Project:;COLD case.613個人的総括
こんにちは。
初めましての方は初めまして。吾妻巧と申します。
Twitter・Youtubeを舞台に繰り広げられたProject:;COLD case.613が先日2021年の2月7日完結いたしました。私も当企画にはいちユーザーとして12月初め(第二話公開前ごろ)から参加させていただいておりました。
まず、2020年11月から始まり、年をまたいだ2021年2月までという長期間における企画の遂行をした運営様、そして自分と同じく企画への参加を行ったユーザーの皆様、お疲れ様でした。何はともあれ、結末を迎えることが出来たことは喜ばしいことだと思います。
冒頭のあいさつはそこそこに、当エントリについて書かせていただきます。
当エントリは、完結を迎えたcase.613についての個人的な総括を書かせていただくものです。可能な限り客観的観点からの批評でありたいとは思いますが、個人的主観に寄る感想――特にネガティブな感想も含まれるとは思います。
もちろん、貶す意味での発言を行うつもりはありません。
運営や総監督が「Project:;COLDを今後も継続していきたい」というメッセ―ジを発信しておりますが、今後の継続のためには良い点だけ述べるのではなく、悪かった部分の指摘は必要不可欠であると思います。
また、一部分に置きましては企画継続に際して致命的であると感じるものもあります(むしろ当エントリはその点を明確にしておきたい旨で書いていると言っても過言ではありません)。
それらが企画を楽しんだユーザーにとって水を差すようなものであることは否定できません。ですので、水を差されたくないと思われる方はブラウザバックしていただければと思います。
また、「こうしてnoteに公開するんじゃなくて運営に直接言えばいいのでは?」と思われるかもしれませんが、運営には企画終了に際したアンケートにて回答させていただいております。当エントリは運営へ送った感想・要望を改めて加筆等を行ったうえでエントリとしてまとめるものになります。
公式が用意したアンケートへの回答は、何よりも直接的な働きかけになると思いますので、もし未回答の方がいらっしゃれば、そちらへの回答を推奨します。
Project:;COLDは13日周期で事件・物語が進行していくというものでした。
各周期ごとにYoutubeには動画がアップされ、公式サイト等ではそれを「第〇話」と表記されておりました。今回の総括に際してましては、時系列に沿って話数で区切った上で書かせていただこうと思います。
▼企画開始~第一話(2020年11月~11月27日)
2020年11月にメインキャラクターである佐久間ヒカリ(以下:ヒカリ)の登場でProject:;COLD case.613がスタートします。望月けいさんのデザインによるキャラクターで話題になりますが、ただ、この時点では新規Vtuberの出現程度にしか受け取られていなかったように感じます。(このタイミングでは自分は未参加であったため、細かな部分には言及できません)
とはいえ、望月けいさんのデザインや3Dモデルの完成度。Twitterへ投稿される写真。そこから感じられる生活感や存在感。それらは後から見ても十分に高いクオリティを持っており、目を引くものであることは間違いありません。
空気感が若干変わったのが、ヒカリに続いて登場した都まんじゅうのバントメンバー紹介動画におけるノイズ、そしてそのノイズがモールス信号となっており「彼女たちを死なせるな」というメッセージであったと知られたタイミングでしょう。この時点で「都まんじゅうには何かがある」と感じるユーザーは多く、企画に注目が集まったと思います。のちにヒカリの訃報が流れたことでそれは一気に加速しました。事実、自分もそうしたムーブメントの中で企画へ参加することになりました。
ただ、この点がcase.613本企画において明確に言い逃れの出来ない失点だったと主張します。
結末まで先んじて述べさせていただきますが、case.613において物語は一本道であり、ユーザーは1月22日に至るまで都まんじゅうのメンバーが13日ごとにただただ死んでいくのを知らされていくだけでした。
物語の最中にも、都まんじゅうのメンバーはどうして自分たちが死ななければならないのか、助かる手段がないのかと模索し、Twitterを通じて我々に助けを乞います。本企画における謎解きはそうしたプロセスで出題されておりました。ユーザーは融解班と呼ばれ、彼女たちを助けようと積極的に参加し、集合知をもって迅速に解答します。また、ユーザーは彼女たちのTwitterへアドバイスをリプライで送るなど、正しく「彼女たちを死なせるな」という目的意識のもとに活動していました。
しかし、前述したとおり、謎を解いても彼女たちは死にました。
6人全員が死ぬまでの経過をまざまざとユーザーに見せつけ、一旦の結末を迎えました。最後の玲子に至っては、死の瞬間をやや間接的ではありながらも配信という形で流しています。
