祝福
今日は雨。
農業をしている我が家では、雨の日は休日になることがあった。
ある雨の日、
「ちょっと出かけよう」
と両親を誘って海辺の町へ向かった。
自宅から片道100㎞くらいだろうか。
高齢の両親はこんなに遠くまでは出かけることも少なくなっていて、途中新しく出来た道路なんかにも感動しながら車を走らせる。
ちなみに、新し過ぎて私のカーナビにも載っていなかった。
ナビ上の山林の中を車はひたすら走っていた(笑)
未来というのは、新しい道が描かれたフィルムを被せていくようなものだな、と思う。
そして、たどり着いた寺院。
ここは大きな観音様で有名な場所。
両親とは初めて訪れる。
聞けば、我が家の菩提寺の住職がここで修行をしたという。
なるほど。
惹かれてここへ来たのはそういう縁もあったのか。
霧雨の中。コロナ禍。
そう多くはない観光客に混じってゆっくり観光する。
大きな大きな観音様は、その日も慈愛に満ちた微笑みで私たちを包んでくれた。
その後、東日本大震災の後に復興した海岸沿いを南下し、おいしいものを食べ、温泉に浸かり、帰ってきた。
帰る途中、雨が上がり太陽が顔を出した。
大きな大きな虹も出ていて、この小さな旅を祝福してくれているようだった。
雨の日に、両親と過ごすゆったりとした時間もいいものだ。
またいつか、一緒に出かけたいものだなぁ。
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