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【ETF四方山話】マーケットメイカーの共謀?

たまたまカンチュンドさんのブログで触れられていたのですが、1926年~2022年までの米国の上場株式の58.6%は短期国債よりリターンが悪かったようです。(時代とともに企業の栄枯盛衰があるということですね)
さらに、米国株式市場の累積リターンの8割はわずか1.1%の銘柄から生み出されている・・・という話も。

参照されている動画はこちら↓。

"Don't look for the needle in the haystack. Just buy the haystack"とはジョン・ボーグルの名言ですが、まさに的を射ているということでしょうか。


さて、話は全く変わるのですが、、、

https://www.etfstream.com/articles/market-maker-collusion-in-etf-trades-on-euronext-amsterdam-exchange

によると、euronext-amsterdam取引所における分析で、ETFのマーケットメイカーは互いに「共謀」しているのではないか?というアカデミックの論文が出ているそうです。

マーケットメイカーは互いのオーダーを認識しているので、マーケットメイカー同士での板のぶつかり合い(取引)を避けている・・・とのことです。

ん?と思ったのですが、なんてことはなく、マーケットメイカー出している板は比較的大きく、またブックの両方に出ることが多い。これを各マーケットメイカーも認識しているので、それにあえてぶつけに行くことはないということのようです。

「共謀」という言葉が衝撃的ですが、ETFの潜在的な価値やヘッジの可能性を最大限工夫して、裁定取引の可能な範囲で一定のスプレッドで板を出しているマーケットメイカーたちは、たしかにある程度のボリュームで板を出しています。また、そもそも、その板で出す価格は様々な手法で裁定取引が可能な価格でのビッド・アスクとなっているはずです。
マーケットメイカー同士の競争が激しくなれば、その板は多少の差こそあれ、どのプレイヤーも同じような形になるでしょう。
そうなるとマーケットメイカー同士ぶつかり合い(他方の売りの板と他方の買いの板が同じ価格になること)は自然と少なくなりそうです。

なので、これをもって、マーケットメイカーが「共謀」している・・・というのは言い過ぎな気がします。
一方で、板を見たときに、比較的大きな板がでていることはお互いが認識できるので、その時点で、そのブックを取りに行くのは不利と分かっているのであえて(自分の分析したETFの価値が間違っているリスクがあるため)取りに行かない・・・といったルールを設けている可能性はあるのかな?とも思いました。(ただ、それがお互いの合意に基づく談合のようなものではないでしょう)

謎めいているマーケットメイカーですが、ETFの取引の板を作ってくれる重要な主体でもあります。

ETFの板を見ると厚くなっている部分が見られると思いますが、それはマーケットメイカーが作ってくれている板であることが多いです。ETFの原資産や先物との裁定取引、自己の在庫などから可能なところに板を作ってくれているわけです。(もちろん自分の収益を加味してですが・・・)
この板を超えるようなオーダーを一気に投げることはお勧めしませんが、この板との取引自体はそこまで不利な価格で売買するわけではないということは覚えておいて損はないと思います。

ちなみに、元の論文はこちら↓

https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=5080700




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