この点が、case.613という企画において、どうしようもないほどに悪趣味で、同時に不誠実であると断じなければならない点です。
当企画がユーザー参加型のゲームであるのか、物語をただ眺めるだけの演劇的コンテンツであるのか、それは結末を迎えた今でもはっきりとはわかりません。前者であればユーザーの介入という形によって分岐がなされないことが問題であり、後者であれば公式サイトにある、
この部分に矛盾が生じます(少なくとも、「運命を大きく変えること」は最後の最後まで起こり得ませんでした)。
つまるところ、先ず「彼女たちを死なせるな」という目的意識をユーザーに持たせたものの、シナリオ展開上それを守る気は最初からなかったということになります。
これは、メンバーを死なせまいと勇気ある行動を取った人に対して不誠実と言わざるを得ません。死をまざまざと予定調和のごとく見せつけていくことも悪趣味であると言わざるを得ません。
加えて言うならば、本企画がダイジェスト化されない、リアルタイム性を持たせたものであることも、それに拍車をかけています。(参考:監督インタビュー記事)
「同じ世界に生きる」とまで言われている実在性を感じさせるキャラクターが時間進行で生々しく死んでいく様を眺めるしかないというのは、決して気持ちのいいものではありません。
最終的に全員を助けられる展開であっても、これがダイジェスト化されない物語である以上、中盤を切り取って結論に繋げて語ることもかないません。「これは、あなたの人生において、いまこの時しか体験できない一度限りの物語です」と謳われているように、経験そのものがこのコンテンツの主軸にあるわけですから。
故にこの点が、本企画において何よりも致命的な失点だと断じざるを得ません。初めのフックが間違っているのです。物語としての信用問題です。
もし次回作以降があるとすれば、この点だけは最大限改善するべきであると言えます。case.613では中盤での何も変えることが出来ないと察する展開で抜ける、もしくはもう積極的には関わらないようにするというユーザーも少なくはありませんでした。これは物語への信用が失われた結果に他なりません。長く展開する物語である以上、信用をつなぐことが何よりも大事だと思います。
▼~第二話(11月28日~12月11日)
先に述べたように、この時点では次の犠牲者を出さないように、とユーザーは積極的に行動を行っていました。
都まんじゅうのメンバーの動画をはじめとして、謎が展開されだしたのもこのタイミングからです。本企画が本格的にスタートを切ったタイミングとも言えます。
謎の出題、それに対する回答の提示、というプロセスはスムーズに進行していたように感じます。謎の解答速度が速かった、と方々で言われていますが、謎の難易度自体がそう高いものでなかったので、比較的順当であったかと思います。
ただ、謎に関しては、誰がどういう目的で金庫を用意したのか、セッター(セブンスター)のデザインが最近のものであるのはなぜなのか、どのような意味をもって中の紙を作ったのか、フリーダイヤルをどうやって維持しているのか等々、謎そのものの存在の意味が不明瞭でした。(広報ひらつかというローカル要素を盛り込んできたのは面白いと思いました)
最後まで明確に明かされることもありませんでした。
この後も同様ではあるのですが、全体的に物語の展開と謎の性質がマッチしているとは決して言い難かったです。そうした部分がユーザーの考察において不必要な深読みや裏読みを誘発するノイズとなっていたようにも感じます。
金庫の謎、および中に隠されていた紙片の謎を解いた結果、絵馬を捧げに行くというのは、のちに実際の平塚八幡宮に行けば絵馬を見ることが出来たという現実とのリンクもあり、非常に良かったと思われます。
こうした現実とのリンクはARGにおいて盛り上がるポイントとなります。他にも似たようなものがあれば面白かったとは思いますが、昨今のコロナの影響もあり、できなかったこともあると思われます。ここはどうしようもない部分と言わざるを得ません。
絵馬を奉納した時点で、メンバーには「呪いが解けた」という意識が働いています。そのせいで、メタ的な視点からもまだ事件が続くと予想できているユーザーとの間に温度差が生まれていました。
先にも書いていますが、物語は一本道で進行しており、ユーザーがいかに注意喚起をしようとも彼女たちに届くことはありませんでした。こうした部分が小さな棘となって、ユーザーの物語への信用を損なって行ったとも言えます。
12月9日の岩永静(以下:静)のTwitterでのリアクション
は、翌日が13日周期の日であることもあり、ユーザーへ十分な不安を感じさせるものでありました。
ユーザーは心配から静と多く関わっていた青島玲子(以下:玲子)へリプライを送ったりもするものの、狙ったような反応はほぼなく、翌日に簡単な報告と静の何事もなかったかのような日常ツイートがあるだけでした。しかし、結局その晩に静は犠牲になることになります。
この展開が、ユーザーに「この物語は介入できないものだ」と思わせるには十分だったと思います。
