余命。

あけましておめでとうございます。

わたしは喪中でした。旦那方に不幸がありました。

でも結局病院では元旦から、あけましておめでとうを繰り返していました。


年末にあった悲しい話をします。

大晦日まであと少しの日、ある患者さんが天国へ行きました。

その患者さんは以前にも入院してたから、歩いたらご飯食べたりできていた頃から知ってる。

私が配属された頃に入院してて、私のことを「看護師さん」じゃなくて、名前で覚えて呼んでくれたはじめての患者さん。

いろんな思い出があって、1つ1つ振り返るのがまだ辛い。

初めてわたしも冗談を言ったり気を許せる患者さんだったかもしれない。


君の瞳すごいきれい、羨ましいな


眼球黄染があるその患者さんはよく言っていた。


夏に入院したときに余命は半年だと医者は言った。

歩けてるし、認知もないし、ご飯食べれてるし、そんなわけないだろうって思ってしまう自分がいた。


また秋に運ばれてきた。

それでも元気そうだった。

私のことを覚えてて、あいつ呼んできてよって言ってくれた。


でも段々わたしの顔はわかるけど、名前が分からなくなって、そのうち顔もわからなくなって、会話ができなくなった。


様子を見てれば覚悟ができた。

いつ何があってもおかしくない。


後悔をしないことは無理だろう。

だけどその後悔を少なくしたい。


急性期病院でなかなか1人の患者さんにかける時間が少ない中、先輩に相談して時間作って、手浴して足浴して爪を切って、清拭して、できるだけ身体をきれいに、口腔ケアをして髭を剃り、身なりをきれいに。

もしも明日お迎えが来てもきれいな姿で出発できるように。


そして、その日。

息を引き取る5分前におむつ交換に入った。

もう私わかった。あと数十分だ。

清拭や着替え、大掛かりなことは無理だ。

おむつだけは、そして、言うんだ。


ありがとう、お疲れさま。よく頑張ったね。


振り返れば、ちょうど半年だった。

医者はやっぱり正しかった。



看護師になって病院というのはこれほど人が亡くなっていくのかと思い知った。

その度に後悔をする。

もっとああすれば、こうすればよかったと。


後悔をしないのは無理だと思う。

人の死を前にしたら、何かしら悔いは残る。


でも今回は、その後悔が少し少ないかな。

自分の悔いよりも、患者さんに対する感謝と労いの気持ちの方が大きい。


年末年始はやっぱり別れが多い。

そして突然、元気な人がってこともある。

自分もそうかもしれない。家族もそうかもしれない。

患者さんも。


だから毎日大切に。後悔少なく生きたい。




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