プロ作家の弱気な自己紹介(自分を取り戻したいよ)
こんにちは、イーサンチャップマンです。今回は自己紹介をしたいと思います。
私はプロの作家として生活しています。……と、胸を張って言いたいところですが、どうなんでしょうか。実際の話、とても収入が不安定です。今はスランプの時期で、自分が書いたものが面白いとは思えずに書いては消しを繰り返す毎日。そうなると原稿の生産量も下がり、ギャラも貰えません。当然ですが気持ちも落ちてきます。すると原稿も進まず……悪循環ですね。
幸いアルバイトをしなくても作家だけで生活できている……と言いたいところですが、本当に瀬戸際のところです。来月にはどうなっているか、先の見えない状況です。
私は一時期「売れている」部類の作家でした。売れていると言っても誰もが知っているわけではなく、極めて一部の界隈で多少名前が知られていたという程度ですが、それでも生活するには十分の原稿料を頂いていました。
私が書いていたのは「恋愛小説」です。書き下ろしの小説の出版や雑誌連載を経験し、映像化された作品もあります。複数の作品は海外で翻訳もされました。
しかしある時期を境に文章を書くことが困難になり、作品を発表する機会も減りました。そのままズルズルと長い長いスランプの期間に入ってしまいます。あの時は大変でしたと笑って話せません。まだその闇の期間の真っ真っ只中だからです。
なぜ急に書けなくなってしまったのか自分でもわかりません。集中力が続かなくなった、閃きが失われた、情熱を失った、加齢による劣化。どれもが本当のようで、どれもが言い訳のようにも感じます。いいえ、私は本当は気付いているのでしょう。
もともと才能などなかったのに、何かの間違いで売れてしまった。そんなラッキーな時間が終わった。ただそれだけのこと。
恐らくこれが真実なのです。たまたま売れただけ。そして、その幸福な時間が終わった。もうどうすることもできないのです。
しかしそれでも私は、以前の自分を取り戻したいと思っています。ランナーズハイのように無心で原稿を書き続けるあの瞬間を、書籍が本屋さんに並んだ時の誇らしい気持ちを。それらを取り戻せれば、私は今の窮屈な世界からもう一度抜け出せる気がするのです。
その最初のとっかかりとして、noteで文章を書くことにしました。noteに書くことが、何のとっかかりになるのかわかりませんし、最後の悪あがきと言ってもいいかも知れません。私の傍から離れ、よそよそしくなってしまった物語に対して、いま一度歩み寄ろうとしています。物語と親密になり、あの頃のように幸せな会話がしたい。そんな気持ちなのです。
自己紹介と言いながら、現状報告になってしまいました。まだ具体的に拙著の名前を出す勇気を持てないからです。今回書いたことは漠然とした表現なので、全て出鱈目なのではと疑われて仕方ありません。いつか私が自信を取り戻し、隠し事なくお話できる時が訪れればいいなと考えています(しかし匿名性が高いからこそ言えることもありますよね)。
次回以降は「私の考えるプロとアマチュアの違い」や「プロとして使用している執筆道具(PCやソフト)」などについて書こうと思っています。