また、ここでコンテンツとして大きく疑問点に挙げられるのが、金庫の謎は結局物語上で何の役割を持っていたのか、ということです。
ユーザーは迅速にかつ正確に謎を解いていました。ただ、その解答に対してメタ視点での正否の判定は行われていません。結果として、紙が見つかり、絵馬を奉納することで呪いが解ける、という物語中での回答が得られただけです。そして、それに関わらず、岩永静は死んでいます。
はっきり言って、謎を解いたことに意味があったのかすらわかりません。
ユーザーの中では「絵馬を奉納したことが逆効果だったのではないか」という意見も出ていました。
これに関しては、それこそエンターテイメントコンテンツの誠実性に即して考えて、「ユーザーの行動が罠だった」というのは流石にあってはいけないことだと思われますし、考えるに値しないことです。
(最終話動画内で真犯人グループであるあかぐまは、「都まんじゅう」というグループを無差別に対象に取っていたように論じられていました。その特定方法として絵馬が用いられた、などと言うのであれば、流石にユーザー参加型の物語として批判するべきです。確定情報ではないので掘り下げはしませんが)
とはいえ、実際「絵馬を奉納する」ことが何の意味があったのか。メタ的に、ユーザーに対して「謎の解答に対する報酬」はなんだったのか。それは全く不明です。ユーザー参加型のコンテンツとして参加してもらう以上、達成感であれ何であれ何かしらの精神的報酬は与えるべきです。むしろ、与えられたのは無力感です。そうしなくてもユーザーが付いてくる、と考えていたのであれば、それは怠慢であると同時に傲慢です。
ただ、その後もリプライで注意喚起を行ったりと、関りをやめようとしなかったのは、最初に与えられた「彼女たちを死なせるな」という楔があったからであり、介入することで何かを変えられる、と信じていたからです。
ユーザーの不安視するツイートが多く見受けられたからか、運営からこうしたツイートが動画公開前には出されていました。しかし、これはある意味逆効果であり、ツイートの意図を読み取ることで、動画公開を待たずして結果が分かった形となりました。
また、運営からのツイートとして、このようなマネタイズに関するものも出されていました。
共通して言えることなのですが、こうした運営からのアナウンスは非常に善し悪しに振れてしまうものです。
もちろん、心配の声に応えたり、展開に対する緩衝材としての役割、もしくは他作品との不必要なリンクを勘繰ることを防止する、というのはありますが、同時に物語への没入感が損なわれてしまうものでもあります。
TRPGにおいてセッション中にGMが素の言葉として「実はそこ○○だったんだよね」等ぶっちゃけることはままあることですが、同様のメリットとデメリットがあると考えていただければと思います。(特に、今回は物語への補足というわけでもなく、中の人の事情という全く物語に関係しない部分であり、デメリットの側面が強いです)
総監督である藤澤仁氏は、ご自身のnoteで「名前を伏せていたのは物語の神秘性を損なわせないため」と仰られていましたが、こうしたツイートが物語の神秘性を陳腐化しているのは言うまでもありません。
こうした企画自体が初めての試みであった、ということを加味してもあまり上手なマスタリングではなかったように思えます。少なくともユーザーの心情をコントロールするという点においては、達成感が皆無であったことを踏まえて、全くできていなかったように思われます。
▼~第三話(12月11日~12月24日)
静が死んだことで、都まんじゅうメンバー内にも「呪いが解けた」という安心感は無くなり、自分たちも死ぬかもしれないという緊迫感が漂ってきます。
静は死の直前にグループに動画でメッセージを送っていました。それは噂されていた『死神』と会ってくるというものでした。それを手がかりとして、残されたメンバーは死神を確認するために、犠牲となった人の本名が記されているとされるイマオカ・オカルト倶楽部(以下:イマオカサイト)のメンバーズサロンへのアクセスを試みます。そのアクセスパスワードの解明のために、ユーザーへ再び謎が与えられます。
その謎というのが、イマオカサイトへメールアドレスを登録した人へ動画が送られてくる、というものでした。メンバーは第二話動画内で「入室するために試している」という旨を言っていました。
ただ、これもまたその意味がやや分からないというのが正直なところです。むしろ、その前段階である「死神の特定」も、「Reaperにフォローされた人物が犠牲になっていると思われるので、そのフォローされている人物が本当に犠牲者なのか確かめる」という論理で若干無理がありました。結果から言えば、イマオカサイトのメンバーズサロンに入り実名を知れたものの、それがTwitterのアカウントと同一人物なのかは確証が取れていません。
「本名から取っているはずです」という憶測が含まれているので、完全に一致とは決して言い難いです。死神の確認に関しても、確認そのものが目的で、静が会っていたとされる死神が誰であるか等の疑問点を追求することはありませんでした。
