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友人が壁に取り付けられた機械に向かって何か喋っている。
それはインターホンでそのインターホンは伝言を残すことと伝言を残した人を撮影することができるらしい。「でも、三人までしか残せないんだ」と友人は悲しそうに言った。
世界には困ってる人がたくさんいるのに3人しか選べないなんて、なんて残酷なんだろうというようなことを言っている。それでハッキリと頭がおかしいということが分かったので、あまり関わらないことにしてうんうんと曖昧に頷くことにした。すると、3人という上限がとても重大で悲しいことなんだという気持ちが自分の方でも段々にしてくるのだった
部屋に差し込む光が弱くかすかになっていく。揺れているカーテンや観葉植物の下の方の枝で枯れた葉から目を離せない。
雨も涙も地球を循環している。感情もまた人から人へと受け渡していくものなんだというようなことを考えた。眼を閉じると瞼の裏が熱い、とても懐かしい気持ちになった。
透明な立方体の中に雨が降っている光景を想い浮かべる。
呼吸が心地よく、身体の中で青い静かな光が膨らんでいくような気がした。
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