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走馬灯の場面が1個しかないの、心許なさすぎる。

「気絶」を経験したことがあるだろうか。

先日初めて、意識を失う、という経験をした。

中学校の卒業式で倒れてしまったことがある、という話を以前に書いたが、その時は意識を失ったというよりも、座っていられなくなったと言った方が正しいような倒れ方だった。

今回は本当に意識を失った。


意識を失う直前までの記憶は残っている。

僕はその日、ワクチンの集団接種を受ける為に大学にいた。
雨は降っていなかったが、天気がいいとは決して言えないような、少し風の強い日だった。

ワクチンを打つ前から、若干だが悪い予感はしていた。
前日の夜は、5年か6年ぶりくらいに体に針をぶっさすという事に緊張してしまい、あまり眠ることができなかったし、当日の朝は割と早くから用事があったこともあり、何も食べずに家を出てしまっていた。
ワクチンを受けたのは午後の4時。それまで何も口に入れず、かつ睡魔と戦い続けていた。
そんなコンディション不良の体から発せられる不安を振り払うかのようにして、友人と「倒れたらインスタにあげてやるからな」などど軽口を叩きながら会場で必要書類を記入していた。

そしていざワクチンを打つ段となるやいなや、僕の体はこわばった。格好悪いと言われても仕方がない。本当に注射が怖かった。
だが、もう21歳の髭の生えた(一応)大人だ。駄々をこねるでもなく、僕は左腕を先生に差し出した。

「今日はアルコールを摂らないでくださいね〜」と先生が軽やかな口調で言った。あまり痛くなかったな、なんて思いながら接種ブースを出る。

「あれ、なんか、息が苦しいな。あれ、なんか、吐き気が」

そんな思考を抱えつつ、僕はスタッフに寝かせてほしいと告げるか迷っていた。

3メートルほど歩き、待機位置へ入る直前にスタッフによる書類のチェックがあった。諸々が入ったファイルを係の人に渡した。

その瞬間、僕の視界は一瞬にしてブラックアウトした。


という感じ。

時間がトリミングされているような奇妙な感覚だった。

そして意識を失っていた恐らく1分弱の時間の中で、僕は夢を見た。
中学生の時の記憶だ。生徒会室。僕は誰かと喋っていた。

あれは走馬灯だったのだろうか。
血管迷走神経反射なるものだと思うのだが、これの経験者は皆走馬灯を見るのだろうか。

日常的に貧血などを起こしている方がいたら大げさだと笑われるかもしれないが、僕は「死」みたいだな、なんて思ってしまった。
死ぬ時はなんの予感も恐怖もなく、ただ夢を見るようにして意識を吹き飛ばされるのではないか、みたいなことを考えた。
案外、死ぬ直前は結構安らかな気持ちなのかもしれない。


まあ、それはそれとして、もう2回目を打ちたくなくなってしまった。
2回打ったら自由やんけ!!なんて思っていたけれど、腕痛いし、頭痛いし、ひたすら眠いし、倒れるし。

あと、タバコ吸ってたら、抗体つかないんだってな!!勘弁してくれ!!!

まあ、4週間も経ったら、喉元過ぎれば熱さ忘れる現象が起きて全然簡単に打つんだろうけど。

飯だけはちゃんと食ってこ、、、

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