こうした部分は結論ありきで物語が進行しているように感じざるを得ません。
また、この期間ではメンバーの不和が目立ってきています。
動画内でも苛立ちを隠さない奈々乃が見られたり、理也が何か隠し事をしているということが伝わってきました。
その後の行動としては、調子を崩したとする玲子、調査を行う星野理也(以下:理也)と森いちご(以下:いちご)、それらに関わらず演劇に集中する綾城奈々乃(以下:奈々乃)という状況でした。
この時点で、キャラクターの行動として見ると、彼女たちのそれはユーザーからすると非常に不信感を抱くものです。
体調不良を盾に交流を阻む玲子、明確に何かしらの隠し事をしている理也、協力しようとしない奈々乃(いちごに関しては、裏アカウントの発覚当のトリガーとはなったものの、逆にオープンとなったことで取り立てて不信感が出てくるような部分はありませんでした)。
結果的に、彼女たちはこの時点で信頼できない語り手となっています。
それこそ結末からすると、動画内でカットされた部分にて事件の完全な真相が語られているわけですから。結果から逆算すると、ここから先は全て茶番になったと言っても過言ではありません。
もちろんこの時点でそれをユーザーは知る由もなく、理也を始めメンバーが隠している何かしらの情報を明かして欲しいという旨のリプライを送っていました。
それに対する理也のリアクションはこうしたものでした。
これも結果から言えば、理也が次の犠牲となるというものでした。
ユーザーの行動が影響を与えた、つまり理也を死へ追いやったとミスリードさせるもので、これまで展開が一本道で進んでいる中でこう思わせるのは、非常に趣味が悪いものです。事実、リプライを送らなければよかった、と後悔する人も見受けられました。
当然ですが、先の絵馬の件で書いたように「ユーザーの行動が罠だった」と思わせることは、この手のユーザー参加型の企画の中では絶対にあってはいけないことです。単純な話、そうするとユーザーが警戒して参加を躊躇し、参加しても慎重になりすぎてレスポンスが悪くなるからです。企画自体が進まなくなることすら予想されます。だからこそ、課題に対して成功報酬を与えて、成功体験を積み重ねていくことでユーザーの行動を活発に誘導していくことが重要になります。
今回、全体を通して言えることですが、ユーザーの成功体験というのが非常に遠く(最後まで行かなければ手に入らないものです)、それをなしにしてでもユーザーが付いてくると考えているのであれば非常に甘い見通しだったのではないでしょうか。
▼~第四話(12月24日~1月5日)
理也の死が動画で伝えられ、これで呪いが終わったとして謎は伝えられませんでした。物語としてはもう下り坂で、後は転げ落ちるのを待つだけの状態です。
このタイミングで、残されたメンバーが仲を深めていきます。運営Twitterアカウントから明かされる調査ファイル等と合わせて、キャラクターの感情描写という面では、このパートが最もできていた部分ではないでしょうか。
特に奈々乃といちごに関しては、過去のわだかまりや奈々乃の背景もあったことを払拭できたように活き活きとした姿が見られました。次の13日周期が奈々乃の演劇公演日に重なることから、持ち上げて落とすパターンなのではと思われるような活躍っぷりではあったのですが、それはそれとしてキャラクター描写は十分満足がいくものでした。
ただ、玲子に関しては急な音大への志望変更など、発言が軽いと思われる部分が強く、先の体調不良を盾に物語の枠外へ行っていたことを含め、逆に不信感を持たせてくるようにも感じました。このあたりが次話において玲子を犯人だとミスリードさせるフックだったのではないかと思います。
このように、この期間は全体的に動きはなく、滞りなく進行していきます。ユーザーに対する情報収集や、考察のための時間であったようにも思われます。事実、ユーザーの考察はいくつも見受けられていました。
ただ、このタイミングで書かせてもらうと、こうしたユーザーの考察に関しても、時間が進んでも出てくる考察内容が根本的に進んでいないと思われました。
これは、「ユーザーの考察が甘い」という話ではなく、物語としての正否報告が行われていないことで、序盤の疑問点ですら解消されないまま累積されている、ということです。私個人に関しても、物語そのものは進んでいるのに、次のステージに上がっているという感覚がありませんでした。もう少し明確に段階ごとにステージが設計されていれば良かったと感じます。
また、case.613本編とは別にVirtual Market(以下:vket)に置いてcase.611が展開されていました。これも結果から言えば、BinaryCityの存在が明かされたことぐらいで、case.613本編にはほとんど関わりのない話でした。
ただ、ここで言及しておきたいのが、vketにおける情報の取り扱いについてです。
