や食材しか置いていませんでした。店員さんに聞いても、ポーランドのものは、何もないと言われてしまいました。
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でも、そんなものを探していたら、不憫に思った女将さんが、こんなお土産を無料でくれました!村で毎年行われるというポーランドフェスティバルの写真入りマグネットです。トルコの方は、いつも優しいです!
というわけで、今回は移民街というより、かつて移民が住んでいた歴史ある村という方が正解に近いです。ようは、長崎の出島的な感じですかね?で、今は、ハウステンボスがあるみたいな。
しかしなぜ、ここにポーランド人がいたのでしょうか?
ポーランドの歴史を紐解くと、1795年から1918年の123年もの間、国を持っていませんでした。主に、ロシアに占領されていたようですが、1830年にそこから独立を目指す人たちが現れます。その首班であるアダム・イエジィ・チャルトリスキが、仲間とともに蜂起しますが、敗北してしまいます。
そこで、仲間とともにパリに亡命。そしてトルコで土地を購入してポーランドの村を作ろうという計画が立ち上がり、1842年にこの「ポロネズキョイ」という村を実際に作ってしまったのです。当時、ポーランドの国旗が掲げられた村(領土?)は、このポロネズキョイだけだったと言われています。
オランダが、ナポレオンによって1810年にフランス帝国の衛星国ホラント王国となり、オランダの東インド植民地がイギリスによって占領されたことで、オランダ国旗を掲げている場所が、世界中で長崎の出島以外になかったという歴史とちょっと似てますね。
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そんな偉大なポーランドの歴史を背負う村なのですが、現在この街は、イスタンブール郊外の避暑地のような村になっていました。かつてのポーランド人たちの農家などは、地元のアーティストの工房やら、レストランやらになってしまっているのです。
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中心には、観光地らしく村のオーガニックな蜂蜜や干し葡萄などや、アート雑貨などが販売されていて、それなりに楽しいのですが、ポーランドと関係ないものばかりでした。いくつかのレストランの朝食が有名らしく、それ目当てに沢山の観光客が観光バスで団体で訪れます。
とはいえ、ポーランド政府にしても、トルコ政府にしても、ここは歴史的な場所。毎年、ポーランド祭りが開催されたり、それを感じさせる場所が数カ所だけ残っています。
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そんな遺構の一つが、この広場のポーランド紋章。政府の代表団が来たり、祭りが開催される時には、ここで何かイベントが行われるのでしょう。
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他にポーランド的な見どころは、こちらのゾフィアさんの家。
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この村の最初のポーランド人が住んだ家で、歴史博物館になっています。休日はボランティアの方が無料で解説、トルコの団体客が訪れます。
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団体客がいなくなった後、彼にお願いしていろいろと解説していただきました。外国語を数か国語話すので、今回YouTubeにガッツリ出て英語で村の歴史を解説していただいています。
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その彼に、2箇所ほど残っているポーランドらしい場所を教えてもらいました。その1つがこの教会。ゾフィアの家から徒歩数分の場所にあります。
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残念ながら普段は閉まっていて中には入れない模様。フェスティバルの時とかに入れるのかもしれないです。
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もう1つが、オーナーがポーランド人の子孫で、料理を提供しているレストラン。それがこちら。博物館から徒歩1分くらいです。
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綺麗な庭を通り抜けていくと、写真入りの店の看板が見えてきました。
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写真には、ポーランドの伝統衣装を着た男女の様子が!
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このように店内には、随所にポーランドらしさが見てとれます。
リンクを見ると、ギャラリーがあるので、そちらを見るとさらにイメージが湧きますよ。本当に避暑地の素敵なレストランという感じです。
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訪れた日が休日だったので、朝飯/ブランチでトルコ人の団体客がたくさんやってきていました。
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トルコ人たちは、純粋に田舎のビュッフェを楽しみにきているだけ。なので、あえて見慣れないポーランド料理を食べる気はさらさらないようでした。しかも、レストラン自体が、ビュッフェ用の朝食をお客にサーブするのに大忙し。YouTube用に撮影すると言うと、少し待ってくれと言われてまつことになりました。
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小一時間待ったあと、出てきたのは、ポーランド風ボルシチ。とはいえ、今まで食べたウクライナのボルシチと変わらず、味付けも良い。これは、かなりポーランドテイストかと思われます。
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コクもしっかりあって、かなりの美味しさです。
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続いてピエロギです。ニューヨークには、多くのポーランド移民が住んでいるので、東京の町中華のように数多くのポーランド料理店やポーランドの肉屋があります。なので、ニューヨーク歴10年の私にとって、ピエロギは、常食としていたもの。実際、多くのポーランド系移民の人たちが食べているものを食べていたと言って良いと思います。
ですが、このようにオイルに浸されて出てきたことは一度もなかった。逆に前回書いたチェルケスのマントゥを見てもらうと分かりますが、その味付けになってしまっているのではないでしょうか?トルコでは、おそらくこの味付けなのでしょう。
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ピエロギの種類は、肉、マッシュルーム、キャベツだったと思います。撮影の時にダウミと食べたのは、肉バージョン。こんな感じでひき肉が入っているので、かなり餃子に近い感じ。茹で餃子に辛味の入れたオリーブオイルがかかっています。
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ちなみに、私が個人で取材に行った時に食べたのは、マッシュルーム入り。具材によってかけてくるオイルが違うのは、ちょっと面白い。多分、ポーランドから100年以上の月日が経ったことによってトルコよりな味付けになってしまったのかもしれません。
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さて、最後に食べたのは、Steak a la Krisという「ポーランド料理」とこの店で言われているものです。メニューを見ると分かりますが、なぜか北京ダックのオレンジソース和えというものもありましたが、ちょっとそちらはあまりにもポーランドっぽくないので、このステーキの方を注文しました。
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この料理、ネットで改めて調べたのですが、やはりこれに似たポーランド料理は発見できませんでした。ほうれん草をたっぷり挟んだステーキで、チーズもがっつりで、日本の洋食屋とかに出てきそうな雰囲気の料理です。
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謎な料理でしたが、味は確かでした。
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移民の街巡りではなく、昔のヨーロッパな雰囲気の村を味わってみたい方には、お勧めの観光スポットです。エキゾチックなイスタンブールからアジア側に来て、ヨーロッパを味わうというのも、なんだか面白い体験かと思いますので、イスタンブール長期滞在の方で興味ある方は、是非訪れてみてください。(交通機関はハイヤーとレンタカーを使って行ってます)
ちなみに、2014年のフェスティバルの様子がYouTubeにあったので貼っておきます!今度は、是非その時に行ってみたいと思いました。
※「あとがき」として、もう一回トルコ話を書こうと思っていますので、もう少々、この「イスタンブール移民Gourmet紀行」にお付き合いください。それが終わったら、また日本の移民グルメに戻る予定です。
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