我が母が真空ジェシカを初めて見た
先日、M-1グランプリ2021が開催された。50にして優勝という快挙を成し遂げた錦鯉に賛辞を送るが、私個人としてM-1が楽しめるかどうかの境目がひとつあったのだ。
ラジオ父ちゃんVS俺の母ちゃん
懸念していたのは「母親が真空ジェシカを面白いと思うかどうか」 だ。24にもなって実家暮らしの気恥しさはともかくとして、私の母親は底意地が悪く、色々終わってる人なので、このポイントが重要なのだ。母は、お笑い番組で自分が面白くないと思うと「つまんないつまんない!面白くない!」と繰り返し騒ぎ出す。暗にチャンネルを変えろと自分に圧力をかけてくるのだ。
これが私は大嫌いで、めちゃくちゃイライラしてしまう。すっかりお笑いにどっぷり浸かり、芸人ラジオを聞きすぎたせいで、どんなに自分に合わないネタでもその芸人が努力して考え抜いたネタを、そう投げ捨てるような態度はできなくなっている。一部存在そのものを嫌っている芸人はいるが、別にわざわざ声に出そうとは普通しないだろう。
そして今回は、大好きな真空ジェシカが決勝に残っており1番楽しみにしていた。ただ、真空ジェシカが人を選ぶネタなのではないかという懸念も持っていた。なので母のつまんない癇癪が発生してしまうと今年のM-1は台無しになってしまい、ネタ順がどうあれ以降のネタは平静では観られなくなってしまう。そこで少し芝居を打ちながら母親を牽制した。
「次は真空ジェシカです!」と発表されたタイミングで「おっきたなぁ」と言い、続けて「この髭の川北さんは、(私の出身の)隣町の出身で、頭が良いから川越高校を卒業してるよ!」と共通の豆知識を伝えたそして大袈裟に嬉しそうな顔をしてネタを待った。
大躍進真空ジェシカ
結果的に、真空ジェシカのネタは母の好みに合致していたようだった。母親が嫌うネタで結構な人が好むネタは、笑い飯やノンスタイル、ジャルジャルなどの「同じ位置で同じボケを繰り返すネタ」なので、「ストーリーを動かしながら大量の大喜利ボケをする」真空のネタは好みだったらしい。今年のネタで言えば、ハライチのネタに難色を示していた。母はいつもの少しずつ本題から離れていくネタが好きだったので、ハライチの今回の「バカにする→キレる」の繰り返しは嫌だったらしい。次の日になっても、真空ジェシカとロングコートダディは面白いと言っていた。私にとっては大成功と言えよう。
私個人の思い
真空ジェシカは来年から、一般メディアとしては全くの無名から、一気に表舞台に出ることになるはずだ。大滑りした芸人も私が見た中では無いし、来年も昨年のM-1と同じように出場芸人の多くがバラエティで活躍するだろう。大喜利力が遺憾無く発揮出来るラヴィットに出演してくれる事が当面の願いだ。フットワークの軽いスタッフの事だ、下手すると今年中に出演してしまうかもしれない。
ラジオで愛した芸人が夢を掴もうとしているのは、とても胸が熱くなる。元々は空気階段のファンで、ラジオを聞き始めたのはKOC決勝に既に出てからだし、ほどなくして時間移動し、ラフターナイト枠での空気階段の後番組として真空ジェシカを知った。2人とも風貌こそ敵キャラのようではあるが、私にとっては主人公である。