Nancy Wilson ・ Cannonball Adderley
キャノンボール・アダレイの切々としたサックス〈I can't Get Started〉に続く、ナンシー・ウィルソンによる〈The Old Country〉の歌唱はどうだ。
熱いものを身体の芯から絞り出すようだ。
イスラエル民謡をもとにした曲で、メロディーはマイルス・デイヴィスやスタン・ゲッツがスウェーデン民謡『麗しのヴェルムランド』 を元に書いた『懐かしのストックホルム』(Dear Old Stockholm) に雰囲気が似ているという。
デリケートな曲調。
訳がしたいのか、私は。
side twoに移って〈Happy Talk〉。
ミュージカル「南太平洋」の〈Younger Than Springtime(春よりも若く)〉のすぐ後に歌われる曲だ。
わくわくする曲じゃありませんか。
ちなみにこのあいだ、本屋時代のメンターと東京で会ったさい、「君の中で一番”黒い”ジャズって誰なの」と訊かれて答えに窮してしまった。
何日も考えてふっと浮かんだのはキャノンボールだった。
体格を生かした飄々としたプレイに、魂〈SOUL〉が込められているように、いつ聴いても唸らされる。
もっとも、最近の自分はRay Bryantとも応るのだが。
私の光です。
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Nancy Wilson (vocal)
Cannonball Adderley (saxophone [alto])
Nat Adderley (cornet)
Sam Jones (bass)
Louis Hayes (drums)
Joe Zawinul (piano)
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