vketのcase.611では謎を解くことで画像のデータが閲覧できるという仕掛けがありました。最終的にはパスワード入力を行った先で見つけられるというものです。その画像が、いかなる理由かは不明ですが予想される公開予定日より前にTwitter等に流れてくることなどがありました。
もちろん、この前に行われていたQRコードの解析など、パワープレイによる謎の解除というのは、こうした企画の中では推奨されることではないと思います。加えて、自分だけで先回りして楽しむのであればまだしも、それを公開するというのは、決して褒められた行為ではありません。
ただ、そういう形であれ何であれ、解けてしまう謎というのもまた問題のある部分というのが正直なところです。
例えばTRPGにおいて、鍵のかかった宝箱があったとして、鍵を見つけるのが正規の手段であったとしても、箱を壊すことだって一つの手段になり得るわけです。それが推奨されるかどうかは別としてという話ではありますが、表に出たものに対してユーザーはどうにかして解いてやろうと考えるのが、比較的普通の思考だったりします。運営の意図を読み取って、お行儀よくプレイできる人ばかりではない、とも言えます。
そうした強引な解法に対する予防策が講じられていなかったのは、運営の見通しが全体的に甘い、と言わざるを得ない部分です。
そして同時に、こうした運営の詰めの甘い部分に対して、ユーザーが自治を振りかざす例もいくつか見受けられていました。ユーザーがユーザーを、それも運営が決めたルールではないもので縛ろうとする行為は、ユーザー間の不和の原因にしかなり得ません。ここに対しても、運営は手を入れるべきだったのではないかと思います。
そして似たような事例といたしましては、特定のユーザーによるフェイクサイトの作成と公開が行われるなどもありました。これは度が過ぎる行為です。(フェイクと分かる作りや、架空の建物だったりというのはありますが、センセーショナルな見出しであり、オープンなSNSで行われている以上、事情を知らない人が見ることもあり得ます)
こうした行為も運営が野放しにしていたというのは、今は問題なくとも、後々大きな問題になり得ないとも限りません。今後の企画において円滑な運営をするのであれば、こうした部分にもルールの制定、もしくはそれに準じるアナウンスは最低限必要であると感じます。
▼~第五話(1月6日~1月18日)
いちごが死に、奈々乃は玲子を疑います。ですが玲子は明確に否定はせず、逃げだします。
あくまでも個人的にですが、玲子はキャラクターとして不誠実な行動やその場に合わせただけのような軽い言動を行っており、疑われるに足る状況であったのは仕方のない部分だと思います。
とはいえ、動画内で何者かの声によって「違う」とそれは否定されます。これは小説で言うところの地の文で書かれていることに当たるもので、根拠なく信じてもいい情報であるものだと思われました。ですので、玲子への疑念というのはあっさり消えることになります。
その結果、玲子が犯人だと疑ってかかる奈々乃の行動が目立つ結果となりました。ただ、奈々乃の暴走ともいえる行動でしたが、ここまでの話の中では悠長な情報収集しか行っていなかったので、キャラクターの行動として見るなら非常に優秀なものだったと言えます。
むしろ、キャラクターの行動としての観点から見ると、アリバイを示すなどで明確に否定をしなかったり、その後も精神不安定を表に出して対話をしようとしなかった玲子の方が不誠実だったと言えます。
それに奈々乃は調査の中であっさりと玲子のアリバイを確認しています。その程度で疑いが晴れるのであれば、猶更面と向かって対話をするべきだったのでは、と思わざるを得ません。
玲子への疑いが晴れた後、奈々乃は改めて情報を集めるため、かつての血の人形事件の関係者である高市の元を訪れます。ここも直前にユーザーへ情報を求めています。高市の元を訪れるに至ったのは、ユーザーからのアイディア提供があったから、という体になっています。ここもユーザーからのアイディア募集という体ですが、半ば既定路線だったとは思われます。
とはいえ、ここではマイナスになる部分があったわけではないので、既定路線でも問題はありません。むしろTRPG等のシナリオ回しにおいては、既定路線をいかに既定路線に見せないか、というように予想される答えを得るために質問をすることもあります。それがハマった部分だと感じます。
この時点で、ユーザーは動画内に混入されていたものと、イマオカサイトから送られてきた画像を変換して得られたものを合わせて得られたQRコードにて、1月18日に海で死体が見つかるというニュースを知らされていました。そのため、玲子の身を案じる奈々乃にも「海を探してみては」や、そもそも危険だから近づくべきではないとして「海にはいかない方がいい」などとリプライが寄せられていました。
しかし、高市の元へ向かって持っていたとされる写真を見せてもらった奈々乃は、真犯人のグループに気づき、そして殺されてしまいます。
果たして、ニュースの画像は何の意味があったのか?
