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ハグ不足の独身男、160cmの抱き枕を強く抱きしめてハウスダストに襲われる

 一人暮らしをしていると、ハグの機会がない。ある夜、僕はハグを欲するあまり、Amazonで「抱き枕 160cm」と検索し、即購入していた。「160cm」というのは勿論、成人の身長を鑑みてのもの。人間のフォルムの商品に手を出さなかっただけ褒めてもらいたい。自宅に届き、膨らませると成人のサイズになった。人恋しさを紛らわせるべくダイブ。しかし、その枕に人間的な温もりは一切なかった。しかも、ホコリに弱い僕はその枕との相性が悪かったようで、何度も咳が出てしまった。4000円の抱き枕はたった1回で無用の長物となった。

 最近、Netflixのレコメンド機能に促されるままに、8年前のドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』を初めて観た。星野源演じる津崎はこんなことを言っていた。
「イマジネーションは現実を変える力がある」。
僕は、理想の女性を思い描いて抱きしめた結果、ハウスダストを招いた。
たしかに、イマジネーションには現実を(僕の場合、悪い方向へ)変える力があった。

 普段、恋愛ドラマは嫉妬してしまうので観ないのだが、『逃げ恥』はとても面白かった。苦手な恋愛ものを最終話まで観ることができたのは、津崎に共感する部分が多かったからだろう。35年間彼女ゼロの津崎が恋愛に四苦八苦する姿は、僕の未来を見せられているかのように思えた。それにしても、劇中の恋愛模様を見て嫉妬することなく微笑ましく感じることができたのは、僕の人間的な成長だといえる。ガッキーの可愛すぎる愛情表現にキュンキュン。2人の抱擁を見てハグ欲求が限界に達したので、押入れから例の枕を引っ張り出して抱きついた。やはり咳が出まくった。

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