
現金の価値の減り方は問題となるレベルか
現金の価値の減り方を詳しく見てみます。現金は1801年から1941年あたりまでは、概ね横ばいで推移しており、大きく価値を下げてはいません。しかしその後の1941年から2001年までの60年間で1/10以下にまで価値が減っています。この現金の価値の減り方は自分の人生にとって問題があるのか?
現在は人生100年時代と言われますが、引退を今時なので70歳とした場合、人生を終えるまでに30年もの期間があります。引退まで、皆貯金を頑張るのですが、貨幣価値の年あたりの減り方が同一と単純化して計算すると、現金の価値は30年で半分程度になってしまいます。しかし、この計算は甘い見積もりになります。グラフは対数プロットであるのでグラフが直線で推移する場合は、指数関数的に推移していることになります。グラフを見ると1941年から2001年までの60年間、現金は下方向に直線的か、あるいは1971年からは下げ方を加速して下がっているように見えます。つまり、現金の価値は加速度的に下がっているのです。では、1971年に何が起こったのか?1971年はニクソン・ショックがありました。
ニクソン・ショックは、1971年8月15日にアメリカ合衆国のリチャード・ニクソン大統領によって発表された一連の経済政策です。この政策は、固定為替レート制度の下で金とドルの交換を一時停止することを中心に、新たな経済政策を導入したことから、世界経済に大きな衝撃を与えました。金とドルの交換停止は、事実上、ブレトンウッズ体制の終焉を意味し、浮動為替レート制への移行へとつながりました。また、ニクソン・ショックには、輸入品に対する10%の追加関税の導入も含まれており、これは貿易パートナーとの間で通商政策を再交渉するための圧力手段として利用されました。ニクソン・ショックは、世界の金融システムと経済政策に長期にわたる影響を与え、国際貿易と為替レートの管理に関する新たな枠組みを形成するきっかけとなりました。
これをきっかけとして現金=ドルをアメリカは自由に増やすことが可能になりました。世界中の物やサービスの量が変わらないのに現金の量が10倍になった場合を考えてみましょう。例えばあなたがパン屋さんで200円のパンを
売っていたとして、現金の量が10倍になったとしたら、パンの値段は2000円にしたくなるでしょう。
現金の価値の減り方は、大いに問題となるレベルと言えます。
