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メロンクリームソーダ〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉
「私、浮気をしたんです。」
その人はおもむろに呟いた。
聞くところによると、当時のパートナーは束縛癖が強く、他の人に頼っていたらしい。
きっと「愛」というのは名ばかりで、「哀(あい)」を覆い隠していたのだろう。
喫茶店にあるメロンクリームソーダのようなものかもしれない。
通常はメロンソーダへ徐々にアイスが溶けてゆくと、どこか懐かしい味がする。
実際はメロンの味がしない人工甘味料と着色料がふんだんに使われ、氷やホイップクリームでかさ増ししてから少量のアイスクリームをのせている。価格を抑えるための企業努力といえば聞こえはいいが、視覚と味覚を騙すのに必死な様もうかがえる。
だがそれを知らずに喜ぶ客も一定数存在するわけで、立場が変わり後々思い返せば無駄だったと感じる日も来るのかもしれない。そして様々な喫茶店と比較したり、自作することでより良いものに出会えることもある。
恋愛の正解は何なのだろうか。型抜きしたようなテンプレートを求められてきた、とりわけ日本人にとってオリジナリティを追求するのは困難である。とはいえ相手の行動を制限すればいいというわけでも無論ない。
“愛”と“哀”は「“相”容れない」もので、時に道を誤っていないか「“相”談」することも大切なのだろう。
そんなことはさておき、私はサクランボをどのタイミングで食べるべきかいつも悩むのである。