春の唱歌
日本の唱歌が好き
12歳の時点で好きだったので、あの頃から思うのはたった12年生きただけで、唱歌を懐かしいと思えるのは、DNAというものは侮れないということ
春になると好きな唱歌が溢れ出す
1ヶ月前、3月初旬は『早春賦』だった
春とは名ばかりで、寒さが身に染みる
鶯だって歌は覚えているけど、まだその時ではないと声を立てない
3月に入ったのに寒さが抜けない
むしろ寒くなっているのではないかと思う
春が来ているというが、果たして今年は春が来るのであろうか
春の訪れを今か今かと待ち続ける
3月後半になると『朧月夜』
思い出す故郷の田畑
遠くに見える秩父の山々
柔らかい夜風が頬に触れ、空を見上げると
朧月が儚げに輝いている
車の車窓から見上げる月が妙に大きく、そして朧月だった
追いかけてくる大きな月
街中を抜けて田畑が目の前に広がった時
朧月夜が聞こえてくる
さながらかすめる朧月よ
そして今、待ちに待った『花』が咲く
隅田川の桜は江戸情緒あふれる
屋形船の上には綺麗な舞妓さん
並ぶ桜の花が隅田川に落ちて流れていく
朝、昼、夕、夜
刻々と変わるその儚い春の日をどう喩えよう
目の前に蘇る春の風景
さーっと風が抜けていくざわめき
ほのかに青臭い自然の香り
たった数日で散ってしまう桜
何を託そう未来の自分に
過ぎ去った過去を見つめて
春真っ盛り
今この時を目に焼き付けて