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ニート生活3

暑い。
根城から一歩でも外に出ようものなら汗は滝のように吹き出し、みすぼらしいながらも清潔に保っている我がTシャツにいくつもの汗染みをつくる。
面倒な家事ベスト3に入るであろう洗濯という行動の意味を、夏の暑さはもろとも消し去るようである。

夏ってどうしてこんなに暑いんだろうか。夏だから仕方がないと言われればそれまでだが、こんな地獄のような暑さ、まだ地獄に落とされていない我々現世の人間にとっては耐え難いものだ。まじで。耐えたくない。


こうなってくると、風鈴とエアコンしか味方がいなくなる。

エアコンはまあ文明の利器なのだから味方なのは当たり前だ。あんな電力を大量消費する家電が人間の味方じゃなくてどうするって話だ。
それに比べて、電力消費0の風鈴。彼のチリンチリンという音はどうしてあんなにも清々しい気持ちにさせてくれるのだろう。あの音が聞こえている限り、僕は夏の暑さにも人間関係の煩わしさにも将来への不安にも耐えられる気がする。地獄に一つ好きなものを持ち込めるとしたら僕は風鈴を選ぶ。

あ〜〜〜風に揺れる風鈴の下で、氷水で冷やしたスイカ食いてえよ!

僕は今、地元から離れ東京都に住んでいる。よくある大学進学を機に上京するやつだ。
地元にいる時は何も意識しなくても風鈴の音はすぐそこにあった。風鈴の音に包まれながら縁側に腰掛けスイカやガリガリ君を食べるのは紛れもない日常であり習慣であった。その日常が失われて早3年。4年目の東京の夏。風鈴の音のない夏。
もう僕は耐えられない。夏の暑さも、人間関係の煩わしさも、将来への不安も。

僕は将来絶対に風鈴を買う。

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