8 初めての妊娠【不妊治療#4】
ソワソワした2週間後、先生の指示通りの日付に、妊娠検査薬をやってみた。そもそも生理予定日の2日ほど前で、普通は生理予定日の1週間後から検査薬するのかななんて思っていた私は不安で仕方なかった。
夫が帰ってきた後にやろうと、朝から仕事中もソワソワしていた。
結果は、、、妊娠していた!!!
生まれて初めての妊娠反応、心から嬉しかった。夫にすぐに伝えて、やっぱり泣いた。とっっても嬉しかった。
二回目の人工授精後、いつもと違った点は以下。
1)人工授精実施から、二日後くらいにやたらと温かい癒される飲み物(その時は、アップルシナモンのルイボスティー)が飲みたくなっていた
2)体温が下がらなかった
3)胸がいつもより痛い
4)寝ている時にお腹がとてつもなく痛くて眠れない日があった
多少、異変を感じてはいた。でも、3)と4)は生理の時も、それなりに出る症状だし、2)は測り方にもよってくるので、確信できない。
妊娠検査薬を、生理予定日のにもやってみて、もう一度妊娠反応を確認。
指定された日にクリニックを予約した。天にも昇る心地とはこのことなのかと夢ごごちだった。
ただ、全然つわりがない。全くない。寝ても寝ても眠い日があったり、はたまたとても胸が痛くてどうしようもない日があったり、やっぱり眠れないほどお腹が痛い日もあったけれど、つわりがなくて実感があまりなかった。
指定された日、とってもウキウキしていた。
そこで聞いた言葉は、「うーん、まだわからないな」だった。
ガーーーン!えーーー!そんなことあるのかよーーー
もう1週間後にきてとのことで、そこから泣きながら検索する日々。
検索やめたい。けど、やめられない。やっぱりつわりがない。
仕事があってよかった、、一日があっという間で、特につわりで辛くもないので、全く支障がなく、いつもよりハードに働いて気を紛らわせたり。
1週間後の検診は、もう本当に自分の身体と頑張っているベビちゃんを信じる今年かできなかった。
エコーの結果、「うん、胎嚢見えてますね。おめでとうございます。」という言葉ー!!妊娠した人に配られるような資料をもらって、ジワーーと実感。ありがとう神様。
次は心拍の確認。とにかく、つわりがないので、心配しかなかった。つわりはない人もいると先生にも言われたし、検索してもたくさん出てくるけど、やっぱり実感が湧きづらい。
心拍確認はできるのか、、、不安で仕方ない。毎日エコーしてくれーーー!!!と思ったりした。
心拍確認の日、ドキドキした。神様に願った。
先生からの言葉は、「うーん、心拍は確認できないな、大きくなってきてないな」だった。
「これから育つこともあるんですか?これって普通にもあることですか?」
「いや普通ではないね。まだだめだと判断できる状態でもないので、また1週間後きてください」
泣きながら仕事に向かった。仕事が手に付かないなんてことはなくて、押し寄せてくる仕事を対応しながら、私は一体何をしているのだろうと思った。何がいけなかったんだろう。そこからも検索。セカンドオピニオンを検討もしたけれど、まだ確定したわけではないし、心を落ち着かせようと思った。
再度、診察をし、やはり育っていない(成長が止まっている)という診断。自然流産を待つか、手術をするかの選択をその場で迫られた。決められなかった。診察室を出て、すぐそばの椅子に座って泣いた。静かに泣いた。他にも人がいっぱいいたけど、泣いた。涙が止まらなかった。どうして。なんで。涙が止まらないけど、仕事に行かないといけない。そして、どうするか決めないといけない。またくるのも仕事を調整しないといけないから。そう思って涙を拭いて、深呼吸した。診察が終わって40分ほど経っていた。受付で再度先生との診察を依頼して、待って手術を依頼した。念の為、1週間ほど再度様子を見て、それでもダメだったら、手術日を確定させましょうと言われた。
8週で流産となった。
地獄のどん底みたいな日が続いた。朝起きると毎日悲しい。夜寝る時、涙が止まらない。仕事中も、気づかないところで涙が流れていて、びっくりした。泣きながら仕事をした。通勤中の電車の中でも涙が流れてきたりして、自分でもよくわからなかった。まだ私の中にいるのに。その頃には、最初はあった胸の痛みすらもうだいぶなくなっていた。つわりはもともとないけど、それ以外の症状も何もなくなってくると、もうよくわからなかった。
そんな時、同じチームの同僚の妊娠を聞いた。おめでたい。つわりの症状が出ているから休みがちになるため、フォローを頼まれた。辛かった。同僚は全くわるくなんてないし、妊娠は奇跡だから大事にして!!と思ったけれど、もうすぐ流産手術をする私にとっては、傷口に塩を塗りたくって、爪でギタギタに引っ掻いて、熱湯かけられて、もう再起不能にされているような精神状態だった。
手術の日はやってきた。夫が仕事を休んで、ついてきてくれた。最初はついてこなくていいよ、、仕事大変でしょと思ったけれど、朝怖くて怖くて、一人では辿り着けなかったかもしれない。こんなに私って弱かったのかと情けなくなった。でも、とても有り難かった。
手術自体はあっけなかった。麻酔前、涙が溢れた。エコーでまだお腹の中にいる我が子を見て、なんで私はこんなことをしているのだろうと思った。目が覚めるともう先生はいなくて、看護師さんに歩けますか?と聞かれた。少しフラフラしたけれど、歩けたし意識もしっかりしていた。麻酔ってすごいな。
終わって、夫と合流して、また泣いた。
ごめんね、赤ちゃんダメだったよ。手術終わったよ。どうしよう、涙が止まらなくて、私これからどうしたらいいのかわからないよ。夫は静かに隣にいてくれた。抱きしめてくれた。どうして謝るの。だれもわるくないでしょ。よく頑張ったね。と言ってくれた。
出血は続いていたけれど、経過は順調で、次の日からバリバリ仕事をした。泣きながら仕事をした。というか、何をしていても、急に涙が止まらなくなったり、手が震えたりした。だから、そうするしかなかった。在宅で仕事ができるのはとても有り難かった。泣いてるのは誰にも見られないし、泣きながらでもたいていの仕事はできる。相変わらず、同僚のフォローのために必死に動いて、配慮して、労った。
とにかく辛かった。本当に辛かった。辛すぎた。
なんで私がこんなことしないといけないんだろうと毎日思っていた。上司には妊娠、流産を伝えていたので、大丈夫かときかれたりしたけど、大丈夫かと聞かれて、大丈夫です以外の答えがあるのだろうか。昔、大学の講義で、大丈夫そうでない人に「大丈夫か」と聞いてはいけないと勉強したけど、こういうことかと実感した。その時は、そりゃそうだよね、私は聞かないようにしよう!くらいだったけれど、聞いてはいけない。本当にこの質問は何も解決せず、質問者の自己満足になってしまう悲しい質問だと思った。
いつまでも悲しんでいても、泣いていても、悔やんでいても、何も解決しないと頭ではわかったいたけれど、心は全く受け入れてくれなかった。
ぽっかり空いた穴が少しずつ埋まってくるには時間が必要だった。