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少しあたたかくなれた気がする〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

少し寒くなってきた気がする。

カフェでアイスコーヒーを注文した際に、店員さんからアイスで良いか再度確認されるくらいには寒くなってきている。

猫舌なもので、暑さはもちろん熱いのも苦手なのだ。猫の手ほどの貸せる力もないし、いつかの貴方みたいに首筋を撫でてくれる人もいない。
缶コーヒーではなくわざわざ1杯700円のそれにするのは、少しでも誰かに触れないとどうにかなりそうな気がするからか。

日の入りから数時間経つ夜道をトテトテと歩く。

今日も半額弁当か、はたまた栄養補助食品か。「速攻エネルギー補給」と宣伝文句があるが、そんなものでチャージできるわけもない。美味しいものは値段が高いし、高級レストランよりも誰かと食べるコンビニの肉まんの方に価値があると感じた時、それを愛と呼ぶのかもしれない。

さすがに食に飽きてきたのでファストフード店に並ぼうとするが、高校生の集団に先を越される。舌打ちしそうになるのをグッと堪える。

クレジットカードで貯まったポイントが2000円分あると気づき、思わぬ徳をして機嫌をなおす。件の高校生達が店員さんにお礼を言いながら出ていく様子をみると、舌打ちしそうになった自分に舌を打ちたくなる。

帰り道はいつもより低い位置に月があった。そしてまたトテトテ歩いて帰路につく。なんだか良いひとときだった。

少しあたたかくなれた気がする。

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