これは純粋な疑問です。結末が変わらないとするなら、ただ闇雲にユーザーを焦らせただけの結果となりました。
最序盤から貼られていた伏線であり、未来の情報であったことから、防ぐことが出来た、と考えるユーザーは多かったように感じます。
もし、シナリオが分岐する可能性があったのであれば(奈々乃と玲子の犠牲が入れ替わる、程度であれば分岐の価値はありませんが)知りたいところです。
▼~第六話(~1月22日)
玲子はニュースの画像をTwitterで流したっきり、沈黙を保ちます。(小説の引用は除外します)
また、ここでヒカリのアカウントから謎の文章がツイートされます。(アカウント名およびアカウントIDが変わっていますが、元はヒカリのアカウントです)
これはbase64で変換された言葉で、22日の20時とYoutubeのみやまんチャンネルを示すというものでした。base64を用いた暗号化というのは前にも出てきており、すぐに解かれていました。
これは重箱の隅をつつくようなことではあるのですが、敢えて暗号化してツイートしてくる必要があったのかは、若干疑問です(パストハッキングの精度が不安定で暗号化された、あたりだとは予想されますが)。
また、おそらく一般ユーザーだと思われるアカウントが、似たような暗号化文章を思わせぶりにツイートしていたりしたので、手段が被ったのはあまりいい印象ではなかったように感じます。
22日の20時にみやまんチャンネルにてライブ配信が開始されました。それは玲子が一人語りをし、最終的に事故に遭って死亡するというものでした。
序盤にも書きましたが、この点はどうしようもなく悪趣味です。
全滅ENDを迎えることは予想できていても、それをまじまじと見せつけられたいかと言われれば、それは別の話です。
また、この配信は公式サイトにてカウントダウンで示されていた時間でもありました。これは、初めからこの配信が予定されていたということになります。初めからここまでの道のりが全て既定路線であったと示された形でもあります。
一個人の意見で述べるなら、メンバーの全滅は半ば分かっていたのでほとんど何とも思わないかったのですが、物語の構造が明かされたようでがっかりする部分でした。それ以外に述べることは特にはありません。
▼~第七話・第八話(~1月24日・1月31日)
ライブ配信終了後、同じような暗号化ツイートが出されます。同じように変換すると24日に同じようにライブ配信が行われるというものでした。
『依頼』というタイトル、そしてBinaryCityのロゴがあること、case.611で未来の探偵だと明かされていたことから、解決編に入るのだと予想されました。そしてその予想通り、解決編が幕を開けました。
ここでイオリ・ハートフィールド(以下:イオリ)やハズキ・ハートフィールド(以下:ハズキ)から語られた、過去のSNSにアクセスをする「パストハッキング」や、過去の特定の事象を修正する「銀の弾丸」と言ったSF的な設定は良くできているものだと感じます。
ただ、「不可逆」を謳っているコンテンツでありながら過去を改変するという手段を躊躇なく持ってきたのは諸手を挙げて賛同できるかと言われると疑問です。
今回のcase.613本編での「不可逆性」というのは、通して得られる「体験」のことだと思われます。六人がただただ死んでいくだけの話であっても、それは一つの体験であり、作中で語られた「銀の弾丸」によっても消えることはありません。
そうした考え方自体は理解できるので、一概に過去改変ついても否定できないとは思います。
(あくまでも客観的にという話であって、彼女たちが死んでいくのを見せつけられる体験がしたかったのかと言われると決して頷けません)
イオリから出されたの協力依頼というのは、死の直前を鑑みて、重要そうな情報を持っていると考えられる静と奈々乃のスマホデータにアクセスするというものでした。ただ、これに関してはかなり前の段階から「ヒカリや静のスマホをご家族に行って見せてもらえない?」等の意見が出ており、正直なところ今更感はあり、結局それでいいのか、と感じる部分です。
具体的なアクセス方法はスマホデータにかけられたロックを解除するため「秘密の質問」を一つずつ探っていくというものでした。
ルールとして翌日17時までのツイートを参照し、19時に解答の発表を行うということが告知されます。
このルール制定においては、全体を通して見てもよくできたルールだと感じました。何より、明確な正否判定はずっと求めていたことでもありました。
ただ、これが三度続く(のちを含めると更に三度。一日に一回であるので合わせて三日。それがもう一度行われるので合計六日)のはどうしても冗長に感じざるを得ませんでした。最初の数度はまだしも、回数を重ねれば重ねるほど謎解き・推理というよりはただの連想ゲームやカルトクイズになっていたのも、あまり評価しずらい点です。
また、イオリの解答方法についても毎回三度目の入力で正解を引き当てるなど、わざとらしさが目立っており、もう少し柔軟なロールプレイをしてほしいと感じる部分でもありました。
こうしたスマホのロック解除を行い、奈々乃のデータからは死の直前に高市と話した際の会話録音データと見せてもらった写真が、静のデータからは彼女が死神と表した相手である高校の校長との会話録音データが出てきました。
