寝かしつけ


寝かしつけ

「おじいさん、私ね。」と彼女は少女のように目を輝かせて話す。
 大好きな男性がいる事。春に花見をした事。夏に浴衣で祭りに行った事。秋には紅葉を見に行った事。冬には雪の中で手を繋いだ事。いつも神社で2人の幸せを願った事。
 そんな事を毎日、彼女は幸せそうに僕に話す。
「いつまでもあの人と一緒に居たい。でも、今日は会えなくて寂しい。」と呟く。
 彼女を寝かしつける。明日も同じ話を聞くだろう。
 もう何十年と続いている。

ご利用の際のお願い

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こちらは音声配信型アプリSPOON内にてうるうさんの企画「200字文庫ジャスト」に書いた作品のフリー台本化です。
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