制度の狭間を"作らない"

 私は、2020年3月まで、6年間コミュニティソーシャルワーカー(CSW)として働いていました。

 現在、「制度の狭間」の課題への対応が重要視されています。この「制度の狭間」の狭間とは、ゴミ屋敷、ひきこもり、不登校、ホームレス、また近隣住民とのトラブルなど、使える制度がない、もしくはあっても不十分な課題です

 これらは、従来の制度福祉では対応がむつかしいとされています。つまり、対象者を高齢者(65歳以上の人)、障がい者(手帳を持っている人)、子ども(18歳以下)などの属性で区切り、その制度に”当てはめる”支援では、支援がゆき届かないのです。

 そもそも、社会福祉では、相談者の「ニーズ」を把握することが重要といわれますが、その「ニーズ」とは、ソーシャルワーカーが所属する機関で提供できるサービスに合致するかもの(=サービス提供できること)しか、ニーズとして捉えられていないのではないか、という問題もあります。

 もちろん、制度福祉も重要であり、法定サービスによって生活の安定を図られている方も多数おり、それ自体を否定するものではないですが、それだけでは対応がむつかしいのがこの「制度の狭間」と呼ばれる課題を抱えている人なのです。

 これらの人々に対して、今、CSWによる支援の重要性が高まっています。

 CSWは、相手の属性で区切るのではなく、そこに住んでいる方全員の「福祉のなんでも相談員」です。つまり、そこに住んでいる方であれば、誰もが相談対象者となるわけです。

 これまでCSWとして相談に応じさせていただく中で、様々な「断られてきた」「誰にも相談できなかった」方々に出会いました。

 家族関係の問題を抱えた方は、行政から「家族のことは、自分たちでよく話し合ってください」と言われ、誰にも相談できずにいました。知人に相談したところ、CSWを紹介してくださり、つながりました。

 そして、詳しくお話を伺い、面接をさせて頂く中で、その問題の背景に、未診断の発達障がいがあることがわかりました。また、それによる併存精神障害として、双極性障害を併発していました。

 動物の多頭飼育をしており、近所から苦情があがっていた方は、誰にも相談できずにいました。しかし、訪問した話を伺うと、お金のことや病気のこと、仕事のことなど複数の悩みごとを抱えていました。

 また、例え障がい者相談支援センターや地域包括支援センター、ケアマネジャーなど担当の支援者がついていても、制度ではすべてのニーズを満たすことはできません。

 「制度の狭間」は、「近隣とのトラブルから現象化することが多い」と言われえています。つまり、家族や近隣住民など、他者との「関係性」への支援が大事になります。

 そんなCSWが「それは、相談にのれません」と断ってしまったら、そこに、また「制度の狭間」ができてしまいます

 もちろん、インテーク段階で、適切な支援機関があると判断できた場合は他機関へリファーすることもありますが、基本は「断らない」ことが前提となります。

 残念ながら、自分の中で「やれない」理由探しをしているCSWをみることもあります。少なくとも自分は、「断らない」姿勢が大切だし、その為に、勉強していきたいと思います。

 CSWの仕事に興味がある方は、お気軽にコメントください!

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