これらを元に、この一連の事件の黒幕が都まんじゅうのメンバーが通う学校である六泉ヶ丘高校の校長であること、その協力・共犯として奈々乃も所属していた演劇グループである劇団あかぐまが明かされます。
ただ、この関連付けと推理ですが、正直甘いとしか言いようがありません。
静が死の直前に「死神」である校長と会っていたのは確かですが、彼が実際に静を手にかけたかどうかまでは未確定です。少なくとも死の直前に会っており、それを隠している時点で黒に近いのは間違いありませんが、断定まではできません。
奈々乃は過去の「血の人形」を見せてもらい、それが血濡れの熊のぬいぐるみであることを知り、赤い熊をモチーフとした劇団あかぐまが真犯人であると察しますが、これも飛躍した発想です。熊の人形自体珍しいものではなく、それに血を捧げて赤く染まっているからと劇団あかぐまに繋げるのは、連想できたとしても確信できるほどではありません。何より、彼女は劇団あかぐまに対して信頼を寄せており、それを一気に反転させるというのは、彼女が何かしらの確信できるだけの情報を別に持っていたのでは、と感じるほどです。
こうした推理や論理展開にもやや強引なものが散見されました。矛盾というほどではありませんが、もう少し確固たる証拠の提示や、ユーザーにその確信を抱かせるに足るだけの情報の入手というプロセスがあれば良かったと思います。
▼~最終話(~2月7日)
静と奈々乃のスマホデータへのアクセスで黒幕が判明――つまり、事件におけるフーダニットが明かされたので、次は動機であるホワイダニットを調査することになります。
そのため、以前第二話時点で不自然にカットされたシーンを確認するため、動画編集を担当したいちごのスマホへのアクセスを試みることになりました。
アクセスのための手段は前回と同様、秘密の質問に答えていくというものでした。
ルール制定が明確で良かった、とは先に書いた通りですが、同じルールのやり取りが合計6回繰り返されるとなれば、食傷気味になるのは仕方ないことかと思います。
加えて、いちごの質問への解答が悪い意味で変にひねったものばかりで、謎解きであれクイズであれ、問題として成立していたのかどうかすら怪しいと言えるものでした。数打てば当たるという性質の問いである、という前提を含めても同様です。最低でも出題の形式は変えてよかったのではないでしょうか。
いちごの秘密の質問を回答したことで、動画内でカットされた部分が見つかりました。
動画内では再来・血の人形事件における4番目の犠牲者とされていた山科修吾が、実は理也の手によって殺害されていたこと、その理由が彼が理也の弟を虐待していたことを止めるために仕方なかったのだと明かされます。
また、理也が再来・血の人形事件に紛れ込ませる偽装を行ったことと、メンバーが偶然にも同じ事件を調査を始めてしまったことで、山科と理也の関係を突き止めてしまい、理也が告白する形で共有していたことも明かされました。
都まんじゅうのメンバーが狙われたのは、元々3人目まで進行していたシラノの儀式を理也によって妨害されたため、その理也が所属していた都まんじゅうを虱潰しに殺害していった、というものでした。
その後は原因が分かったことで、「銀の弾丸」を撃ち込んで改変すべきポイントを探し、22日の文化祭時点で理也が悩みをヒカリに相談することで山科殺しを防ぐ、という流れになります。ここでリアルタイムでの協力という体で、文化祭のステージで「勘ぐれい」の新作MVを流すことで二人を引き合わせるというアイディアも募集されました。
こうして無事「銀の弾丸」は効果を発揮し、山科を理也が殺害することはなく、都まんじゅうが再来・血の人形事件に巻き込まれることもなくなり、case.613は全員生存ENDを迎えることとなりました。
13日の周期外である11月22日に死亡していた山科や、同日に行われた文化祭においてヒカリが突然の音信不通になったことに関しては、常々から違和感が論じられており、最終話のリアルタイム協力に際してもスムーズに進行したと思われます。(とは言え、実際に話を進行したのはイオリとハズキで、ユーザーが関わったのは音信不通状態のヒカリを理也と引き合わせる方法を提案するだけでしたが)
ただ同時に、常々から論じられていた部分であるからこそ、早い段階でそれを指摘や解明できたのであれば、少なくとも一度全滅を迎えるという展開は防げたのではないか? とも思わざるも得ません。
また、イオリからヒカリの前に死んでいた三人が劇団あかぐまの関係者であることも明かされています。これも劇団あかぐまに現在進行形で所属している奈々乃が気づけた要素ではないかと思われますし、気づけたのであれば劇団あかぐまの異常性や真犯人にも早い段階でたどり着けたのではないかと思われます。
むしろ遡るのであれば、理也の暴露が早くに行われたのであれば、理也以降の展開が大きく変わったのではないかとも思われます。儀式を邪魔した当人である理也を排除した後である、いちご・奈々乃が犠牲となった理由は不明瞭です。
結局のところ、彼女たちの秘密主義が最後まで尾を引いた、という結末です。それがヒカリを中心とした結束の結果であった、とも明かされてはいますが、それが人命、ひいては自分の命を天秤にかけてまで抱え込むことであったのか、というのは疑問です。
