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白鯨との闘い 『In the heart of the sea』

アマゾンのレビュー平均では☆4つだけれど、ワタシは☆5つあげる。

監督はアカデミー賞受賞歴のあるロン・ハワード氏。度々映画化されている小説『白鯨』の直接の映画化ではなく、白鯨に襲撃されたエセックス号について調査したナサニエル・フィルブリックが書いたもの『In the Heart of the Sea-The Tragedy of the Whaleship Essex』に基づいているそうだ。

のっけから、ナレーションがベン・ウィショーなので「お!」と何気にテンションが上がった。彼は小説『白鯨』を書いたハーマン・メルヴィルの役だ。

一等航海士チェイス(クリス・ヘムズワース)と、経験が浅いのに単に家柄で選ばれた船長のジョージ・ポラード(ベンジャミン・ウォーカー)との確執がうまく描かれている。若いキャビンボーイのトーマス(トム・ホランド)も後にこの物語の語り手となるキーパーソンだ。老後のトーマスの妻役の女優さんをどこで観たのか思い出せず、悶々としていたけれど、GOTのスターク婦人ではないか!どうりで観たのは一回や二回ではないような強烈な印象があると思った(笑)。

石油を掘るようになる前は、アメリカでも鯨の油を燃料に使っていたのだね。航海中の嵐や鯨漁のシーンは、下手なスリラーよりも手に汗握るものとなっている。乗組員が髭面になり、漂流中にガリガリに痩せていく様子もリアルだ。

命をかけて、海に出る男たちの勇ましい姿だけでなく、母なる地球の偉大さと怖さ、現場に出ることなくお金と名声にこだわる人たちと、航海で仲間を亡くしたり、人に話せないような苦悩を味わった航海士の価値観の変化などが描かれていて、当時の様子がよく分かる。

貧しさから抜け出したり家族を養っていくためにしなければならないことと、自然と共存して足るを知る生活をすること、どちらかに優先順位をつけられるものでもないし、比べられるものでもない。個人的には2022年の世界に生きるために、捕鯨は必要ないとは思うけれど。

マーベルのヒーローものだけでなく、こういった作品での演技も観ると、クリス・ヘムズワースやトム・ホランドの演技力を改めて楽しめる。

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そう言えば「ダ・ヴィンチ・コード」は読んだけれど、ハワード氏の監督した映画の方はまだ観ていないなぁ。こちらも観てみよう。

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