12Years a slave と Downton Abbey (映画)
『12Years a slave』邦題『それでも夜は明ける』と 『Downton Abbey (劇場版)』の備忘録。
『それでも夜は明ける』はアマゾンプライムで見つけて何となく観始めた。私はこの、「何となく」を結構大切にしている。それに、私の好きなマイケル・ファスベンダーやベネディクト・カンバーバッチも出演、ブラピとオスカー助演女優賞を受賞したルピタ・ニョンゴも気になった。
でも観始めてすぐ、胸が痛んで観るのをやめようかと2回思った。こういったことがあったことは知っている。何度も観なくてももういいではないか、と。子供の頃、テレビで観た奴隷の名「Kunta Kinte」(作品の題は「Roots」)を思い出した。しかし最後まで観てしまった。
人間は、愚かだな・・・。誰かを見下すということは、自分自身を見下すことと同じ。自分の中に優越感があるということは、それと同じ量の劣等感もかかえているということだ(自分も含めて)。自分の中に劣等感がなければ、誰かの上に立っていい気持ちを感じる必要などない。でも劣等感のない人間なんてきっとひとりもいないんだな。何かを所有することで良い気分になることだって誰にでもある。誰にでもあるけれど、自分の良心に向き合えば、そして魂が喜ぶ行為なのかどうかと考えれば、社会の理不尽な洗脳から解かれる瞬間が必ずあると思う。
それにしてもブラピは制作側でもあるけれど、美味しい役を演じたなぁ。マイケル、ベネディクト、ブラッドの誰もがそれぞれの役を交代しても演じられそうな気がする。そう考えると善も悪も演じられる、やはり濃いキャストだ。ソロモン役のキウェテル・イジョフォーもパッツィ役のルピタ・ニョンゴも良かった。
でもまた観ることはないと思う。歴史から学んだら、前を向くべし。
『Downton Abbey (劇場版)』は映画として良くまとまっていた。人気だったドラマの方は実は観たことがない。
英国貴族の館での暮らしを垣間見て楽しめるし、ユーモアや愛を交えてハッピーエンドに仕上げてある作品。こんなに全てがハッピーエンドになるなんて良く出来ているな。そして名は分からずとも知っている顔がいっぱい。TVシリーズの方で人気が出て、私のよく観るGraham Norton Showなどで取り上げられているから俳優陣の顔を覚えているのかも知れない。
ドラマを知らなくても、これを一本観れば、どんな感じなのかは掴めるのかも。(ドラマと映画、両方知っている人、どうですか?)
私はイギリス南部のケント州の小さな港町に住んでいたことがある。一番近い都会はカンタベリーだった。都会と言ってもロンドンとは全く違い、少し車を飛ばせば、この作品に出てくるような村や豪邸や風景があった。調べてみたら、Downtonもイギリス南部の地名のようだ。ロンドンも大好きだけれど、またイギリスの田舎にも行きたくなった。
ストーリーとは関係ないけれど、イギリス人は日本と同じ島国に住んでいながらも、外国人や異文化に対する受け入れの姿勢が全然違う気がする。伝統や自国の文化を重んじながらも、異文化に対する寛容さ、慣れ、というか、厳密に言うと「別に気にしていない感」(笑)がある。「肌の色?別にそんなのどうでもいんじゃない?それよりさぁ・・・」的な。ユーモアで色んなことをさらっと交わすのが良い。私がロンドンやパリが好きな理由は人種のるつぼだから当然かも知れないが「何でもアリ」街道を突っ走っているところ。これがまたドイツから行くと余計に、大都会なのにメンタリティーの柔らかさにホッとする。もちろんこれはあくまでも私の感想。
Maggie Smithの素晴らしい存在感。イギリス紳士と淑女の華やかで、ユーモラスで切なくもある貴族生活。後から考え込むような内容ではないので、軽いエンタメとしてオススメの一本。