過去を改変した結果でも劇団あかぐまは健在であり、おそらく裏で静かに再来・血の人形事件を起こしていることでしょう。奈々乃が劇団に所属したままであると思われるのも不安な部分です。
推理の曖昧さや、残されたままの謎、根本的な解決になっていないこと、等々……。
本企画case.613に対して疑問点は少なからずあります。むしろ、すっきりとした解決である、とは言い難いとすら思われます。
ですが、どうあれ最終的に結末まで走り切ったことは十分に評価の対象となると思います。
改めて、スタッフの皆様、ユーザー・融解班の皆様、お疲れ様でした。
▼総括
ここまで長い文章にお付き合いいただき、ありがとうございます。
『Project:;COLD case.613』を改めて最後まで振り返りましたが、個人的な総括としましては、本企画はユーザーに対して非常に不誠実だった、となります。先にこのようなツイートもしていますが、この評価は総監督の名前が明かされた今でも変わりません。
序盤で論じましたが、本企画において最大の失点は「彼女たちを死なせるな」というメッセージを送りつつも、物語の八割の期間でそれは守られることなく、ただただユーザーは守りたいと思う彼女たちが死んでいくのを眺めることしかできず、無力感を噛み締める他なかったことです。
最終的にそれが達成された、とはいえカタルシスには遥かに遠いと言わざるを得ません。冗長で報酬のない展開も、ユーザーを引き留めようとする努力が足りなかったように感じられるのも実際のところです。
ユーザー獲得に際しては、タグを用いた上でのプレゼント企画を行っていましたが、ああした企画もまた一長一短でしかないと思われます。何より、1月22日のライブ配信開始直後に行われたプレゼント企画ツイートは、
今後の展開に緊張が張り詰めるシーンを壊すもので、空気を読めていないものでした。
キャラクターのプロモーションという点においては、非常に良かったと言えます。長い期間を共に過ごし、最終的に彼女たちを救うことが出来た、というのは本作における唯一といってもいい達成感でもあります。そうした彼女たちに対して、愛着を抱くのは必然でしょう。
続編・新作がどうなるかは不明ですが、彼女たちがまた登場する機会があれば、case.613に参加したユーザーは興味を持つと思われます。
ただその一方で、イオリ・ハズキの二人に関しては、個人的にではありますが、あまり好印象を抱けてはいないというのが正直なところです。
彼らが主人公であるというのは物語的に見て間違いないのでしょうが、長い時間をかけて考えて付き合ってきたのは都まんじゅうのメンバーであり、それにとって代わるように主人公として出てきたのイオリらには、これまでの物語が陳腐化されるようで、あまり好印象を抱けておりません。
全滅である以上仕方のない話とは言え、都まんじゅうのメンバーを差し置いて解決編をひとりでに進めていく展開そのものも、心情面からすると、面白い展開であったとは言い難いものです。
本企画のマスタリングに関しましては、ひたすらにタイムコントロールとユーザーコントロールが上手ではなかったとも言えます。
タイムコントロールに関しては、ダイジェスト化されない物語を描く、という目的は構いません。ですが、ほとんどの物語がダイジェスト化されるのは、ほとんどの部分が物語において不必要だからです。もし、本当にダイジェスト化されないリアルタイム性を持った物語を描くのであれば、情報量を通常の数倍にして、一日ごとに新情報が飛び出しユーザーがその処理に困るほどでないと成り立たないものです。今回のcase.613においては、通常の物語での情報量を、ただただリアルの時間へ薄めて落とし込んだとしか感じられませんでした。
また、厳しい意見を言わせてもらえば、解決編が始まった時点で各ネットニュースサイトから「今からでも追いつけるProject:;COLD」といった記事が出たりしました。それこそ、ダイジェストで物語が十分だった、という証左だと思います。もし、次回以降のProject:;COLDの企画があるのであれば「早いうちから参加できるならした方がいい意味」を作って欲しいと願います。
ユーザーコントロールに関しては、前にも書いている、ユーザーの行動に対する報酬がないというのが最大の問題点です。ましてや、謎を解いたもののその意味がなかった、というのは論外です。
これらに関しては、リアルタイム性を持たせた物語をTwitterとYoutubeという経験のない新天地で描く、という経験が薄い部分が影響しているかとは思われます。新天地で開拓をしようとすることが、自分にも想像が及ばないほど大変なのは間違いないでしょう。藤澤仁氏のnoteでも長い期間をかけて実現していった旨が書かれておりました。
本企画、Project:;COLDを今後も継続するのであればノウハウの積み重ね等を行ったうえで、
・シナリオの分岐/ユーザー介入の意味
・謎解きに対するユーザーへの報酬
・明確な目的意識の付与とそれに見合う結果
これらの改善が見込めれば、次回作も自分は積極的に関わりたいと感じます。
それでは、長々と書かせていただきましたが、お付き合いいただきありがとうございました。
改めて、長期間にわたって物語を展開した運営の皆様、ユーザー・融解班の皆様、お疲れ様でした。
-吾妻巧-